契約に失敗した俺は……。

ど~はん

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49.矢

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「後ろから…………なぜ……。」

腹部を後ろから貫く矢を握り、両手を真っ赤に染めて真姫が言う。

「どうやら気づかなかったようだな。」

仲部がそう言った。
だが無理もないだろう。

矢が前方からではなく、後方から真姫の腹部を貫いたという、マジックショーかのような状況が出来上がったトリックは、 

少し前のこの場面を思い出してほしい。




「あなたが私の相手……ですって?…………、死んでも知らないわよ。」

そんな仲部の言葉に、先ほどの笑顔とは一転、冷たい声でそう返した真姫。

「サハクィエル……。」

「はい、わかりました。」

その言葉だけで通じるくらいに、噛み合っているのか……作戦を立てていたのかは定かではないが、
サハクィエルは【真実を射抜く弓矢】を構えた。

「あ~、怖い怖い。いきなりそんなの構えられてもねぇ~。逃げよっ!」

真姫はそう言って、仲部とサハクィエルから距離を取り始めた。

「忘れてもらっては困るな。お前の相手は俺とサハクィエルだけじゃない。少なくとも元一等陸佐だぞ?」

「なっ!」

真希が気づいた。

「アズラーイール!」

「さすが、頼りになる奴らだぜ。」

「くっ!!」

大きな破裂音に衝撃。
黒い煙と赤い閃光に包まれた真姫とアズラーイールだった。



この場面でサハクィエルは一度、真実を射抜く弓矢を構えている。
そしてその後の場面。




「航空自衛隊のミサイルなんかで死ぬわけないでしょ~。」

真姫は笑った。

「航空自衛隊のミサイルじゃな。」

仲部は余裕だった。
驚くこともなく、焦ることもなく。

「サハクィエル、成功か?」

「完璧です。」

なんのことなのか……、それは仲部とサハクィエルにしかわからない会話。
サハクィエルはそう答えて真実を射抜く弓矢を構えた。




ここで再び真実を射抜く弓矢をここで構えている。
そして、サハクィエルと仲部の謎の会話。

「さっきの航空自衛隊の攻撃の時、実はサハクィエルは矢を放っていたのさ、爆発の直後にね。」

「その矢があなたに刺さっている弓です。」

「な……、なん……ですって!?」

「最初に放った矢は、『転移の矢』。その名の通り、異空間に転移する矢です。」

「そしてさっきの矢が『開門の矢』。入り口を作ることができ、異空間に転移した矢を出現させる。」

仲部とサハクィエルがそう説明した。
この説明で、気づいた方はいるだろう。
仲部とサハクィエルの、

「サハクィエル、成功か?」

「完璧です。」

という会話。
これは相手が転移の矢に気づいていないか確認する会話。
航空自衛隊の攻撃直後に放ったのはその理由。

そして、開門の矢。
放った瞬間に消え、
使用者が自由に開門位置を指定できる。
開門するだけでダメージは与えられない。

転移の矢と開門の矢をあわせて、『消える矢』である。


「アズラーイール、こっ……これを消して……。」

『わかりました。』

真姫は両手を矢から放す。

アズラーイールは真姫の腹部すれすれに葬る鎌を振り下ろした。

斬られた矢は光を失い、真姫の腹部から消滅した。

「甘く見られたわね……、今度はこっちの番よっ!」

仲部を鋭い目で睨み付ける真姫。
そのまま両手を再び腹部に当てると、両手が緑色の光を放ち始めた。

「回復かっ……。」

仲部は少し動揺したように見えた。

「そうよ……、まぁ完全回復はできないわ。応急処置よ。」

『葬る鎌……。』

真姫とアズラーイールの反撃が始まるのだろうか……。
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