詩未満

奥田たすく

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 暑い気がしていて
 背骨の中身がシンと冷えた
 寒気 寒気
 体調悪かったっけ
 何か悪いもの食べたっけ

 車酔いに似ていて
 寝不足に似ている

 吐き出すスピードが追い付かなくて
 座っていられない

 唾液腺
 頬骨の中シンと染みて
 泣く


――――――――――――――――――

 
 体に力が入っていることをバラされて
 欠伸を噛み殺し続けているような
 気持ち悪さ

 体がついていかない
 
 皮膚まで世界になってしまった
 本当に一糸まとわぬ姿になって
 守備力0の私には
 世界はあまりに暴力的で
 私を侵略する

 
――――――――――――――――――


 意識しないと瞬きができなくなってしまった
 外気があまりに暴力的だから

 そこに私の存在は必要ない
 ただ、在る
 すべらかな表面に
 しっかりと有る感覚
 それだけの存在が
 世にどれだけあろうか


 人が認知して世界だと
 人がいてこその世界だと
 そう言った存在がどれだけのものか

 強烈な存在感
 暴力的だ
 まるでお前は存在しなくてもいいと
 そもそもお前が在ることは知らない
 知る予定もないと
 息ができない

 
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