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5-10 ハッピー・ライフ・ゴースト
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乾いた笑いをこぼすと、財布を持って家を出た。
ここに住んでいたとき、いきつけだったスーパー。久しぶりだな。
色とりどりの野菜が並ぶコーナーを、じっくりとながめる。
「よし。リアルでも最近は、なかなか自炊できてなかったし、ちょっと豪華なもんでも作りますか」
意気込んだあと、自分の得意料理を思い返してみる。
えーと私、そういえば料理があんまり得意じゃなかったんだっけ。
最近、料理をしてないから忘れてたな。
魚の切り身の処理も、あく抜きも、野菜をきれいに切るのも、本当に大変な作業なんだもん。
料理って、けっこう面倒くさいことばっかり。
大人になって、やっと思い知った。
「お母さんって、こんなに大変なことを毎日やってたんだなあ」
子どものころいつも料理を作ってくれていた母親は、去年の夏に病気で天国に行った。
私の、一番の憧れの夢見士だった。
ピンクとパープルのマーブルもようのバク・ユメジを引き連れたすがたがカッコよくて、大好きだった。
あまりにも突然のことだったので、すぐには信じられなかった。
お葬式でも、父親ほど涙は出てこなかった。
母親がいなくなったと言う事実を、父親ほど受け入れられていなかったのだと思う。
いつになったら、自分は母親を亡くしたと思えるんだろうといつも考えていた。
父親のように泣ける日は来るんだろうか、と。
すかすかの買い物カゴをレジに通す。
すでに具材がカットされている野菜パックとカレー用の牛肉、そしてカレー粉。
それだけを買って、私は家に帰った。
鍵を開けて、家に入る。
電気のスイッチを押すと、パッと照明がつく。
すると、少しものがちらかった自分の部屋が現れる。
リサイクルショップで買った丸テーブルに、小さなテレビ。
奥には、お気に入りのブルーのシーツがかかったベッド。
そこに、誰かが座っていた。
「おかあ……さん……?」
私に気づくと、その人はふわっと笑った。
大好きな、お母さんの笑顔だ。
なにこれ。
なんなの。
悪夢すぎるっての!
でも、不思議と嫌な感じは全然しない。
ここに住んでいたとき、いきつけだったスーパー。久しぶりだな。
色とりどりの野菜が並ぶコーナーを、じっくりとながめる。
「よし。リアルでも最近は、なかなか自炊できてなかったし、ちょっと豪華なもんでも作りますか」
意気込んだあと、自分の得意料理を思い返してみる。
えーと私、そういえば料理があんまり得意じゃなかったんだっけ。
最近、料理をしてないから忘れてたな。
魚の切り身の処理も、あく抜きも、野菜をきれいに切るのも、本当に大変な作業なんだもん。
料理って、けっこう面倒くさいことばっかり。
大人になって、やっと思い知った。
「お母さんって、こんなに大変なことを毎日やってたんだなあ」
子どものころいつも料理を作ってくれていた母親は、去年の夏に病気で天国に行った。
私の、一番の憧れの夢見士だった。
ピンクとパープルのマーブルもようのバク・ユメジを引き連れたすがたがカッコよくて、大好きだった。
あまりにも突然のことだったので、すぐには信じられなかった。
お葬式でも、父親ほど涙は出てこなかった。
母親がいなくなったと言う事実を、父親ほど受け入れられていなかったのだと思う。
いつになったら、自分は母親を亡くしたと思えるんだろうといつも考えていた。
父親のように泣ける日は来るんだろうか、と。
すかすかの買い物カゴをレジに通す。
すでに具材がカットされている野菜パックとカレー用の牛肉、そしてカレー粉。
それだけを買って、私は家に帰った。
鍵を開けて、家に入る。
電気のスイッチを押すと、パッと照明がつく。
すると、少しものがちらかった自分の部屋が現れる。
リサイクルショップで買った丸テーブルに、小さなテレビ。
奥には、お気に入りのブルーのシーツがかかったベッド。
そこに、誰かが座っていた。
「おかあ……さん……?」
私に気づくと、その人はふわっと笑った。
大好きな、お母さんの笑顔だ。
なにこれ。
なんなの。
悪夢すぎるっての!
でも、不思議と嫌な感じは全然しない。
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