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そうは思っても、堺には言わない。
もしかしたら松本が椿さんを好きな可能性があるからだ。松本自身が気づいていないだけで…。
新人が入ってきてから2ヶ月近く経ったとき、
俺は初めて椿さんらしき人とすれ違った。
上司と一緒で、仕事の話を真面目にしているようだった。
俺の存在には気づいてもいないのか、
ただただ上司に話しかけて時折笑顔を見せた。
椿さんらしき、と言ったのは、
見たことのない女性社員で、俺よりも若く見えたから。
部署や階が違うとはいえ、
去年からいる同職種の社員は大体わかる。
10階にはクリエイター用のPC室があるため、
11階の人がこちらに来ることは多いのだ。
逆はほとんどないが。
ただ、11階には椿さんのほかにもう1人新人の女性が入っているらしかった。
可愛いと思ったから椿さんと決めつけるのにはまだ早い。
松本に確認をすると、
もう1人はロングヘアで、椿さんはショートだと言う。
そこで初めて、椿さんがあの子だと確信した。
次にすれ違ったのは、
松本とお昼から帰ってきた時だった。
「あ、おつかれー!」
何がそんなに嬉しいのかと思うほど屈託のない笑顔で松本に手を振る彼女。
「おつかれ。」
「お疲れ様です。」
隣にいた俺にも丁寧に挨拶をする。
初めて彼女の視界に入れたのではないかと思った。
「お疲れ様です。5年目の葉山です。」
「よろしくお願いします。11階の椿です。松本と同期です。」
「よく話に聞いてます。」
2人の仲を探ろうと、カマをかけてみる。
「え!本当ですか。悪口じゃないといいんですが…。」
話しやすい松本を通してではなく、
しっかりと俺に向き合って受け答えしてくれる。
先輩受けがいいわけだ。
「じゃあまた。今度飲みにでも行こう」
「ぜひ!お願いします。」
ほんの少しの会話の中でも、
嬉しそうな顔や驚いた顔、困り顔をみせる。
ころころと表情が変わる、感性が豊かな子だと思った。
「椿ちゃん、初めて話したよ。」
エレベーターの中で松本に伝えると
「どうでした?」と漠然とした質問をしてくる。
「どうって、いい子そうだったな。人気なのもわかる。」
「俺の前ではあんなに良い子じゃないんですよ…」
なぜかこの時の俺には、
松本の言葉は、自慢にしか聞こえなかった。
もしかしたら松本が椿さんを好きな可能性があるからだ。松本自身が気づいていないだけで…。
新人が入ってきてから2ヶ月近く経ったとき、
俺は初めて椿さんらしき人とすれ違った。
上司と一緒で、仕事の話を真面目にしているようだった。
俺の存在には気づいてもいないのか、
ただただ上司に話しかけて時折笑顔を見せた。
椿さんらしき、と言ったのは、
見たことのない女性社員で、俺よりも若く見えたから。
部署や階が違うとはいえ、
去年からいる同職種の社員は大体わかる。
10階にはクリエイター用のPC室があるため、
11階の人がこちらに来ることは多いのだ。
逆はほとんどないが。
ただ、11階には椿さんのほかにもう1人新人の女性が入っているらしかった。
可愛いと思ったから椿さんと決めつけるのにはまだ早い。
松本に確認をすると、
もう1人はロングヘアで、椿さんはショートだと言う。
そこで初めて、椿さんがあの子だと確信した。
次にすれ違ったのは、
松本とお昼から帰ってきた時だった。
「あ、おつかれー!」
何がそんなに嬉しいのかと思うほど屈託のない笑顔で松本に手を振る彼女。
「おつかれ。」
「お疲れ様です。」
隣にいた俺にも丁寧に挨拶をする。
初めて彼女の視界に入れたのではないかと思った。
「お疲れ様です。5年目の葉山です。」
「よろしくお願いします。11階の椿です。松本と同期です。」
「よく話に聞いてます。」
2人の仲を探ろうと、カマをかけてみる。
「え!本当ですか。悪口じゃないといいんですが…。」
話しやすい松本を通してではなく、
しっかりと俺に向き合って受け答えしてくれる。
先輩受けがいいわけだ。
「じゃあまた。今度飲みにでも行こう」
「ぜひ!お願いします。」
ほんの少しの会話の中でも、
嬉しそうな顔や驚いた顔、困り顔をみせる。
ころころと表情が変わる、感性が豊かな子だと思った。
「椿ちゃん、初めて話したよ。」
エレベーターの中で松本に伝えると
「どうでした?」と漠然とした質問をしてくる。
「どうって、いい子そうだったな。人気なのもわかる。」
「俺の前ではあんなに良い子じゃないんですよ…」
なぜかこの時の俺には、
松本の言葉は、自慢にしか聞こえなかった。
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