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沈丁花のエチュード
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「えっ、えちゅーど……?」
聞いたことのない単語に戸惑う私に、セントが答えてくれる。
「エチュード。つまり、即興劇のことだ」
「即興劇って、何するの?」
「与えられたお題、役柄、設定に合わせて、台本なしで演技をするんだ。相手のセリフに合わせて、自分の役だったらどう反応するかを即判断し、スムーズに演じないといけないぞ」
「その通りだ、鳥塚くん。さらに……」
ウガツ先輩が見えない壁を作るパントマイムをしている。
なんだなんだ?
「相手が想像する話の展開を、自分なりにどう処理するかの能力も鍛えられる! 例えば、相手が急に料理をし始めたら? 自分も包丁を持って、具材を切る展開になるかもしれない! そうなると、パントマイムのスキルも必要になってくるだろうね」
「パントマイム……ッ!」
聞けば聞くほど、難しそう!
戸惑っている私を見かねてか、苅安賀先輩が息をついた。
「……ルイ。何もわかっていないようすのこの一年生のために、手本でもみせてやったらどうだ。〝お前の演技〟で」
「なるほど。そうだね!」
ウガツ先輩が肩を回しながら、前に出た。
セントが「おお!」と嬉しそうな声をあげた。
「ウガツ先輩の一人芝居か! 楽しみだな!」
「一人芝居って、どんなことをするの?」
「そうだなあ。淡々と一人語りで進行していくもの、相手がいるていで芝居をするもの。それぞれあるけど……どちらも、かなりの演技力がいるんだ。何しろ、舞台には自分しかいないんだからな」
そうか。
お客さんは舞台にいるウガツ先輩だけに注目するよね。
プレッシャーも他の舞台とは、一味も二味も違いそう。
「それじゃあ、〝久しぶりに再会した相手が都会に染りきっていて、ガッカリしたときのシーン〟をやるよ」
な、なにそれ!
どんなシーンッ?
驚いたままの私を置き去りに、苅安賀先輩がパンッ、と手を叩いた。
「エチュード、スタート!」
パン、と苅安賀先輩が手を叩く。
すると、ウガツ先輩の表情が一瞬で変わる。
朗らかで落ち着いた余裕のある表情から、おどおどとした挙動不審なものに。
「ああ、もう。約束の時間遅れてるんだけど……。アイツ、どこにいんだよ……。駅前、人多すぎ……」
ガラッと、場の雰囲気も一転する。
劇団ヒミツ基地の演劇小屋から、ウガツ先輩の舞台へと染まっていく。
「さっきまでとは〝まるで違う人〟だ……」
すごい!
これが、ウガツ先輩の演技。
ふと、ウガツ先輩が一歩横へと、立ち位置を変えた。
何で、移動を……?
先輩の表情が、パッと変わる。
おどおどした演技から、今度ははじけるような満面の笑みを浮かべた。
パアッと輝く笑顔で、さっきまでの立ち位置に向かって手を振っている。
「よっす! 待たせたなあ! わりいわりい!」
また立ち位置が戻る。
先輩の表情は、暗いものに変わる。
「……お前、誰だ?」
「誰って、俺だよ俺。お前の幼なじみじゃんよお」
「違う。僕の幼なじみはこんな陽気なヤツじゃない」
演じる役をチャンネルを変えるかのごとく、変えていくウガツ先輩。
一人の人間から、二人の人間を同時に見せられている!
浮かべる表情も、しゃべり方も、二人とも全然違う。
なのに、どっちがどっちなのか、はっきりわかる。
これが、一人芝居。
私たちの目の前には、確実に〝二人いる〟!
「都会の色に染まっちゃってんな! 見事なまでに!」
「だろ? サーフィン、始めたんだ。俺、輝いてるだろ」
「おお。すげえ、きらきらしてるよ……」
「お前もサーフィン始めたら、きらきらできるぜ!」
「ああ、僕の視界がきらきらしてるよ。変わり果てたお前への、悲しみの涙でな」
「ん? なんか言ったか? よーし、サーフボード買いに行こうぜ!」
最後は手を引かれるパントマイムで、その場から退場していく。
陽気な方に引っ張られていった、という設定だろう。
苅安賀先輩がパンッと手を叩き「オッケー」と声を上げた。
「まったく噛み合わない二人の会話、見事だったな。明るい性格と、おどおどした性格の二人の対比もよかった。明るい性格の人物が、前はどういう性格だったのかが、もう少し見えたら更に面白かったかもな」
これにダメ出しっ?
これでも、完璧なエチュードじゃないの?
ウガツ先輩は苅安賀先輩のダメ出しを「ふむふむ」と真剣に聞いている。
こんなすごい人でも、まだまだ成長しようとしているんだ。
私も……もっと成長したい。
でも……!
こんなすごい演技されたあとに素人の私の演技を披露するの?
ムリムリ、絶対ムリ!
「自信がなさそうじゃないか。沈丁花くん」
ウガツ先輩が手を後ろに組んで、私の顔をのぞきこんでくる。
「当たり前です! 先輩のすごい演技の後に、素人の私の演技なんてとても見せられないですよ!」
「沈丁花くん。君はエチュードに必要なものが何か、わかるかい」
「わからないです……」
演劇素人なのにそんな専門的な質問、答えられるわけないよ。
「君が持っているスキルで、今の質問は解決するよ」
「えっ」
その時、私はウガツ先輩がさっき言っていたことを思い出した。
———沈丁花くん。僕はきみの〝スキル〟を買っている。ぜひ頑張ってくれたまえ。
私が持っているスキルは、エチュードに必要なものってこと?
でも、演劇初心者の私がいくら考えたところで、わからないものはわからない。
「答えは自分で見つけてごらん。まずはやってみるんだ。つたなくてもいいんだよ。読み聞かせも演劇も、まずは場数からと言うだろう」
その通りだ。
これまでは小さい子たちの前が、私にとっての舞台だった。
演劇も〝やってみたら〟わかることがあるのかも知れない!
よし、やってみよう。
意気込んだところで、苅安賀先輩の鋭い視線が注がれていることに気づく。
とたん、心臓がバクバクと踊り出した。うわあ、ド緊張してきちゃった!
「マシロ、マシロ」
「セント。な、何?」
「お前さ。読み聞かせのとき、よく小さい子らにムチャぶりされてたよな」
「む、ムチャぶり?」
そんなのされてたかな。
「絵本を読み終わって、おしまいって言ったあとなのに、みんなが〝このあとどうなるの?〟ってさ」
「ああ、あれね。あんなのしょっちゅうだよ」
「しょっちゅう? 毎度毎度、〝このあとどうなるのか〟を答えてたのか。前の日に考えてきてるとか?」
「ノリだよ! その時、その場に浮かんだやつ。だってその場にならないと、何を聞かれるかはわからないでしょ? 事前に答えを用意しておいても意味がないんだよ」
「……それだよ、それ」
「え?」
「それが、アドリブ」
ポカン、としてしまう私。
「即興で作って答えてたんだろ。それができるなら、即興劇であるエチュードもできるんじゃないか」
読み聞かせの時みたいに、言われたことを反射的に答えていけば良いってことか。
だったら……。
「……うん、わかった。やってみる」
苅安賀先輩を見ると、床で足を開いて、ストレッチをしていた。
うわあ、床にお腹がぺったりついてる! 柔らかい!
「言い訳は終わったのか、一年生」
そして、毒舌がすごい……。
「やる前からできないと言うなら、伸び代なんかないぞ」
うん。もう演劇素人だからって、言い訳はしないよ。
ウガツ先輩とセントに、たくさんアドバイスをもらったんだ。
「エチュード、やってみます!」
私の宣言に、苅安賀先輩は「そうか」と立ち上がった。
「ルイ。エチュードのお題は?」
ウガツ先輩は「そうだねえ」とうなってから、パッと顔を上げた。
「少しひねったのにしてみよう。〝魔法がある世界の学校〟って言うのはどうかな」
「……へっ?」
待って! 演劇初心者の初めてのエチュードが魔法学校ッ?
設定が特殊すぎる!
「そんなの……ッハ! 視線を感じる!」
案の定、苅安賀先輩がこちらを見ていた。
とてもガッカリした表情で。
うう、また呆れられちゃった……。
さっき、素人を言い訳にしないって、決意したばっかりなのに……!
私がしょんぼりと肩を落としていると。
苅安賀先輩の手が、スッとこちらに伸びてきた。
「こんなところで何をしている、一年生。もう次の授業のベルが鳴るぞ」
「……え」
さっきまでとはまるで違う、苅安賀先輩の朗らかな表情。
優しい仕草。言い方も刺々しくなくて、柔らかい。
今、目の前にいる人……誰ッ?
これってまさか——エチュード、始まっちゃってる?
「教科書も持っていないのか。次の授業は何なんだ? 一年生」
「あっ、うっ……」
台本もないのに次々と台詞が飛び出してくる、苅安賀先輩。
やばい、何か返さなきゃ!
えっと今……〝次の授業は何なんだ〟って聞かれたんだっけ。
どうしよう。算数、国語、いや理科かな。
……いや、違う違う!
これは魔法がある世界の設定のエチュードなんだ。
じゃあ、普通の世界の学校とは違う勉強をするはずだよね。
映画やアニメであるような不思議な実験や、呪文の勉強。
でも、アレはどんな名前の科目なんだろう。それが、わからないよ~!
(あっ、そう言えば……)
この間、図書館で読み聞かせをした絵本!
『まほうつかいのプーとしあわせのはな』に魔法が出てきたっけ。
プーは、薬草で人々を幸せにしている優しい魔法使いなんだ。
滅多に生えない幸せの花を求め、旅をしている。
ラストにはようやくその花を見つけ、世界を幸せで満たしてくれた。
魔法使いに薬草はつきものなのかも。
だから、魔法使いの学校にそんな授業があっても不思議じゃないよ!
うん、次にやる授業の科目は……!
「や、薬草学です」
「なるほど。薬草学か」
「そ……そう、それですっ」
ちょっともたついたけど、会話の流れは違和感がなかったよね。
しかし、ホッとしたのも束の間、当然次のセリフは飛んでくるわけで。
「そう言えば、一年生。この間偶然、我が校の卒業生であるエドワード先輩にお会いしたんだ。先輩は、魔法のホウキに使う木を育てる〝魔法林業科〟に進学なさったそうだぞ」
「へえ……そうだったんですね。エドワード先輩はすごいなあ」
「ああ。ところでお前はこの学校に入学して、将来どんなことをしたいと思っているんだ?」
うう、やっぱりこの流れだとそうくるよね。
でも、エチュードで演じ始めたばかりの、この役の将来なんて想像もつかない!
どう答えればいいの~!
(あっ! そ……そうだっ!)
「えっと、薬草で人々を幸せにしたい……です!」
「ほう、良い夢だな。立派じゃないか」
ホッ。『まほうつかいのプーとしあわせのはな』を参考に何とかひねりだせた。
これが即興劇か。子どもたちを相手にする時とは比べ物にならない。
もう頭がパンクしそう!
しかし、苅安賀先輩のアドリブはまだまだ止まらない。
「そう言えば、この間の屋外授業で偶然お前を見かけたが、なかなかホウキを乗るのがうまかったな。よかったら、コツを教えてくれないか」
ええーっ! ホウキに乗るコツっ?
そんなの……本当に本当に!
知るわけないよおおおおお!
焦って苅安賀先輩を見上げると、ニヤニヤとした顔で私を見下ろしていた。
〝さあ、どう返してくる?〟
そう言いたげな表情だ。
でも私は、魔法のホウキに上手に乗るコツなんて分からない。
なぜなら、乗ったことがないから!
このエチュードは魔法がある世界の学校、という設定。
つまり私が演じている役の子は、ホウキに乗ったことがあるということ。
しかも、苅安賀先輩の台詞によると、私の役の子は〝ホウキに乗るのがなかなかうまい〟らしい。
これは、苅安賀先輩が私の役を〝肉付け〟したんだ———勝手に!
台本のない即興劇だからこそ起きるアクシデント……いや、私からしたらトラップだよ、もう!
だけど……私はこれに抗うことも、出来る。
〝違います。それは私の双子の妹ですよ〟とでも言えば、私はホウキに乗るのがうまい妹の姉になることができるんだ。
だけどそれは……負けた気がしてなんか嫌だ!
ここは何とか、苅安賀先輩に対抗していきたい。
うまいアドリブを見つけたい……!
何か、いい返しはないかな。
……もし、もしこれが。
〝苅安賀先輩からじゃなく、小さい子たちからの質問だったとしたら〟。
私は、なんて返すだろう?
『ねえねえ、マシロちゃん。この絵本みたいに、ホウキに上手に乗るにはどうすればいいかなあ?』
……って、言われたとしたら……。
そのとたん、私の口がパカっと開いた。
「そうですね……。ホウキって、馬と似てるんですよ!」
「……馬?」
苅安賀先輩が不思議そうな顔をする。
「はい。私の家、馬を飼っていたのでよく乗馬をしていたんです。だから、その経験もあってかホウキに乗るの、ちょっと得意なんです!」
「ふむ。馬と似ている……か。わかりやすい説明だ。今度、俺も近場の牧場で乗馬体験の申し込みをしてみよう」
「乗馬の感想、よかったら聞かせて下さい」
「もちろんだ。アドバイス、ありがとう。そろそろ、ベルが鳴る。薬草学の授業に遅れるなよ」
「はい。こちらこそ、ありがとうございました」
苅安賀先輩が、そこから立ち去る動作をする。
———パンパンッ!
ウガツ先輩の手を叩く音。
エチュード終了の合図だ。
ウガツ先輩は満足そうな笑顔で、私と苅安賀先輩に向けて拍手をしてくれた。
「二人のアドリブ会話、とても良かった! 魔法がある世界の学校、と言う設定をうまく使えていた。沈丁花くんは会話のテンポが悪かったことや、ずっと棒立ちだったことなど課題はあるが……それでも初めてでこれだけアドリブ会話が出来るのは強みだと思う。素晴らしかったよ!」
そうか。しゃべることに夢中で気づかなかったけど、私ずっと棒立ちだった。
これじゃあ、見ている人はつまらないよね。
すると、セントが言った。
「マシロ、お笑い好きだったよな。コントって見たことないか? あれを参考にすると、いい身振り手振りの勉強になるぞ」
「コントかあ。確かに、自分が会話に入っていないシーンでも頷いたり、腕を組んだりしてるよね」
「だろ?」
「……そういえば舞台って、テレビドラマと違って、身振り手振りが多いし、動きが大きいよね。なんでだろ?」
思わず気になったことが、ぽろりと出た。
するとウガツ先輩が両手をパッと広げ、私たちの前に躍り出る。
わざとらしい動きでも、先輩は堂々としているからか、違和感がないのがすごい。
「舞台とは加工や編集のない、その場で生まれる物語だ。だからこそ一秒の一動作に全てをかける。でも、動作を大きくすれば良いってものでもないんだ。演者は、その役柄の人生を演じ〝体現する〟。一番大切にすべきは、それなんだ」
「役の人生を演じ———体現する?」
「そう。それが役者だ」
今まで生きてきて、考えたこともないよ。そんなこと。
私にも、分かる日が来るのかな。
「はあ……。〝演劇はナマモノ〟とはよく言うが、この一年生の理解スピードではナマのまま腐らせてしまいそうだな」
またまた苅安賀先輩の容赦のない毒舌が炸裂する。
どうせ私はせっかく買っておいたプリンを大切に取っておきすぎて、家の冷蔵庫でとうとう賞味期限を切らせてしまうような人間ですよっ。
でも、さすがにプリンを腐らせたことはないですから!
「さてさて。そういうわけだ、沈丁花くん。来たる〝十六夜大演劇祭〟に向けて、これから頑張ろうじゃないか!」
ウガツ先輩の景気のいい意気込みに、首を傾げる私。
「十六夜大演劇祭……?」
すると、セントがあわてて飛んでくる。
「マシロ。説明しただろ。ウガツ先輩が去年、路上演劇で大賞をとった演劇祭だよ」
そういえば、セントがそんなことを言っていたっけ。
「去年は、先輩一人で出たんですよね」
「そうだ。パフォーマーとしてなら一人で出れるが、部活や劇団などの組織的なエントリーとなると最低〝三人の演者〟が必要なんだ」
「ん? それって」
今、ここには私を除いて三人の人間がいる。
しかし、セントは美術部だから除外。
だから、ウガツ先輩と苅安賀先輩で二人。
つまり、三人目が必要になる。
これって、まさか……!
「確かな朗読の技術。エチュードで見せたアドリブ力。三人目は君しかいない! 沈丁花マシロくん!」
やっぱり私、数合わせじゃん~~~ッ!
聞いたことのない単語に戸惑う私に、セントが答えてくれる。
「エチュード。つまり、即興劇のことだ」
「即興劇って、何するの?」
「与えられたお題、役柄、設定に合わせて、台本なしで演技をするんだ。相手のセリフに合わせて、自分の役だったらどう反応するかを即判断し、スムーズに演じないといけないぞ」
「その通りだ、鳥塚くん。さらに……」
ウガツ先輩が見えない壁を作るパントマイムをしている。
なんだなんだ?
「相手が想像する話の展開を、自分なりにどう処理するかの能力も鍛えられる! 例えば、相手が急に料理をし始めたら? 自分も包丁を持って、具材を切る展開になるかもしれない! そうなると、パントマイムのスキルも必要になってくるだろうね」
「パントマイム……ッ!」
聞けば聞くほど、難しそう!
戸惑っている私を見かねてか、苅安賀先輩が息をついた。
「……ルイ。何もわかっていないようすのこの一年生のために、手本でもみせてやったらどうだ。〝お前の演技〟で」
「なるほど。そうだね!」
ウガツ先輩が肩を回しながら、前に出た。
セントが「おお!」と嬉しそうな声をあげた。
「ウガツ先輩の一人芝居か! 楽しみだな!」
「一人芝居って、どんなことをするの?」
「そうだなあ。淡々と一人語りで進行していくもの、相手がいるていで芝居をするもの。それぞれあるけど……どちらも、かなりの演技力がいるんだ。何しろ、舞台には自分しかいないんだからな」
そうか。
お客さんは舞台にいるウガツ先輩だけに注目するよね。
プレッシャーも他の舞台とは、一味も二味も違いそう。
「それじゃあ、〝久しぶりに再会した相手が都会に染りきっていて、ガッカリしたときのシーン〟をやるよ」
な、なにそれ!
どんなシーンッ?
驚いたままの私を置き去りに、苅安賀先輩がパンッ、と手を叩いた。
「エチュード、スタート!」
パン、と苅安賀先輩が手を叩く。
すると、ウガツ先輩の表情が一瞬で変わる。
朗らかで落ち着いた余裕のある表情から、おどおどとした挙動不審なものに。
「ああ、もう。約束の時間遅れてるんだけど……。アイツ、どこにいんだよ……。駅前、人多すぎ……」
ガラッと、場の雰囲気も一転する。
劇団ヒミツ基地の演劇小屋から、ウガツ先輩の舞台へと染まっていく。
「さっきまでとは〝まるで違う人〟だ……」
すごい!
これが、ウガツ先輩の演技。
ふと、ウガツ先輩が一歩横へと、立ち位置を変えた。
何で、移動を……?
先輩の表情が、パッと変わる。
おどおどした演技から、今度ははじけるような満面の笑みを浮かべた。
パアッと輝く笑顔で、さっきまでの立ち位置に向かって手を振っている。
「よっす! 待たせたなあ! わりいわりい!」
また立ち位置が戻る。
先輩の表情は、暗いものに変わる。
「……お前、誰だ?」
「誰って、俺だよ俺。お前の幼なじみじゃんよお」
「違う。僕の幼なじみはこんな陽気なヤツじゃない」
演じる役をチャンネルを変えるかのごとく、変えていくウガツ先輩。
一人の人間から、二人の人間を同時に見せられている!
浮かべる表情も、しゃべり方も、二人とも全然違う。
なのに、どっちがどっちなのか、はっきりわかる。
これが、一人芝居。
私たちの目の前には、確実に〝二人いる〟!
「都会の色に染まっちゃってんな! 見事なまでに!」
「だろ? サーフィン、始めたんだ。俺、輝いてるだろ」
「おお。すげえ、きらきらしてるよ……」
「お前もサーフィン始めたら、きらきらできるぜ!」
「ああ、僕の視界がきらきらしてるよ。変わり果てたお前への、悲しみの涙でな」
「ん? なんか言ったか? よーし、サーフボード買いに行こうぜ!」
最後は手を引かれるパントマイムで、その場から退場していく。
陽気な方に引っ張られていった、という設定だろう。
苅安賀先輩がパンッと手を叩き「オッケー」と声を上げた。
「まったく噛み合わない二人の会話、見事だったな。明るい性格と、おどおどした性格の二人の対比もよかった。明るい性格の人物が、前はどういう性格だったのかが、もう少し見えたら更に面白かったかもな」
これにダメ出しっ?
これでも、完璧なエチュードじゃないの?
ウガツ先輩は苅安賀先輩のダメ出しを「ふむふむ」と真剣に聞いている。
こんなすごい人でも、まだまだ成長しようとしているんだ。
私も……もっと成長したい。
でも……!
こんなすごい演技されたあとに素人の私の演技を披露するの?
ムリムリ、絶対ムリ!
「自信がなさそうじゃないか。沈丁花くん」
ウガツ先輩が手を後ろに組んで、私の顔をのぞきこんでくる。
「当たり前です! 先輩のすごい演技の後に、素人の私の演技なんてとても見せられないですよ!」
「沈丁花くん。君はエチュードに必要なものが何か、わかるかい」
「わからないです……」
演劇素人なのにそんな専門的な質問、答えられるわけないよ。
「君が持っているスキルで、今の質問は解決するよ」
「えっ」
その時、私はウガツ先輩がさっき言っていたことを思い出した。
———沈丁花くん。僕はきみの〝スキル〟を買っている。ぜひ頑張ってくれたまえ。
私が持っているスキルは、エチュードに必要なものってこと?
でも、演劇初心者の私がいくら考えたところで、わからないものはわからない。
「答えは自分で見つけてごらん。まずはやってみるんだ。つたなくてもいいんだよ。読み聞かせも演劇も、まずは場数からと言うだろう」
その通りだ。
これまでは小さい子たちの前が、私にとっての舞台だった。
演劇も〝やってみたら〟わかることがあるのかも知れない!
よし、やってみよう。
意気込んだところで、苅安賀先輩の鋭い視線が注がれていることに気づく。
とたん、心臓がバクバクと踊り出した。うわあ、ド緊張してきちゃった!
「マシロ、マシロ」
「セント。な、何?」
「お前さ。読み聞かせのとき、よく小さい子らにムチャぶりされてたよな」
「む、ムチャぶり?」
そんなのされてたかな。
「絵本を読み終わって、おしまいって言ったあとなのに、みんなが〝このあとどうなるの?〟ってさ」
「ああ、あれね。あんなのしょっちゅうだよ」
「しょっちゅう? 毎度毎度、〝このあとどうなるのか〟を答えてたのか。前の日に考えてきてるとか?」
「ノリだよ! その時、その場に浮かんだやつ。だってその場にならないと、何を聞かれるかはわからないでしょ? 事前に答えを用意しておいても意味がないんだよ」
「……それだよ、それ」
「え?」
「それが、アドリブ」
ポカン、としてしまう私。
「即興で作って答えてたんだろ。それができるなら、即興劇であるエチュードもできるんじゃないか」
読み聞かせの時みたいに、言われたことを反射的に答えていけば良いってことか。
だったら……。
「……うん、わかった。やってみる」
苅安賀先輩を見ると、床で足を開いて、ストレッチをしていた。
うわあ、床にお腹がぺったりついてる! 柔らかい!
「言い訳は終わったのか、一年生」
そして、毒舌がすごい……。
「やる前からできないと言うなら、伸び代なんかないぞ」
うん。もう演劇素人だからって、言い訳はしないよ。
ウガツ先輩とセントに、たくさんアドバイスをもらったんだ。
「エチュード、やってみます!」
私の宣言に、苅安賀先輩は「そうか」と立ち上がった。
「ルイ。エチュードのお題は?」
ウガツ先輩は「そうだねえ」とうなってから、パッと顔を上げた。
「少しひねったのにしてみよう。〝魔法がある世界の学校〟って言うのはどうかな」
「……へっ?」
待って! 演劇初心者の初めてのエチュードが魔法学校ッ?
設定が特殊すぎる!
「そんなの……ッハ! 視線を感じる!」
案の定、苅安賀先輩がこちらを見ていた。
とてもガッカリした表情で。
うう、また呆れられちゃった……。
さっき、素人を言い訳にしないって、決意したばっかりなのに……!
私がしょんぼりと肩を落としていると。
苅安賀先輩の手が、スッとこちらに伸びてきた。
「こんなところで何をしている、一年生。もう次の授業のベルが鳴るぞ」
「……え」
さっきまでとはまるで違う、苅安賀先輩の朗らかな表情。
優しい仕草。言い方も刺々しくなくて、柔らかい。
今、目の前にいる人……誰ッ?
これってまさか——エチュード、始まっちゃってる?
「教科書も持っていないのか。次の授業は何なんだ? 一年生」
「あっ、うっ……」
台本もないのに次々と台詞が飛び出してくる、苅安賀先輩。
やばい、何か返さなきゃ!
えっと今……〝次の授業は何なんだ〟って聞かれたんだっけ。
どうしよう。算数、国語、いや理科かな。
……いや、違う違う!
これは魔法がある世界の設定のエチュードなんだ。
じゃあ、普通の世界の学校とは違う勉強をするはずだよね。
映画やアニメであるような不思議な実験や、呪文の勉強。
でも、アレはどんな名前の科目なんだろう。それが、わからないよ~!
(あっ、そう言えば……)
この間、図書館で読み聞かせをした絵本!
『まほうつかいのプーとしあわせのはな』に魔法が出てきたっけ。
プーは、薬草で人々を幸せにしている優しい魔法使いなんだ。
滅多に生えない幸せの花を求め、旅をしている。
ラストにはようやくその花を見つけ、世界を幸せで満たしてくれた。
魔法使いに薬草はつきものなのかも。
だから、魔法使いの学校にそんな授業があっても不思議じゃないよ!
うん、次にやる授業の科目は……!
「や、薬草学です」
「なるほど。薬草学か」
「そ……そう、それですっ」
ちょっともたついたけど、会話の流れは違和感がなかったよね。
しかし、ホッとしたのも束の間、当然次のセリフは飛んでくるわけで。
「そう言えば、一年生。この間偶然、我が校の卒業生であるエドワード先輩にお会いしたんだ。先輩は、魔法のホウキに使う木を育てる〝魔法林業科〟に進学なさったそうだぞ」
「へえ……そうだったんですね。エドワード先輩はすごいなあ」
「ああ。ところでお前はこの学校に入学して、将来どんなことをしたいと思っているんだ?」
うう、やっぱりこの流れだとそうくるよね。
でも、エチュードで演じ始めたばかりの、この役の将来なんて想像もつかない!
どう答えればいいの~!
(あっ! そ……そうだっ!)
「えっと、薬草で人々を幸せにしたい……です!」
「ほう、良い夢だな。立派じゃないか」
ホッ。『まほうつかいのプーとしあわせのはな』を参考に何とかひねりだせた。
これが即興劇か。子どもたちを相手にする時とは比べ物にならない。
もう頭がパンクしそう!
しかし、苅安賀先輩のアドリブはまだまだ止まらない。
「そう言えば、この間の屋外授業で偶然お前を見かけたが、なかなかホウキを乗るのがうまかったな。よかったら、コツを教えてくれないか」
ええーっ! ホウキに乗るコツっ?
そんなの……本当に本当に!
知るわけないよおおおおお!
焦って苅安賀先輩を見上げると、ニヤニヤとした顔で私を見下ろしていた。
〝さあ、どう返してくる?〟
そう言いたげな表情だ。
でも私は、魔法のホウキに上手に乗るコツなんて分からない。
なぜなら、乗ったことがないから!
このエチュードは魔法がある世界の学校、という設定。
つまり私が演じている役の子は、ホウキに乗ったことがあるということ。
しかも、苅安賀先輩の台詞によると、私の役の子は〝ホウキに乗るのがなかなかうまい〟らしい。
これは、苅安賀先輩が私の役を〝肉付け〟したんだ———勝手に!
台本のない即興劇だからこそ起きるアクシデント……いや、私からしたらトラップだよ、もう!
だけど……私はこれに抗うことも、出来る。
〝違います。それは私の双子の妹ですよ〟とでも言えば、私はホウキに乗るのがうまい妹の姉になることができるんだ。
だけどそれは……負けた気がしてなんか嫌だ!
ここは何とか、苅安賀先輩に対抗していきたい。
うまいアドリブを見つけたい……!
何か、いい返しはないかな。
……もし、もしこれが。
〝苅安賀先輩からじゃなく、小さい子たちからの質問だったとしたら〟。
私は、なんて返すだろう?
『ねえねえ、マシロちゃん。この絵本みたいに、ホウキに上手に乗るにはどうすればいいかなあ?』
……って、言われたとしたら……。
そのとたん、私の口がパカっと開いた。
「そうですね……。ホウキって、馬と似てるんですよ!」
「……馬?」
苅安賀先輩が不思議そうな顔をする。
「はい。私の家、馬を飼っていたのでよく乗馬をしていたんです。だから、その経験もあってかホウキに乗るの、ちょっと得意なんです!」
「ふむ。馬と似ている……か。わかりやすい説明だ。今度、俺も近場の牧場で乗馬体験の申し込みをしてみよう」
「乗馬の感想、よかったら聞かせて下さい」
「もちろんだ。アドバイス、ありがとう。そろそろ、ベルが鳴る。薬草学の授業に遅れるなよ」
「はい。こちらこそ、ありがとうございました」
苅安賀先輩が、そこから立ち去る動作をする。
———パンパンッ!
ウガツ先輩の手を叩く音。
エチュード終了の合図だ。
ウガツ先輩は満足そうな笑顔で、私と苅安賀先輩に向けて拍手をしてくれた。
「二人のアドリブ会話、とても良かった! 魔法がある世界の学校、と言う設定をうまく使えていた。沈丁花くんは会話のテンポが悪かったことや、ずっと棒立ちだったことなど課題はあるが……それでも初めてでこれだけアドリブ会話が出来るのは強みだと思う。素晴らしかったよ!」
そうか。しゃべることに夢中で気づかなかったけど、私ずっと棒立ちだった。
これじゃあ、見ている人はつまらないよね。
すると、セントが言った。
「マシロ、お笑い好きだったよな。コントって見たことないか? あれを参考にすると、いい身振り手振りの勉強になるぞ」
「コントかあ。確かに、自分が会話に入っていないシーンでも頷いたり、腕を組んだりしてるよね」
「だろ?」
「……そういえば舞台って、テレビドラマと違って、身振り手振りが多いし、動きが大きいよね。なんでだろ?」
思わず気になったことが、ぽろりと出た。
するとウガツ先輩が両手をパッと広げ、私たちの前に躍り出る。
わざとらしい動きでも、先輩は堂々としているからか、違和感がないのがすごい。
「舞台とは加工や編集のない、その場で生まれる物語だ。だからこそ一秒の一動作に全てをかける。でも、動作を大きくすれば良いってものでもないんだ。演者は、その役柄の人生を演じ〝体現する〟。一番大切にすべきは、それなんだ」
「役の人生を演じ———体現する?」
「そう。それが役者だ」
今まで生きてきて、考えたこともないよ。そんなこと。
私にも、分かる日が来るのかな。
「はあ……。〝演劇はナマモノ〟とはよく言うが、この一年生の理解スピードではナマのまま腐らせてしまいそうだな」
またまた苅安賀先輩の容赦のない毒舌が炸裂する。
どうせ私はせっかく買っておいたプリンを大切に取っておきすぎて、家の冷蔵庫でとうとう賞味期限を切らせてしまうような人間ですよっ。
でも、さすがにプリンを腐らせたことはないですから!
「さてさて。そういうわけだ、沈丁花くん。来たる〝十六夜大演劇祭〟に向けて、これから頑張ろうじゃないか!」
ウガツ先輩の景気のいい意気込みに、首を傾げる私。
「十六夜大演劇祭……?」
すると、セントがあわてて飛んでくる。
「マシロ。説明しただろ。ウガツ先輩が去年、路上演劇で大賞をとった演劇祭だよ」
そういえば、セントがそんなことを言っていたっけ。
「去年は、先輩一人で出たんですよね」
「そうだ。パフォーマーとしてなら一人で出れるが、部活や劇団などの組織的なエントリーとなると最低〝三人の演者〟が必要なんだ」
「ん? それって」
今、ここには私を除いて三人の人間がいる。
しかし、セントは美術部だから除外。
だから、ウガツ先輩と苅安賀先輩で二人。
つまり、三人目が必要になる。
これって、まさか……!
「確かな朗読の技術。エチュードで見せたアドリブ力。三人目は君しかいない! 沈丁花マシロくん!」
やっぱり私、数合わせじゃん~~~ッ!
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