2 / 8
第一章 男装姫は孤高の王の夢を視る
第一話 十六夜の里での出会い
しおりを挟む
遠くの空を、稲光が走る。
嫌な予感がした。都の方角で雷が鳴るのは凶兆だ。こんな時には必ず、ここ十六夜の里にも嵐が訪れる。雨が降り始める前に、早く屋敷まで戻らねばならない。
男物の覡服に身を包んだ十六夜久遠は、荷を固く胸に抱いて歩を速めた。
「――きゃああっ!」
雷鳴の代わりに、久遠の耳に女の甲高い悲鳴が聞こえる。
(よりによってこんな時に……誰かが野盗にでも襲われたのか?)
日は先ほど沈んだばかり。空に残った夕焼けを山の端に追いつめるように、どす黒い嵐雲が頭上に迫っている。
あたりに人通りはない。道沿いに並ぶ家も、嵐に備えて雨戸を固く閉じていた。
これでは、誰もあの女の悲鳴には気付かない。久遠までもが悲鳴を無視して通り過ぎたなら、声の主である女がこれからどんな目に遭うか分からない。
(……急いでいるけど、仕方ないか)
ふう、と大きく息を吐き、久遠は悲鳴のした方角の路地に足を向けた。
事情があって男のなりをしているが、十六夜久遠は十七歳の少女である。
小柄な久遠には、野盗に立ち向かえるほどの腕力はない。もしも奴らと取っ組み合いの喧嘩になれば、完全に久遠の負けだ。
しかし、このあたりの土地勘と、小柄な体躯を生かしたすばしっこさには自信がある。不意をついて女を野盗から引き離し、手を引いて上手く抜け道を逃げれば、奴らを撒くことくらいはできるだろう。
久遠は息を潜めてゆっくりと、人の気配がするほうに近付いた。
通りから路地を一本入って最初の角の向こうには、予想通り、野盗の男どもに囲まれた一人の女が立っている。庶民にはとても手の届きそうにない上等な白藍の袿を目深にかぶり、笠を振り回して野盗に抗っていた。
(あの格好では、私は高貴な家の者だから襲ってください、と言っているようなものだ)
ここ十六夜の里には、旅人たちの宿場が多くある。都に向かう商人に混じって、時折ここ綺羅ノ国の政を支える五主家の者がお忍びで宿を取ることもある。
欲にまみれた野盗の勘というのは鋭いもので、このような高貴な身分の者を見抜いて襲うのだ。
「――あなたたち、手を放しなさい!」
白藍の袿の女は男たちから逃れようと必死に腕を振り回す。が、ささやかな抵抗では彼らはびくともしない。
(本当に、何も分かっていない姫様なんだなあ)
困った人を放っておけない自分の性質を呪いたい。久遠は胸に一息大きく吸うと、思い切って野盗の目の前に飛び込んだ。
◇
ここ綺羅ノ国は、陽、雲、風、木、海を司る才を有する、五主家が支配する島国である。
才というのは天から与えられた通力のことで、五主家に代々受け継がれる。
陽を司るのは陽主、日紫喜家。
そのほかに、雲主、久靄家。
風主、和暮家。
木主、烽火家。
海主、碧李家。
遠い昔のこと――綺羅ノ国の五主家の地位は対等であった。
天の下に五主家が集い、それぞれの才を生かして綺羅ノ国の平穏を守る――それが、天が五主家に与えた定めである。
しかし、時を経るうちに五主家はその定めを忘れ、お互いの領や富を巡って無益に争うようになった。国は荒れ、罪のない多くの民が巻き込まれて命を落とすこととなった。
天は激昂した。
その怒りは大嵐となって、綺羅ノ国を襲った。
山は崩れ、川は氾濫し、里や林は大火に襲われ。
このままでは綺羅ノ国は滅びるしかない――そこで五主家はようやく争いをやめ、天に赦しを乞うたという。
天は怒りをおさめる代わりに、陽主・日紫喜家を綺羅ノ王とし、そのほかの四主家を束ねるよう命じた。主家同士が二度と諍いを起こさぬよう、日紫喜に綺羅の番人たる地位を与えたのだ。
しかし、元は対等であった五主家の中から日紫喜だけを王としたのでは、ほかの四主家が黙っているはずがない。
そこで天は、日紫喜家にとある命を下した。
綺羅ノ王の后には、日紫喜家以外の姫を娶るように、というものだ。
そうすれば日紫喜家の王は、その他の四主家から后を迎えることとなる。日紫喜家だけが大きな力を持つことのないように――という天意であった。
四主家は天の意に従い、各家の力の均衡を保つため、「二代続けて同じ主家から后を輩出しない」という決まりを作った。それから数百年の時が流れたが、五主家の間に大きな諍いは起こっていない。
そんな綺羅ノ国の片隅で暮らす久遠は、十六夜家の次男。
生家である十六夜家は五主家には含まれていないが、ここ十六夜の里を領として与えられている。代々受け継がれる夢見の才を使い、覡として各主家に仕える祭司の家系だ。
綺羅ノ国には、日紫喜の王によって、かつてないほどの平穏がもたらされた――久遠を含め、誰もがそう信じて疑わなかった。
昨年即位したばかりの若き王の名は、日紫喜耀。
そしてその后は、風主・和暮家の姫、花緒である。
野盗から逃れて物陰に身を隠したこの時の久遠は、自分のすぐ横で怯えている白藍の袿の女が、現王の后――日紫喜花緒であることなど知る由もなかった。
「……ここまで逃げれば……もう大丈夫な……はず……」
狭い路地を全力で走って逃げたので、久遠の息はすっかり上がっている。
民家の裏の壁に背中を預け、へなへなと地面に座り込んだ。
「助けていただいて、ありがとうございました……あの……手を離していただいても……?」
久遠と同じく息が上がった様子の女は、顔を伏せたまま淡々と言った。紺瑠璃の質素な麻袴を身に付けた久遠を見て、自分とは明らかに身分が違うと察したのだろう。
せっかく野盗にやられる危険を冒して助けてあげたのに……という口惜しさを抑え、久遠は握っていた女の手を離した。
野盗からは上手く逃げられたが、奴らがそう簡単に諦めるとは思えない。きっとこの辺りをまだうろついているだろう。
(もう少しこの場所に隠れてじっとしていたほうがいいな)
そう思って両膝を抱えた久遠の手の甲に、ぽつりと一滴、雨粒が落ちた。
嫌な予感がした。都の方角で雷が鳴るのは凶兆だ。こんな時には必ず、ここ十六夜の里にも嵐が訪れる。雨が降り始める前に、早く屋敷まで戻らねばならない。
男物の覡服に身を包んだ十六夜久遠は、荷を固く胸に抱いて歩を速めた。
「――きゃああっ!」
雷鳴の代わりに、久遠の耳に女の甲高い悲鳴が聞こえる。
(よりによってこんな時に……誰かが野盗にでも襲われたのか?)
日は先ほど沈んだばかり。空に残った夕焼けを山の端に追いつめるように、どす黒い嵐雲が頭上に迫っている。
あたりに人通りはない。道沿いに並ぶ家も、嵐に備えて雨戸を固く閉じていた。
これでは、誰もあの女の悲鳴には気付かない。久遠までもが悲鳴を無視して通り過ぎたなら、声の主である女がこれからどんな目に遭うか分からない。
(……急いでいるけど、仕方ないか)
ふう、と大きく息を吐き、久遠は悲鳴のした方角の路地に足を向けた。
事情があって男のなりをしているが、十六夜久遠は十七歳の少女である。
小柄な久遠には、野盗に立ち向かえるほどの腕力はない。もしも奴らと取っ組み合いの喧嘩になれば、完全に久遠の負けだ。
しかし、このあたりの土地勘と、小柄な体躯を生かしたすばしっこさには自信がある。不意をついて女を野盗から引き離し、手を引いて上手く抜け道を逃げれば、奴らを撒くことくらいはできるだろう。
久遠は息を潜めてゆっくりと、人の気配がするほうに近付いた。
通りから路地を一本入って最初の角の向こうには、予想通り、野盗の男どもに囲まれた一人の女が立っている。庶民にはとても手の届きそうにない上等な白藍の袿を目深にかぶり、笠を振り回して野盗に抗っていた。
(あの格好では、私は高貴な家の者だから襲ってください、と言っているようなものだ)
ここ十六夜の里には、旅人たちの宿場が多くある。都に向かう商人に混じって、時折ここ綺羅ノ国の政を支える五主家の者がお忍びで宿を取ることもある。
欲にまみれた野盗の勘というのは鋭いもので、このような高貴な身分の者を見抜いて襲うのだ。
「――あなたたち、手を放しなさい!」
白藍の袿の女は男たちから逃れようと必死に腕を振り回す。が、ささやかな抵抗では彼らはびくともしない。
(本当に、何も分かっていない姫様なんだなあ)
困った人を放っておけない自分の性質を呪いたい。久遠は胸に一息大きく吸うと、思い切って野盗の目の前に飛び込んだ。
◇
ここ綺羅ノ国は、陽、雲、風、木、海を司る才を有する、五主家が支配する島国である。
才というのは天から与えられた通力のことで、五主家に代々受け継がれる。
陽を司るのは陽主、日紫喜家。
そのほかに、雲主、久靄家。
風主、和暮家。
木主、烽火家。
海主、碧李家。
遠い昔のこと――綺羅ノ国の五主家の地位は対等であった。
天の下に五主家が集い、それぞれの才を生かして綺羅ノ国の平穏を守る――それが、天が五主家に与えた定めである。
しかし、時を経るうちに五主家はその定めを忘れ、お互いの領や富を巡って無益に争うようになった。国は荒れ、罪のない多くの民が巻き込まれて命を落とすこととなった。
天は激昂した。
その怒りは大嵐となって、綺羅ノ国を襲った。
山は崩れ、川は氾濫し、里や林は大火に襲われ。
このままでは綺羅ノ国は滅びるしかない――そこで五主家はようやく争いをやめ、天に赦しを乞うたという。
天は怒りをおさめる代わりに、陽主・日紫喜家を綺羅ノ王とし、そのほかの四主家を束ねるよう命じた。主家同士が二度と諍いを起こさぬよう、日紫喜に綺羅の番人たる地位を与えたのだ。
しかし、元は対等であった五主家の中から日紫喜だけを王としたのでは、ほかの四主家が黙っているはずがない。
そこで天は、日紫喜家にとある命を下した。
綺羅ノ王の后には、日紫喜家以外の姫を娶るように、というものだ。
そうすれば日紫喜家の王は、その他の四主家から后を迎えることとなる。日紫喜家だけが大きな力を持つことのないように――という天意であった。
四主家は天の意に従い、各家の力の均衡を保つため、「二代続けて同じ主家から后を輩出しない」という決まりを作った。それから数百年の時が流れたが、五主家の間に大きな諍いは起こっていない。
そんな綺羅ノ国の片隅で暮らす久遠は、十六夜家の次男。
生家である十六夜家は五主家には含まれていないが、ここ十六夜の里を領として与えられている。代々受け継がれる夢見の才を使い、覡として各主家に仕える祭司の家系だ。
綺羅ノ国には、日紫喜の王によって、かつてないほどの平穏がもたらされた――久遠を含め、誰もがそう信じて疑わなかった。
昨年即位したばかりの若き王の名は、日紫喜耀。
そしてその后は、風主・和暮家の姫、花緒である。
野盗から逃れて物陰に身を隠したこの時の久遠は、自分のすぐ横で怯えている白藍の袿の女が、現王の后――日紫喜花緒であることなど知る由もなかった。
「……ここまで逃げれば……もう大丈夫な……はず……」
狭い路地を全力で走って逃げたので、久遠の息はすっかり上がっている。
民家の裏の壁に背中を預け、へなへなと地面に座り込んだ。
「助けていただいて、ありがとうございました……あの……手を離していただいても……?」
久遠と同じく息が上がった様子の女は、顔を伏せたまま淡々と言った。紺瑠璃の質素な麻袴を身に付けた久遠を見て、自分とは明らかに身分が違うと察したのだろう。
せっかく野盗にやられる危険を冒して助けてあげたのに……という口惜しさを抑え、久遠は握っていた女の手を離した。
野盗からは上手く逃げられたが、奴らがそう簡単に諦めるとは思えない。きっとこの辺りをまだうろついているだろう。
(もう少しこの場所に隠れてじっとしていたほうがいいな)
そう思って両膝を抱えた久遠の手の甲に、ぽつりと一滴、雨粒が落ちた。
11
あなたにおすすめの小説
弁えすぎた令嬢
ねこまんまときみどりのことり
ファンタジー
元公爵令嬢のコロネ・ワッサンモフは、今は市井の食堂の2階に住む平民暮らしをしている。彼女が父親を亡くしてからの爵位は、叔父(父親の弟)が管理してくれていた。
彼女には亡き父親の決めた婚約者がいたのだが、叔父の娘が彼を好きだと言う。
彼女は思った。
(今の公爵は叔父なのだから、その娘がこの家を継ぐ方が良いのではないか)と。
今後は彼らの世話にならず、一人で生きていくことにしよう。そんな気持ちで家を出たコロネだった。
小説家になろうさん、カクヨムさんにも載せています。
王命って何ですか? 虐げられ才女は理不尽な我慢をやめることにした
まるまる⭐️
恋愛
【第18回恋愛小説大賞において優秀賞を頂戴致しました。応援頂いた読者の皆様に心よりの感謝を申し上げます。本当にありがとうございました】
その日、貴族裁判所前には多くの貴族達が傍聴券を求め、所狭しと行列を作っていた。
貴族達にとって注目すべき裁判が開かれるからだ。
現国王の妹王女の嫁ぎ先である建国以来の名門侯爵家が、新興貴族である伯爵家から訴えを起こされたこの裁判。
人々の関心を集めないはずがない。
裁判の冒頭、証言台に立った伯爵家長女は涙ながらに訴えた。
「私には婚約者がいました…。
彼を愛していました。でも、私とその方の婚約は破棄され、私は意に沿わぬ男性の元へと嫁ぎ、侯爵夫人となったのです。
そう…。誰も覆す事の出来ない王命と言う理不尽な制度によって…。
ですが、理不尽な制度には理不尽な扱いが待っていました…」
裁判開始早々、王命を理不尽だと公衆の面前で公言した彼女。裁判での証言でなければ不敬罪に問われても可笑しくはない発言だ。
だが、彼女はそんな事は全て承知の上であえてこの言葉を発した。
彼女はこれより少し前、嫁ぎ先の侯爵家から彼女の有責で離縁されている。原因は彼女の不貞行為だ。彼女はそれを否定し、この裁判に於いて自身の無実を証明しようとしているのだ。
次々に積み重ねられていく証言に次第に追い込まれていく侯爵家。明らかになっていく真実を傍聴席の貴族達は息を飲んで見守る。
裁判の最後、彼女は傍聴席に向かって訴えかけた。
「王命って何ですか?」と。
✳︎不定期更新、設定ゆるゆるです。
転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
毎日7時•19時に更新予定です。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
無能妃候補は辞退したい
水綴(ミツヅリ)
ファンタジー
貴族の嗜み・教養がとにかく身に付かず、社交会にも出してもらえない無能侯爵令嬢メイヴィス・ラングラーは、死んだ姉の代わりに15歳で王太子妃候補として王宮へ迎え入れられる。
しかし王太子サイラスには周囲から正妃最有力候補と囁かれる公爵令嬢クリスタがおり、王太子妃候補とは名ばかりの茶番レース。
帰る場所のないメイヴィスは、サイラスとクリスタが正式に婚約を発表する3年後までひっそりと王宮で過ごすことに。
誰もが不出来な自分を見下す中、誰とも関わりたくないメイヴィスはサイラスとも他の王太子妃候補たちとも距離を取るが……。
果たしてメイヴィスは王宮を出られるのか?
誰にも愛されないひとりぼっちの無気力令嬢が愛を得るまでの話。
この作品は「小説家になろう」「カクヨム」にも掲載しています。
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
王宮地味女官、只者じゃねぇ
宵森みなと
恋愛
地味で目立たず、ただ真面目に働く王宮の女官・エミリア。
しかし彼女の正体は――剣術・魔法・語学すべてに長けた首席卒業の才女にして、実はとんでもない美貌と魔性を秘めた、“自覚なしギャップ系”最強女官だった!?
王女付き女官に任命されたその日から、運命が少しずつ動き出す。
訛りだらけのマーレン語で王女に爆笑を起こし、夜会では仮面を外した瞬間、貴族たちを騒然とさせ――
さらには北方マーレン国から訪れた黒髪の第二王子をも、一瞬で虜にしてしまう。
「おら、案内させてもらいますけんの」
その一言が、国を揺らすとは、誰が想像しただろうか。
王女リリアは言う。「エミリアがいなければ、私は生きていけぬ」
副長カイルは焦る。「このまま、他国に連れて行かれてたまるか」
ジークは葛藤する。「自分だけを見てほしいのに、届かない」
そしてレオンハルト王子は心を決める。「妻に望むなら、彼女以外はいない」
けれど――当の本人は今日も地味眼鏡で事務作業中。
王族たちの心を翻弄するのは、無自覚最強の“訛り女官”。
訛って笑いを取り、仮面で魅了し、剣で守る――
これは、彼女の“本当の顔”が王宮を変えていく、壮麗な恋と成長の物語。
★この物語は、「枯れ専モブ令嬢」の5年前のお話です。クラリスが活躍する前で、少し若いイザークとライナルトがちょっと出ます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる