終末の吸血鬼

奥田たすく

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第一章 再会、そして日常

7.休日の話-1

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 鳥の声がベランダの方からする。ソータはじわじわと床の上で目が覚めた。かろうじてブランケットをベッドの上から奪取していた。
 初めにレオに蹴落とされてからソータは死んでもベッドの壁に面している側のポジションを譲らなかったが、どういうことか目が覚めたころにはいつも床に転がっている。もうソータは落ちても目覚めないどころか、体が痛くならない体勢を心得てきてしまっていた。

 遮光カーテン越しの朝の柔らかい光がレオを包んでいる。どうせなら広々と使えばいいものを、ソータを追いかけるようにレオはベッドの端ギリギリで丸まっていた。光はレオの髪を透過していく。ソータはそれを一束だけ掬って頬杖をついた。
 レオはこの家にやってきた時以来タバコを手にしなかったから、すっかり懐かしいレオの香りに戻っている。どうせカッコイイからとかそれだけの理由で吸ってみたんだろうと思えば可愛く、はないが、なんだか許してしまう自分が悔しかった。ソータはわざわざレオの頭の上に手をついて立ち上がった。

「んんぬ」

 レオは一瞬呻いて眉をひそめたが、その手の感触に覚えがあってすぐに機嫌を直した。ソータが裸足でフローリングを歩いている。浴室のプラスチックの扉をスライドして、その中にある洗面台の蛇口をひねる。水の流れる音と、それを温めるためのヒーターの音。ソータが身支度を始める。洗顔が何かが口に入ったのか、「っぱ」と吐き出した。
 レオは寝ぼけた頭で聞くそれらの音が胸の中をぽかぽかにしていくので、もぞもぞと枕に顔をうずめた。
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