氷の騎士団長様の悪妻とかイヤなので離婚しようと思います

黄金 

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58 新年のお祭り

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 年の終わり、 ボブノーラ元公爵親娘とその一族は処刑された。王家の血筋が入っていることを鑑みて、その処刑はひっそりと行われた。
 旦那様はちょっと不服そうだったけど、俺はそれでいいと思っている。
 十分ソフィアーネは旦那様によって懲らしめられていたと思う。
 一度だけ牢に幽閉されたソフィアーネを見たけど、何もない牢の中でブツブツと独り言を言っている姿はちょっと怖かった。
 生きていても怖いので、処刑でいいと思うと言ったら、旦那様も納得してくれた。
 ボブノーラ元公爵は直接会ったことはないけど、ソフィアーネを裏から操っていたらしくて、同情する気は起きない。
 後はもう王太子殿下にお任せした。
 晒し首されている所も見にはいかなかった。
 生首見たいとか思わないしね。




 新年には皆新しい年を祝ってお祭りが開催される。
 季節は冬。
 市井でも街のあちこちでお祝いが行われているけど、王宮の中もお祝いが続く。
 ルキルエル王太子殿下が言っていた仮面舞踏会は、この新年のパーティーのことだった。
 年が明けて上下関係なく皆で祝い合えるようにと始まったパーティーらしいけど、見知った者同士は仮面をつけててもちゃんと誰か分かる。
 それでもこの時ばかりはなんのお咎めもなく下が上に話しかけれる日でもあるのだ。
 旦那様はモテモテに違いない!
 そう考え出すと、俺はその妄想が事実かどうかを知りたくなり行く気になった。
 
 ただ、この格好がちょっと……。
 
 俺は今光沢のある黒い生地のドレスを着ていた。
 これは旦那様から贈られたドレスだ。腰はピッタリと身体にフィットしているのに、歩くとスカートの長い裾がヒラヒラと舞うように広がるドレスだ。
 見せ場がなくてどこで着たらいいかと考え、今日の仮面舞踏会で着ることにした。
 旦那様には夜に着てみせるからと宣言しているが、多分旦那様は仮面舞踏会から帰ってきてから見せて貰えると思っているはずだ。
 早く帰ってくるって言ってたもん。
 あの嬉しそうな笑顔を見ると心が痛んだけど、今日は旦那様のモテっぷりを確認したい!
 一人でパーティーに参加するなんて無理だけど、今日はラビノアが付き添ってくれるのだ。
 ダンスだって練習した!いや、させられた。ソマルデさんは何でダンスまで教えれるのか謎だ。
 
「黒銀騎士団長はなかなかいいセンスをしてて、意外だな。」

 これはラビノアの感想だ。
 黒を基調にしているけど、決して暗くはならないドレスだ。銀の刺繍が多めに入っていて、銀と白の繊細なレースが首元と肩にフワッと使われている。
 これは男性特有の骨太さを隠す為らしい。元々身体の線が細いので自分でも男性と分かりにくいと気付いてしまった。
 髪は大分伸びてきてドゥノーが編み込んで小花の髪飾りで飾ってくれた。真珠が使われていて可愛いかもしれないけど頭が重いと感じるのは俺だけだろうか。お揃いで真珠のネックレスもつけている。
 今は真冬なので紫色の厚手のショールを腕に掛けていた。会場の中は暖かいけど外は寒い。着て来たコートは入口で預けてある。

「変じゃない?」

「全然!可愛いよ!」

 一緒に来たラビノアは本日タキシードを着ていた。俺のドレスに合わせて黒っぽい細身のスーツだ。
 普段が女の子~という可憐な姿をしているだけに、誰もラビノアだとは気付かない。
 いつもは巻いてふんわりさせている長い髪は、スッキリと後ろに纏めて一つに結んであった。
 シンプルなのに美青年が際立っている。
 本日は仮面舞踏会なので、俺達は二人でお揃いの顔上半分を隠す黒い仮面をつけていた。
 俺はノーヒールの靴着用で、ラビノアは少し踵の高い靴を履くことによって身長差を出している。

「ラビノアが男に見える。」

「ユンネ君も立派な女の子だね。」

 今日は男性的な話し方で喋りますからという宣言通り、ラビノアの話し方はずっとこの調子だ。なのでラビノアじゃないみたいだ。

「あ、来ましたよ。」

 ラビノアがコソッと耳元で囁いた。
 旦那様だ!
 黒銀騎士団の漆黒の正装を着た旦那様を見つけて、俺の胸はドキドキと高鳴った。

 





「ははっ、ユンネってば侯爵様しか見てないね。」

 ドゥノーはユンネの様子を見て笑った。
 そんなドゥノーをエスコートしていたルキルエルは、呆れた顔でシャンパンを手渡した。

「君はなかなかの性格だ。」

「そうですか?」

 ドゥノーは平然としているが、本日のルキルエルのパートナーはドゥノーなのだ。ドゥノーも会場に入ってユンネの様子を見たいと言い出し、招待状がないと入れないので一緒にくるかと軽く誘ってみれば、これまた簡単について来た。
 いくら仮面をつけていても皆王太子が分からないわけではない。銀髪に赤い目はそうそういないので誰だって分かる。問題はその王太子が連れて来たパートナーの存在だろう。
 ルキルエルは過去五人婚約者がいたが、皆死んでその後婚約者を立てたことがない。
 それが久しぶりにパートナーを連れて仮面舞踏会とはいえ参加したのだ。
 新たなる恋人かと周囲は騒めき、家臣達は息を呑んだ。

「王太子殿下に新年の挨拶を申し上げます。」

 次々とやってくる貴族達の相手をしながら、ドゥノーは自分の素性を明かすことなく笑顔で躱していく。
 この会場に平民は入れない。かといって見知った貴族の子息でもない。他国から来たのか、はたまた国内でも滅多に出てくることのない貴族の子か…。皆の詮索は続くがルキルエルもドゥノーも笑顔ではぐらかし続けた。

 ルキルエルの腕に手をかけていたドゥノーが、ハッとしたように動きを止めた。
 強制的にルキルエルも止まる。

「止まるなら止まると言え。」

 次の貴族が挨拶に来ようと待ち構えていたが、ドゥノーによって止められてしまった。

「侯爵様が動きます!」

 ドゥノーにとって王太子の挨拶よりユンネ達の動向の方が気になっていた。
 どうせ顔を隠しているし、ドゥノーは一応貴族だがこういった派手な場に出て来れるような身分でもない。
 仮面舞踏会は楽しむつもりだが一生に一度のこととしか思っていなかった。
 なので割とルキルエル王太子殿下のことは考えていない。

「………………。」

「ああ、ヤバ……。これはもしかして~~~!」

 くぅ~~~と小さく悶えながらドゥノーはユンネと侯爵を見守っていた。ルキルエルの腕を力一杯握りしめていることに気付いていない。
 ドゥノーの関心は全て少し離れた場所に立つユンネ達に注がれていた。

「お前な………、俺に隠れてもバレバレだぞ。」

 ドゥノーはルキルエルを盾に隠れて見ていた。

「はっ。そういえば殿下は派手だから壁にならないんだ。そこの柱に一緒に隠れます?」

 できればコッソリ見ていたい。
 黄色の目を輝かせてドゥノーはルキルエルを見上げた。
 対して赤い目は冷めた目で見返す。
 
 こいつ自国の王太子相手にいい度胸だな………。

 流石ユンネの親友だと思いながら、ルキルエルも侯爵夫妻の様子を見守ることにした。



 
 エジエルジーンはあまりパーティーが好きではない。参加するのも王家主催のものばかりで、貴族が催すものにはあまり参加することもない。
 参加しなくてもいいくらいの地位にいるつもりだ。
 今日の仮面舞踏会は王家主催の新年を祝うものだから参加したが、早目に帰るつもりだった。
 陛下の挨拶も過ぎ乾杯も終わり、音楽の鳴る中挨拶が進む。
 必要最低限の挨拶をしてから帰ろう。今日はユンネが贈ったドレスを着てみるから見て欲しいと言っていたので、楽しみだった。
 
 ふと、何気なくその存在に気付いた。
 
 灰色のフワフワとした髪。
 最近は伸びて来て無造作に一つに結んでいることが多かった。その髪を複雑に編んで髪留めで纏めてある。真珠の白い小花と光沢のある黒いドレス。銀の刺繍と白のレース。エジエルジーンが指定したデザインだった。
 細身の身体はどこか頼りなさげで、守りたくなる雰囲気を持っている。
 何故ここに?
 音楽が始まり、ダンスの申し込みが始まる。今までも高位貴族の令嬢や夫人が申し込んでくることは多かった。妻帯者であるのに途切れない誘いに辟易へきえきしながらも、必要最低限の申し込みは受けていたが、今日はもう帰るつもりだった。
 隣にいるのは誰だ?
 あんな男性が身近にいただろうか。
 親しげに喋り笑っている。
 そんな若い二人に近くにいた男女の視線が集まっていた。
 愛らしい女性と美しい男性。
 視線が集まり、どこの貴族子息令嬢だろうかと囁き合う声が聞こえる。
 あの子は自分を平凡だといい、大した事のない人間だと思っているが、エジエルジーンはそう思っていない。
 人を惹きつける可愛らしさとは顔の造作ではないと思っている。
 ユンネと話して一緒に過ごせば、彼の側の居心地の良さに親しくなろうとする人間は後を絶たないと思っている。
 それが嫌で、自分だけの可愛いユンネでいて欲しくて、ギリギリまで外に出したくなかったのに。
 
 ユンネの隣にいた男性がエジエルジーンの視線に気付いた。
 そしてユンネの耳元に口を寄せ何か囁く。
 その姿に胸の中にドス黒い嫉妬が湧き上がった。

 何を囁かれたのか分からないが、ユンネがエジエルジーンの方を向いた。
 仮面の下の口元が嬉しそうに笑う。
 モジモジとショールを弄る姿に、エジエルジーンもほんのりと笑顔が浮かんだ。
 
 ダンスを申し込もうとエジエルジーンを囲んでいた令嬢達が、微笑んだエジエルジーンに気付いて頬を染め硬直してしまった。
 エジエルジーンは誰にも笑い掛けない。上手くダンスを受けてくれても、義務的に踊るだけで常に無表情だった。
 ただ決められた通りに踊る義務的なダンス。
 それがエジエルジーンだった。
 でもそれでもいいと、例え妻がいてもいいと申し込む人間は多い。

 氷の黒銀騎士団長は笑わない。

 そのはずなのに、仮面越しでも分かるほどに、その表情は微笑んでいた。
 エジエルジーンが一歩歩くと人が割れていく。
 ゆっくりと近付き、黒いドレスに紫色のショールを掛けた令嬢の前で止まった。

「屋敷で見せてくれるものだとばかり思っていたのだがな。」

 普段無機質な黒銀騎士団長の表情が、血の通った人間らしく表情豊かに令嬢に話しかける姿に、人々はどよめいた。
 エジエルジーン・ファバーリアに血を通わせるあの女性は誰だと、皆黒い女性に注目した。

 女性は口を開き喋ろうとして、周りがシンと静まり返り、自分が話し出すのを待ち構えていることに気付いてモジモジと口元に手を添えた。
 その恥じらう姿に頬を染める男性は多い。
 ジロリとエジエルジーンが視線を走らせると、頬を染めた者達は視線を逸らせた。

 女性はススッ近付き、合わせてしゃがんだエジエルジーンに顔を寄せて何かを囁いた。
 黒銀騎士団長の口元が嬉し気に微笑む。
 その姿がちょうど見えた者達は男性も女性も関係なく腰が砕けそうになった。方向から見えなかった者達はその様子に悔しがる。

「そうか。分かった、ユンネ。」
 
 黒銀騎士団長が最後に呼んだ名前に、周囲は揃って驚愕した。
 ユンネとは黒銀騎士団長の妻、悪妻と名を馳せながらも実は冤罪を被せられた薄幸の妻、その人の名だと気付いたからだ。






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