詩未満

奥田たすく

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 手の届かないところへ行かないで
 ずっと私の手首を掴んでいて
 またどうしようもないことで顔を歪めて
 私を見つめたまま笑って

 終わりのない夢を見てる
 この気持ちはキレイなままで
 手折られた一輪のバラに似ている
 それは目で楽しむものね

 なんて
 ただの言い訳

 触れぬ指先の熱が
 溶け合うことがある
 心地良い沈黙の中で
 こぶし大の素直な私が
 大きく頷いていた

 
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