異世界で番長目指します。

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第14話【王都で話した人物が…。】

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あらすじ:王都レゼナスに向かう中モンスターに度々会うが危なげなく倒す秀吉。そんな戦闘中に4人組の女性冒険者パーティに絡まれるが王都優先させて先を進む。無事にレゼナスに入り視線を気にした2人の案で服を新丁する事に。


「秀吉。服を買ったら休もうぜ。そうカリカリするな。」

「チッ!お前ら戦闘してないからそう言えるんだよぉ!俺が戦闘中にお前らくっちゃべってんの知ってるからなぁ!」

「仕方ないよ。戦闘中は僕とキースは暇なんだから。ほらあれじゃないかな服屋。」

ライルの指差す方向に眼を向けると…服屋ではなく防具のマークした店だった。しかも所々木が壊れガタガタしている。

「ちょっと待て。ここ服屋じゃなく防具屋だよなぁ?」

「ここに来る前にモンスターの素材を入手したから持ち込み素材で格安でやって貰うぜ。」
「僕も秀吉自身が倒したモンスターの素材なら他の店よりかはいいと思うけど。」

確かに利にかなってるんだがよぉ…この店ボロくないかぁ?モンスターに襲撃されたのか?

内心不安が過る秀吉を置いて平然と入るキースとライル。

店内はところ狭しと防具が飾られている。

「秀吉!見てみろよ!防具がいっぱいだぜ。」

キースが騒がしく辺りの防具を見る。

「そりゃ防具屋だからなぁ。ってかここらの防具を買いに来た訳じゃねーだろが!」

すると奥のカウンターにドッカリと座る髭がモジャモジャした男が話しかけて来た。

「何しに来たガキ共!ここは冒険者の命を守る為の装備を揃えるトコだ!」

…なんだぁ?あのヒゲジジィ!見るからに機嫌な面しやがって…。

秀吉は睨んでいるとライルが説明する。

「実はモンスターの素材を入手したのでインナー、防具を造ってください。」

バトルポーチを秀吉から受け取り店主に渡した。

店主は横に空いている棚にバトルポーチを上下に振る。するとドカドカと素材が現れて少し驚く。

「ほぉ、随分と集めたな。…まさか人様の物を盗ったんじゃあるまいな?」

店主はジロリと3人を見ると流石に秀吉は怒った。

「おい、オッサン!人様の盗むだぁ?ふざけんな!この素材は俺1人が集めた物なんだぁよ!」

「…小僧。名は何て言うんだ?」

「秀吉だぁ!だからナンだよ?」

するとバトルポーチの縁に秀吉と名が刺繍されているのを見せた。

「このバトルポーチはな…一度素材を収集した物の人物の名をポーチ自身が魔法刺繍する構造になっているんだ。知らなかったのか?」

「うっ!…知らなかった。悪いなぁ、オッサン。」

「最近物騒だからな。しかし…この辺りのモンスターの素材もあるのか?…!こっ、コイツは!?」

店主はある素材を手に持つと驚いて聞く。

「んっ?ああ、あの骨剣士の素材かぁ。」

店主が骨の素材を持つと説明した。

「コイツは一見骨に見えるが…違う!コイツは財宝だ!ワシも見るのは2度目だ。見とけよ!」

店主が骨の中央を少し削る…すると黒に近い煌めくクリスタルが姿を見せた。

3人は驚きながらマジマジと見つめた。

「ウム。間違いないな。【魔術石】だ。しかも数が少ない闇魔術。コイツは高く売れるぞ。小僧…いや秀吉だったな。この素材のスケルトンは貴族だったか?」

「おう!確か…キース、ナンだっけな?」

「ボーンナイト…アロン?」
「バロンだよね。確か。」

「ボーンか。スケルトンより上位種だな。貴族の爵位持ちは更に強い。…素材から見て倒したのは確か。…ブハッハッハッハッ!」

店主が高笑いしながら秀吉達を見た。

「あの…素材の件は?」

「ウム。本来なら知り合いを通さないと門前払いなんだが…面白いから造ってやる。」

ライルが疑問に思った事を聞く。

「あの…防具屋って造ってくれるものじゃ…」

「ワシは人を選んで造る主義でな。信頼ある人以外は好かん。そこらは近場の弟子に任せておる。」

外に少し進んだ綺麗な防具屋を指差す。

「それにお前らはよそ者だろ?ワシの店を知らずに来るなぞこの界隈はおらんからな。」

するとキースが今気付いた様に店主に訊ねた。

「あ、あの!もしかして…【鉄鬼のガルト】ですか?」

「ほぉ、坊主。ワシの名前を知ってるのか。」

店主事、ガルトはニヤリと笑った。

「ナンだぁ?知ってるのかキース?」

「俺の…親父の師匠だから。」

するとガルトはキースを見て話した。

「坊主。まさかジンバのせがれか?」

「はい。」

ガルトは笑顔を見せながら話す。

「アイツはドワーフじゃないが鍛治師の腕前はワシの弟子の中では一番の腕利きの弟子じゃ!そうか!そうか!よく来たな。」

ガルトは喜んで話すがキースは顔を背けながら答えた。

「…その言葉だけで…とーちゃんがうかばれます…。」

「ムッ!…どう言う事だ?」

キースが涙を浮かべながら歯を噛み締めた。

「実は…」

ライルと秀吉が今までの顛末をガルトに話すとガルトは近くにあった木のイスに力なく座った。

「な…なんて事だ…ジンバが…。」

「俺は…とーちゃんの話や鉄鎚に彫られた名前でガルトさんだと気付きました。」

キースは父親の懐にあった鉄鎚をガルトに見せた。

「…ウム。確かにワシがジンバの為に造った物じゃ。キース、ライル、秀吉よ…よく生きてくれた。」

ガルトは気持ちが沈みながらも秀吉達に感謝した。

「…キースよ。すまないがこの鉄鎚を1日だけ借りる事が出来るか。頼む。」

ガルトはまだ10代にいくかいかないかの少年に頭を下げて頼んだ。

「ガルトさんなら…はい。」

キースはガルトに鉄鎚を渡した。

「恩に着る。ビーダー!」

店の奥に怒鳴りながら呼ぶと1人の黒く汚れた男が現れた。

「はい!親方。何ですか?」

「ちょっとひとっ走りしてこい。周りの弟子達全員呼び出せ。」

「えっ?あっ!はい!」

ドタドタと走って行った。

「お前ら泊まる場所ないだろ?是非ワシの2階部屋を使え。遠慮するな。」

「おお!キース、ライル!宿代がタダになったなぁ!」

「ガルトさん…ありがとうございます。」
「キース!良かったね。」

こうしてガルトの家に泊まる事になった。

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