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「ミカエル、お前の手紙を受け取った」
「はあ?」
王宮で久しぶりにワイアットと会うことができた。屋敷に戻るためふたりで馬車に乗っていると馬車の揺れに眠気が誘われ、うとうととし始めたとき急にワイアットが訳の分からないことを言い出した。
(手紙って何の話だ?)
「手紙?」
「私だけがミカエルに会えなくて寂しいと思っていた訳ではなかったのだな」
「あーーーー!お前もしかして」
ワイアットは左のポケットに何かを握るように手を差し込んでいた。ミカエルは無理やりワイアットの左手をポケットから抜くとワイアットはサロンで書いたあの手紙を握っていた。
「な、な、なんで。それはふざけて書いただけで捨てるつもりだったのに。・・・リリアンか!」
「ああ、リリアンが忘れものだとお前達が来る前に来てくれてな」
「返せ!」
「駄目だ。これは私がもらったのだ」
「じゃあ、早く捨ててくれ!」
「嫌だ。額に入れて部屋に飾る」
「馬鹿じゃないか」
真っ赤になって泣き出しそうな顔のミカエルを抱き込むと、久しぶりに抵抗されたが手紙に書かれていた通り朝まで抱き潰したワイアットだった。
寝ていないのにけろっとした顔で仕事に出かけたワイアットに代わり、アウアー卿が夫婦の寝室の前で兄弟トリオの突撃を阻止してくれている。
「今日は駄目だ。ミカエルは疲れているから寝かしてやりなさい」
「もう、昼だよ~」
「久しぶりにミカエルお兄ちゃんの顔が見たかったのに」
「僕ミカエルお兄ちゃんの横でご本を読むだけだから入っていい?」
「そうだな。それぐらいならいいだろう」
「ちぇ、いつもアリーばっかりするいや」
「じゃあ、お前達はどこかに連れて行ってやろう」
「「わーい」」
アリーは一緒に行かなくていいのかと父上に言われたが『僕はいいよ。行ってきて』と断ると静かに手を振って見送った。
***
「お兄ちゃん、入るよ」
ガチャ
部屋に入るとミカエルの静かな寝息が聞こえる。ベッドに小さく盛り上がった毛布を見つけるとミカエルを起こさないようにゆっくりと毛布に入る。
顔にかかっていたハニーピンクの前髪を指で避けると長いまつげが見えた。7歳になったアリーは恋愛感情が何かは分からないけど、ミカエルが美しいことだけは理解していた。
最近ワイアット兄上の愛情を受け益々美しくなったミカエルをじっと見つめる。アリーにとって美しいとは顔の造形だけではない。ミカエルは十分に強いし、起きているときは思いのほか口も悪い。
以前喉が渇いてお母様を探しているとき、両親がミカエルの生い立ちについて話をしているのを聞いてしまったことがある。分からない単語がいくつか出てきたが、妹をかばって暴力を受けたり、自分より幼い子供にパンをあげていたと聞いた。
アリーは自分が傷ついていても他の人に優しくできる人が気高く美しいと理解したのだ。
そんな人と結婚をしたワイアット兄上が少し羨ましい。
「ん・・・?アリー来ていたのか」
「うん。ミカエルお兄ちゃん」
「今起きるから待ってろ・・・・ぐぅ!」
「あ、大丈夫?」
「くっそー・・・ワイアットめ」
ワイアットは弟たちに毎晩ふたりで筋トレをしているから絶対部屋に入るなと言っていた。
「体を痛めるまで筋トレをしたら駄目だよ」
「筋トレ?」
「・・・?」
「・・・?」
アリーが年頃になると薄々真実を知り、本気で筋トレをしていたと信じていた自分に悶えるのだった。
「はあ?」
王宮で久しぶりにワイアットと会うことができた。屋敷に戻るためふたりで馬車に乗っていると馬車の揺れに眠気が誘われ、うとうととし始めたとき急にワイアットが訳の分からないことを言い出した。
(手紙って何の話だ?)
「手紙?」
「私だけがミカエルに会えなくて寂しいと思っていた訳ではなかったのだな」
「あーーーー!お前もしかして」
ワイアットは左のポケットに何かを握るように手を差し込んでいた。ミカエルは無理やりワイアットの左手をポケットから抜くとワイアットはサロンで書いたあの手紙を握っていた。
「な、な、なんで。それはふざけて書いただけで捨てるつもりだったのに。・・・リリアンか!」
「ああ、リリアンが忘れものだとお前達が来る前に来てくれてな」
「返せ!」
「駄目だ。これは私がもらったのだ」
「じゃあ、早く捨ててくれ!」
「嫌だ。額に入れて部屋に飾る」
「馬鹿じゃないか」
真っ赤になって泣き出しそうな顔のミカエルを抱き込むと、久しぶりに抵抗されたが手紙に書かれていた通り朝まで抱き潰したワイアットだった。
寝ていないのにけろっとした顔で仕事に出かけたワイアットに代わり、アウアー卿が夫婦の寝室の前で兄弟トリオの突撃を阻止してくれている。
「今日は駄目だ。ミカエルは疲れているから寝かしてやりなさい」
「もう、昼だよ~」
「久しぶりにミカエルお兄ちゃんの顔が見たかったのに」
「僕ミカエルお兄ちゃんの横でご本を読むだけだから入っていい?」
「そうだな。それぐらいならいいだろう」
「ちぇ、いつもアリーばっかりするいや」
「じゃあ、お前達はどこかに連れて行ってやろう」
「「わーい」」
アリーは一緒に行かなくていいのかと父上に言われたが『僕はいいよ。行ってきて』と断ると静かに手を振って見送った。
***
「お兄ちゃん、入るよ」
ガチャ
部屋に入るとミカエルの静かな寝息が聞こえる。ベッドに小さく盛り上がった毛布を見つけるとミカエルを起こさないようにゆっくりと毛布に入る。
顔にかかっていたハニーピンクの前髪を指で避けると長いまつげが見えた。7歳になったアリーは恋愛感情が何かは分からないけど、ミカエルが美しいことだけは理解していた。
最近ワイアット兄上の愛情を受け益々美しくなったミカエルをじっと見つめる。アリーにとって美しいとは顔の造形だけではない。ミカエルは十分に強いし、起きているときは思いのほか口も悪い。
以前喉が渇いてお母様を探しているとき、両親がミカエルの生い立ちについて話をしているのを聞いてしまったことがある。分からない単語がいくつか出てきたが、妹をかばって暴力を受けたり、自分より幼い子供にパンをあげていたと聞いた。
アリーは自分が傷ついていても他の人に優しくできる人が気高く美しいと理解したのだ。
そんな人と結婚をしたワイアット兄上が少し羨ましい。
「ん・・・?アリー来ていたのか」
「うん。ミカエルお兄ちゃん」
「今起きるから待ってろ・・・・ぐぅ!」
「あ、大丈夫?」
「くっそー・・・ワイアットめ」
ワイアットは弟たちに毎晩ふたりで筋トレをしているから絶対部屋に入るなと言っていた。
「体を痛めるまで筋トレをしたら駄目だよ」
「筋トレ?」
「・・・?」
「・・・?」
アリーが年頃になると薄々真実を知り、本気で筋トレをしていたと信じていた自分に悶えるのだった。
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