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14.祭り
しおりを挟む「す……き……」
「す……き?」
「スキルアップしたいの!」
覚悟を決めたのか、千瀬が大きな声で言った。
「え??」
「今の自分よりもっと上へ、上に登りたいの!」
「お……おう」
「だから、今度の作曲。私にやらせてもらえる?成羽が作詞担当で」
桜の木から葉が一枚宙を舞う。
「あの……それをここで?」
「シンセのあなたが作詞で、なんて話誰かに聞かれたら変でしょ」
そういって千瀬は歩き始めた。
そして成羽の横を通りすぎ、二人は背中を向けあっている。
「好き……」
千瀬は頬を赤くしてそう呟いたのだった―。
あれのことからまた数日後……。
なにが行われるかわかるだろうか?
そう………、
「さぁ、着いたぞぉ~!」
「着いたぁ……」
新幹線やらバスやらを使って到着したのは、
「来たぞぉ~、信州!!」
信州である。
「って、もっと田んぼが広がってて山!山!山ぁーー!って感じの田舎だと思ってたんだけど……、案外都会っぽい」
「達真……それはさ、長野県の人に失礼でしょ……」
三葉がそう言ってため息を吐いた。
「ここは長野でしょ?大町市とか白馬とかはそういう感じで」
成羽が言った。
「成羽……達真よりはましだけど、それもそれで言い方が……」
千瀬もそう言ってため息を吐いた。
※達真と成羽が失礼な発言をしました。
作者として長野県の皆様にお詫び申し上げます。
あ…私も長野県出身でした……。
「とりあえず長野駅に着いて、一息ついているところ悪いんだけどこれからバスだぞ?」
「まだなの!?」
千瀬が驚く。
「こんなとこに野草があると思うか?」
彼らの現在地は長野駅。
見渡すと、車の列と人混み、さらに山ではなくビル、マンションなどの建物ばかり。
「これからどこに行くの?」
「大町市だ。塩の道祭りってのがあってな」
※塩の道とは、毎年ゴールデンウィークの時期に行われる祭りである。
内容は、簡単に説明すると『歩く』というもの。
ちなみにコースがある。
小谷コース→高低差があり、軽い山登りのようなコース。
白馬コース→北アルプスの景色が綺麗!写真好きにはいいかもしれない。
大町コース→2つ選択できる。
コース1→湖畔の自然を楽しめる。
コース2→国宝などを見学でき、歴史や文化を感じられる。
「そんなのがあるんだ」
「参加するぞぉ」
『はぁ!?』
いきなりな発言。
そしてそれは、信州野草フェスティバルの開幕なのであった……。
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