【完結】呪いを受けた少女は今日も元気です(子豚になったけど呪われたままでいいかも)

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新しい護衛がイケメン過ぎる

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リズを迎えに正門に向かう途中、厨房で働くマイルが麻袋を肩に担いで歩いているのが見えた。

マイルは、パイ料理を覚えるため修行に行ったミゲルの次男だ。

小麦の入った麻袋は恐らく30㎏ぐらいだろう。父親のミゲルと違って細身のマイルからすると、30㎏もする麻袋を厨房の裏口から食糧庫まで何往復するのは難しそうだ。すでに足がぷるぷるしているし、歩いているつもりかふらふらで今にも倒れそうだ。

「まあ、マイル。無理をしては駄目よ。私がさっさと運ぶわ」

「あ、お嬢様。駄目です、小麦が入った麻袋は服が汚れますから・・・・またお嬢様が旦那様に怒られます。大丈夫ですから」

厨房の裏口を覗けば6袋がまだ残っていた。重さを確かめたエレーナがひょいと両肩に麻袋を乗せ、食糧庫に運んだのはたった5分。エレーナが『ほらね』と言うばかりに「大丈夫よ。この量だったら2往復もすれば終わるわ」と言って、肩に担ごうとしゃがんだ。

「お嬢様、重たいものを運ぶ時は私に声をかけてくださいと何度も言っていますよね」

エレーナが小麦を背に担いでいると、目の前に長い脚が見えた。

「うお?」

「うお、じゃありません」

「カ、カイルじゃない。今日は休みじゃないの?」

「休みだったので今まで出かけていましたが、戻ったら裏口にお嬢様が見えたので」

「はっはっは・・・そんなに重たくないし、いいかなって」

カイルは3ヶ月前から私専用の護衛をしている。お父様がどこからか腕を見込んで連れて来た。ブラウン家が新たに人を雇うのは私が知る限り初めてだ。

「カイル、見なかったことにしてもらえないだろうか」マイルが慌てて自分が頼んだのだと謝りだした。

カイルからしたら良くある光景で、一切信用していないのだろう。じっとエレーナを見るが、エレーナはマイルを庇いながらも逃げるように一歩後ろに下がった。

「じゃあ、もう担いだし運んじゃうわね!」

小走りで食糧庫に行くと麻袋を下ろし『お風呂に入ってくるわね~』と言って逃げるように部屋を出て行った。

「ぷっ」カイルとマイルが顔を合わせて笑い出した。

「相変わらずお転婆で困りましたね」

「そこがお嬢様の優しさなのですがね・・・」

屋敷の誰もがエレーナが呪いのせいで醜くなったと言うが、エレーナと接すると心の美しさは変わっていないと安心するのだ。最初に驚いた外見も慣れれば、リスのように愛嬌のある瞳がとても可愛らしい。
普通の令嬢として学園に通えばいいのではとも思うが、呪いをかけた犯人の狙いが分からない以上外出を控えるのも理解できる。

この屋敷はお嬢様が外からは認識できない魔法がかかっている。使用人たちは全員がある指輪をしている。その指輪を身に付けた者だけが、お嬢様を認識できるのだ。

カイルがこの屋敷に来たときに、指輪を渡された。指輪をはめた瞬間エレーナを認識することができた。ずっと父親であるブラウン侯爵の横に立っていたのだ。慌てて騎士の挨拶を済ませると、一緒にお茶を飲んだ。

カイルも背が高く、エリアスほど胸板は厚くないが、それでも元騎士だけあって服の上からでも筋肉が分かる。2歳年上を聞くと、同じ年ごろの使用人がリズ以外いなかったので少し緊張をしてしまった。
「屋敷の中でこんなに醜い私を襲う人もいないのに、専属の護衛なんて笑っちゃうけどよろしくね」と恥ずかしさを誤魔化すように、おどけて肩をすくませた。

そのときカイルはブラウン侯爵から娘が呪いにかかったと聞いたが、嘆くこともなく明るく話すエレーナがとても新鮮だと思っていた。

「こちらこそ、お願いします」と微笑んで頭を下げると、少しでも嫌な顔をすればこの屋敷から叩き出せたのにとお父様は少し不満そうだ。自分が雇っておいて変なお父様だ。

「貴方の護衛ですが、友達でもあります。なんでも気軽に話してください」

「う~ん。話と言っても私にはたいした話題はないのよ」

そう言ったが、自分の周りにいる令嬢たちの流行りのカフェやドレスの話、時には誰かの悪口や嫉妬話より、よっぽどエレーナと話す方が楽しい。その話はただの季節の花や魔道具の話、屋敷にいる使用人の家族の話なのだが、エレーナの視点が面白くコロコロ変わる表情も可愛らしい。ブラウン家の話は時々隣国でも噂になる。

ブラウン家の領地で開発された画期的な農具の話、貴族としては珍しい美しい奥様との恋愛結婚。つい最近は妹のカテリーナ嬢が平民と結婚したと聞いた。ときどき中庭でイチャイチャしているのを見かける。確かに気配は消しているが、仲の良さがうかがえる。

そして、この家の使用人たちが少し変わっている。料理長のミゲルが隣国でも流行っている『エレーナも大好きふわふわソフトクリーム店』のオーナーだと言う。

その息子たちもカリー専門店やパイ専門店、そして忙しい官僚たちや騎士団にも人気の高いおにぎり専門店のオーナーだった。隣国でも定番になりつつある彼らの料理は、人気のデートスポットとして毎日賑わっていると聞く。

エレーナとは誰かと思っていたが、まさか目の前にいるエレーナ嬢だったとは。

そのほかにもリズ・ロウゼンは100年にひとりの天才と言われるバイオリンニストだ。隣国にも招待して演奏を聞いたことがある。心に迫るような旋律に、涙が流れるのをぐっと我慢した記憶がある。そのリズがエレーナのメイドとして働いている。

言い出したら切りがないメリーは王族御用達のドレスデザイナーだし、メグの刺繍は芸術性も高く持っているだけでお宝になるほどだ。そして、庭をみればプロフェッショナルズの庭園特集でもお馴染みのカリスマ庭師であるヨハンが弟子たちに指示を出していた。

エレーナはシンプルなデザインのワンピースを着ているが胸元や裾にさりげなく飾るのはメグの刺繍だろう。そして、見事な縫製はメリーが手掛けたのだろう。

最初に、ここにいるのはただの使用人だ。色々驚くことがあると思うが決してエレーナには言わないで欲しいと頼まれた。その代わり、私の秘密も守っていただくようにお願いした。

***

カイルはどこかの国の王子様みたいに格好良くて、最初は戸惑ったけど思ったより気さくな人で良かった。美しいお兄様を見て育ったから、思った通りカイルの外見に慣れるのは早かった。ふたりが並んでいると絵になって萌えるけど、まさかふたりが・・・なんて展開は来るのかしら。
可愛いいリズとの大恋愛もいいかも・・・

「お嬢様、何か悪だくみでも考えている顔ですね」

「まっ、これは普通の顔よ」

醜い私が誰かを好きになっては相手が困るのだ。私は侯爵令嬢で、お父様は宰相と言う高い地位にいる。お父様が私の結婚相手に望めば、相手によっては断れないだろう。

カイルは物知りで、様々な国の話をしてくれる。ギュリール王国の話が特に興味深かった。ギュリール王国は軍事力や技術が発達している大国だ。

身分に関係なく努力した者を評価する。例え孤児であったとしても大切に保護され、平民と同じ教育を与えられる。そんな孤児から努力して将軍なった人、奴隷だった人が助けられ宰相になった人の話を聞いた。王族や貴族も古い考えに囚われず、平民が王族に見初められ結婚したシンデレラストーリーもあるという。

この国なら、外見が醜くても私にもできる仕事があるかもしれない。
私は、もっと話が聞きたいとせがむとカイルは嬉しそうに話を続けてくれた。



最近は、カイルとふたりで話しているだけなのに、お父様が『未婚の男女の距離が近すぎる』言って注意をしてくることがある。お兄様もカイルに『エレーナに必要以上に近ずくな』とか言ってたけど、うちの家はみんな過保護なところがある。

カイルが私に手を出すなんてあり得ないのに、逆に親ばかで恥ずかし過ぎる。今日も中庭で話をしているだけなのに『楽しそうだな。私も一緒にお茶をいただこう』と言って邪魔をしてきた。

カイルは苦笑いをしていたが、本当に止めて欲しい。

***

そんな私も愛情一杯に育てられ、気づけば16歳になっていた。

お兄様も20歳。まだ、婚約者は見つかっていない。

2年前に学園を優秀な成績で卒業したので、官僚からのスカウトも激しかったがエレーナを守りたいと言ってあっさり、騎士の道を選んだ。お父様もアレンの好きにすればいいと言って反対もしなかった。

騎士になるとまずは騎士寮に住む必要がある。

「エレーナは私がいないと夜も寝れないだろう」

「いいえ、今までもお兄様がいない日はありましたが、ぐっすり眠れています」

「そんな事はないはず、エレーナは私に気を使っているんだ!ここは特別許可を取って屋敷から通うと言うのはどうだろう」

「アレン、さっさと寮に行きなさい。エレーナには私たちや屋敷の者がいるので大丈夫です」

そう言って切り捨てたお母様が、冷ややかに微笑んでいた。

「でも、母上。エレーナが・・・・」

「早く連れて行ってください」

部屋に呼ばれた騎士達が逮捕されたわけでもないのに、お兄様の両腕を掴まれて部屋方出ていく。お兄様が少し可哀そうな気もしたけど。まあ、お母様に言われて断れる人はいないわね。迎えに来た先輩騎士達もほんのり頬が赤くなっている。

今は話せないので笑顔で手を振ると、がっくり肩を落としていた。

部屋を出るときにカイルが「エレーナ様は私がお守りしますのでご心配なく」と言うと、なぜか機嫌が悪かった。
護衛なのだから守るのが仕事なのに、どうしてお兄様は怒るのかしら。

それでもお兄様は、週末のたびに帰ってきて王都で流行りのお菓子や小物を買ってきてくれる。素直に言えないけど、呪いのかかった邪魔くさい妹を愛してくれる優しいお兄様なのだ。

屋敷に帰ってきたお兄様は、私のマシュマロのように柔らかい頬に手を這わしプルプルゆする。

「もう、お兄様はいつもそればっかり」

「ふっふ。気持ちいからね」

「カイルがいるのに・・・」

「・・・・なぜ、カイルを気にする」

殺気を込めた目でカイルを睨むお兄様に「リズがいてもヨハンがいても誰でも同じです。もう大人ですから・・・私だって見られたら恥ずかしいのよ」と答えた。

「そうだよね~カイルはヨハンと同列。くっくっ」

アレンは、カイルに見せつけるように存分にエレーナを庇い倒す。

そんなお兄様を心配して、早くお兄様も婚約者を決めなくてはと言っても『妹より可愛いと思う子がいない』と言うばかり。

「身内のひいき目にしても私が可愛いだなんて、お兄様はもしかして目が悪いのかもしれないわ」

病気を心配して真剣にカイルに相談すると『正常だから問題ない』と言われた。



今日お兄様がお父様に呼ばれたのは、聖女に関する重要な話があるからだ。

っぷ、聖女って伝説的なあれでしょ?
どんな話か待ち遠しくって、昨日は珍しく眠れなかったわ。誰が聖女になっても私は関係ないからいいけどね。
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