偽りオメガの虚構世界

黄金 

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1 僕達は親友

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 イベント最深部、洞穴の最下層にある地底湖の中央で、天使が一人の騎士に槍を賜る。
 天使は二十代半ばの男性。緩く波打つ黒髪は柔らかそうに風に靡き、細っそりと嫋やかながらも均整の取れた身体の持ち主。黒い瞳は切長で潤む様に扇情的だ。背には大きな白い羽が羽ばたき、地面から少しだけ足を浮かせていた。
 対して跪き槍を受け取る青年もまた、二十代半ばの端正な顔立ちの男性だ。金髪に碧い瞳、褐色の肌は野生味が有りそうなのに、どこか高貴な血筋を思わせる気品も持ち合わせている。身に付ける装備から騎士なのだと誰もが理解した。
 金の粒子が二人を取り囲み、暗闇の洞穴を照らし出し、地底湖の水面を白く輝かせていた。

「美しい……。」
「きれい……。」

 最後の宝箱から出た今回一番の目玉、雷神の槍は天使の手によって褐色の騎士のものとなった。
 先程まで鬩ぎ合っていたプレイヤー達は、悔しさも忘れて二人を見守る。
 天使と騎士が微笑み合い消えていく。
 イベント終了とともに二人は地上に戻り、見守っていたプレイヤー達は散り散りに散って行った。
 







 頭の中にピピッピピッと電子音が鳴る。
 朝の目覚ましに雲井 仁彩(くもい といろ)は目覚めた。
 窓の外は快晴。カーテン越しに明るい光が差し込んでいる。
 部屋には小さなシャワールームと洗面所が付いているので、そこで手早く身だしなみを整えた。
 机に常備している抑制剤をパキリと一つ剥がして口に放り込む。

 鏡に映る自分は貧相な高校生。
 黒髪の猫っ毛を少し長めに伸ばしており、左側に流して顔の側面を隠す様に整える。
 左側には醜い火傷の痕がある。左顔の側面、左耳の辺りと左肩から背中の肩甲骨にかけて、少し引き攣れてしろっぽくなっていた。頬までは火傷しなかったので髪でなんとか隠せるが、しゃがんだり風で髪が流れれば見えてしまう。
 身体は服を着れば隠れる。
 この程度で済んで良かったと思うしかない。

 仁彩の産みの親は男性オメガだ。
 オメガは男性も女性も子を孕み産むことが出来る。
 結婚して仁彩を産んだが、あまり良好な家庭ではなかったらしく離婚して実家に戻ることになった。
 オメガはアルファに項を噛まれると番という契約関係が生まれる。オメガは一生に一度しか番えない。番のアルファのみを求め本能で依存する為、人生を左右する契約だ。
 仁彩のもう一人の父親はアルファだった。
 項に噛み跡があるので番になっていたと思うが、そこは人と人との関係。何かあったのだろうと思って過去を尋ねたことはない。
 仁彩の産みの父親の名前は雲井 雫(くもい しずく)。早くに結婚したのでまだ三十代半ばだ。
 雫の容姿は仁彩とそっくりで、癖のある猫っ毛の黒髪に大きな切長の黒い瞳。小柄な身体は猫っぽい。仁彩よりは少しふっくらとしているので、愛嬌がある。
 仁彩も父と同じ男性オメガだが、身長が百七十あるのでオメガにしては高い方。痩せてヒョロリとしているし、火傷の痕があるしで、仁彩は自分の容姿が嫌いだった。

 この火傷痕は離婚後実家に戻った父さんに怒った伯母さんが、父さんに熱湯をかけたのを庇って出来たものだ。
 父さんのお兄さんである雲井 皓月(くもい こうげつ)伯父さんが留守中で、離れに住もうとしていた僕達に出て行けと伯母さんは詰め寄った。
 父さんは困って宥めようとしたが、それが更に癪に触ったのか、お茶の為に沸かしていたヤカンを投げつけてきた。
 ヤカンは仁彩が庇って避けれたが、中の熱湯がかかってしまったのだ。
 左耳辺りと左肩から肩甲骨にかけて火傷を負い、父さんが急いで風呂場に引っ張って行って流水をかけてくれた。
 熱湯をかけた伯母さんはいつの間にか逃げていなくなっていた。
 それが一年と少し前。
 仁彩が高校入学する前の話だ。
 皓月伯父さんは物凄く怒って、伯母さんを持ちマンションへ引越しさせた。皓月伯父さんの息子の識月(しづき)君も一緒に出て行った。 
 皓月伯父さんは本邸に住んで良いと言ってくれたけど、父さんは遠慮して庭の端に建っている離れに住むことにした。
 本邸は何かと親戚や会社関係の人が来る事が多いし、一度出て行った人間が戻って来たのに、本邸でのさばりたく無いと言っていた。それに伯母さんと識月君が帰って来にくいだろうとも。

 火傷痕は大分薄くなったけど、よく見れば白っぽく皮膚の色が変わっている。皓月伯父さんが綺麗に治る様にと治療費を惜しまず病院通いさせてくれるので、かなり綺麗になってきたが、仁彩は隠す様にしていた。
 オメガは美しい、可憐、可愛い。
 それが常識なのに、こんな傷があるのが恥ずかしかったのだ。
 父さんを庇って出来た栄誉の傷ではあるけど、もう少し綺麗になるまでこのままでいようと思っている。

 鏡に映った自分を見て、まだもう少しだけ……、そう思いながら高校の制服を身に付けた。
 



 朝七時、また頭の中に電子音が鳴る。
 朝の健康チェックの音だ。
 身体の中には産まれて直ぐ、新生児のうちに身体の中に埋め込まれたマイクロサイズのチップが存在する。

 人体医療システムHubms通称フィブ。

 他者から悪用されない様ランダムに人体に埋め込まれたチップが毎朝検温や諸症状の体調を調べてくれる。調べられた内容は両耳のピアス型の送受信機器に取り込まれる。
 このフィブというシステムによって、体調管理、個人情報、銀行や公共手続き等は全て紙やカードを不要とし、完全キャッシュレスの時代に突入した。
 バスや電車は通過するだけで銀行口座から引き抜かれるし、市役所等の手続きも口頭で済ませられる。
 学校や会社に行けば誰が出入りしたか通知が残るし、体調の良し悪しも自動で通信される。
 全てがこのフィブシステムで済ませられる。
 
「今日も異常無し。」

 異常が有れば目の前に通知が来る。無いので今日も健康なのだろう。
 僕の声に、台所でご飯を用意していた父さんが振り返った。

「そ?今日も気をつけて行っておいで。」

 にっこりと父さんは三十代とは思えない可愛らしさで笑った。
 正直僕より父さんの方が可愛いし、街を歩けばモテる。
 顔は似てるのに雰囲気が違うのだろうなと思う。

 父さんの朝御飯は基本和食。
 今時配達では無い手作りの朝御飯はいつも美味しい。

「うん、あ、鳳蝶がイベント協力ありがとうございましたって。」

 今日久しぶりに直に会う友達を思い出し、数日前に言われた伝言を今日言っておく。言ったからセーフだ。

「どーいたしまして。」

 食べ終わるといつも直ぐに家を出る。靴を履いて行ってきますと声を掛けると、廊下の向こうからいってらっしゃいと返事がした。
 離れは純和風の平屋4DK。長い廊下と広めの玄関があり、離れというより一軒家だ。
 出て直ぐに皓月伯父さんが歩いてくるのが見えた。

「伯父さん~おはよう!」

「ああ、おはよう。」

 皓月伯父さんはアルファだ。背が高くてかっこいい。
 基本アルファは頭脳明晰、体格も恵まれ容姿も美しい。そんなアルファの中であっても、皓月伯父さんは一際優秀で美しいアルファだった。
 雲井家は切長の目なのか、伯父さんも綺麗な切長の目をしているけど、僕達と違って理知的な鋭さがある。
 そんな鋭い眼差しが僕を見ると和らぐので、僕は嬉しくなる。父さんを見る時も凄く優し気なので、仲のいい兄弟だなと思う。

「鳳蝶がありがとうございましたって言ってたよ。」

「あれくらいどうって事ない。普段、仁彩が世話になっている御礼だからね。」

「ん、僕も伯父さん達が手伝ってくれて嬉しかった!またよろしくね!」

 お礼を言うと、また優しく微笑んでくれる。
 玄関先で別れて、僕は高校へ向かった。



 伯父さんは僕達親子二人の生活費を見てくれるばかりか、僕達の趣味にまで付き合ってくれる。
 僕達の趣味はゲームだ。
 そもそもこのゲームは伯父さんの会社が作ったゲームでもある。


 Hubmsシステム通称フィブ。開発は全世
界数十社が共同出資開発を手掛け、今尚それは進化し続けている。
 
 日本は日本国憲法に基づいてフィブを使用。通貨は円。
皓月伯父さんの会社はソフトウェアを開発するIT企業として、フィブ開発に着手した会社だったが、約十五年前にフィブに連動したゲームを発表。ゲーム『another  stairs』アナザーステアーズというソフトを開発販売。
 ユーザーは今でも増え続ける人気ゲーム。
 売れる要素はフィブシステム使用によって仮想空間を現実のように体験でき、性別を男性、女性、アルファ、ベータ、オメガと自由に選べる機能にある。
 本来は医療目的で開発され、自分本来の性別とは違う性別を体感できるようにと作られた。オメガの発情期の緩和や、重病者やホスピス患者の精神ケア等様々な用途で開発されたのものだった。オメガで番い解除や高齢化による発情期の重症化を、仮想空間でベータとして一時的に過ごさせる事で、身体の熱を発散出来る事が分かり、そこからオメガでなくとも精神的一時避難場所として開発されていった。
 時が経ち開発も安定してくると、今度はこのシステムを遊びの場にも提供する様になる。
 それがゲーム『another  stairs』アナザーステアーズだった。
 通称アナザーの世界に入ると、あらゆる五感がフィブシステムで使用されるアバターへと移動する。
 そこは異世界。
 剣と魔法、ギルド、クエスト、ダンジョン、イベント……。職業もあるし、なんなら生産系で店を構えても良い。農業をするでも、村を作るでも良い。何をしても構わない。自分だけの楽しみ方が出来る自由度の高いオープンワールド。
 それがフィブシステムを使ったゲームだった。
 そしてその現実とも見紛う様な世界で、ユーザーが殺到した理由、それはサブアカウントでサブアバターを作って性別、容姿、年齢、種族を自分好みにカスタマイズして入れる事、そしてそのアバターで課金すればセックス体験まで出来るという、とんでもない仕様の所為だった。
 オメガの発情期改善の為の仕様が、一般で受けてしまったのだ。
 ただのベータがアルファやオメガになれる、オメガがオメガでなくなる。
 その未知の領域を体験できるとあって、ユーザー数は鰻登り。
 かく云う僕もザブではオメガでは無くベータ男性に設定している。
 ベータはオメガの発情期も番も関係ない、世界人口の殆どをしめる性別だ。ごく一般的で突出した能力はないけど、一番平和な性別だと思う。
 なんでそんな仕様が組み込まれたのかは謎。伯父さんに聞いても笑って誤魔化された。



 学校に着くと友人の鳳蝶がもう来ていた。
 友人の名は湯羽 鳳蝶(ゆばね あげは)。
 高校に入って知り合った。色素の薄い茶髪と茶色の瞳。僕と同じ男性オメガだ。背は僕より少し低くて百六十五センチ。でも体重は僕よりある。ぽよんぽよんと丸いフォルム。
 幼少期から可愛がられて育った所為で太ってしまったらしい。

 僕達は高校で知り合って、お互いオメガ性を隠していたけど、僕が抑制剤を落としたのを拾ってくれて、鳳蝶も自分がオメガだと教えてくれた。
 それから僕達はよくつるむ様になった。
 この世の中、完璧にフィブシステムで管理されているおかげで、突発的に起こるオメガの発情期に当てられて、恋人同士でも無いアルファに項を噛まれるという発情期事故は起きない。
 だから一昔前に必ずオメガがつけていたネックガードも今や廃れて等しい。
 発情期中に噛まれないと番にはならない。発情期にアルファに合わない様、事前に体調管理出来ていれば問題ない。
 フィブシステムではオメガの発情期は三日前には予測可能となった。だから予定日の前日から番になりたくない人は引き籠るし、相手のアルファを呼んでいる場合は、番になりたくなければその時だけネックガードをつければ良い。
 なので外を出歩く時つけておく必要性が無くなったのだ。
 抑制剤の開発も進み、朝から必ず飲めば完璧に抑えられ、急激な発情期に入れば耳に取り付けたピアスから極小の抑制剤が投与され直ぐに平常に戻る。
 なんとも便利な世の中だ。
 お陰で僕達はベータのフリをして過ごす事が出来ていた。
 いや、オメガだからって差別されるわけじゃない。
 なんなら見た目が良いから割と好かれる。
 そう、その見た目!
 僕は貧相な火傷のある姿で、鳳蝶はオメガにあるまじきぽっちゃり体型。
 二人で協力して隠そうねと同志になった。
 だってオメガなのに可愛くないとか、絶対ばかにされる。

 一年生の時は別クラスだったけど、二年に上がって同じクラスになった。
 一緒にネットのクラス分けを確認して喜んだのがついこの前。
 今日は四月、高校二年の最初の登校日だ。

「おはよ。」

「はよ~。」

 僕達二人『another  stairs』の世界で毎日遊んでいる。
 三月末日のイベント最終日、僕達は最後に残った宝箱を巡って共闘した。
 イベントは毎年一季節一回、年に四回発生する。
 イベントのラスボスを倒すと貰える宝箱は毎回十個。そのイベントの最終日で、最後の一個が開けられていなかったのだ。
 ユーザーはその最後の一つを巡って殺到した。
 雷神シリーズ。一番人気は武器。
 雷神の槍、イベント報酬SSR(希少)素早さMAXという特典付き。
 鳳蝶は騎士という職業を選択している。
 そして使う武器は槍を愛用していた。
 欲しい!
 そう目を輝かせて言った鳳蝶を手伝うべく、僕も一緒にイベントに参加した。
 そんな僕達を伯父さんと父さんが一緒にパーティーを組んで参加してくれたのだ。
 二人は経営者側の人間だが、一般人としてサブ垢を作っている。しかも発売当初からやってるのでそこそこ強い。
 ギルド月雫というギルマスとサブマスをしている二人は、知る人ぞ知るって感じの古株だった。
 僕達は二人のサポートで最終地点に到達し、見事ボス撃破。
 その場ですぐさま開けられた宝箱からは、今回の目玉、雷神の槍が現れた。
 雷神の槍は鳳蝶の物になったのだった。
 











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