軽音部の恋物語は音を奏でるだけでは成立しない?

ど~はん

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13.告白

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「で、なにそれ」

「内容は現地でするよ」

「大きいイベントかなにかなの?」

三葉が聞いた。

「いいや、俺が考えたやつだよ。俺らだけのフェスティバル」

「いやな予感……」

成羽は呟いた。

その予感が的中することになるなんて、この時誰も思いはしなかった……。




次の日―、
今度こそ日常に戻ったよう……だ。

「暇そうね」

時は昼休み。
成羽は昼食を食べ終わり、特になにもしていなかった。

「おう、暇だ」

「じゃあ、ちょっと付き合ってくれる?」

「いいが?」

まだ昼休みは時間がある。
成羽は軽音部の練習だろう、そう思っていた。

「ここでいいかな」

そう呟いた千瀬。

「桜の木……」

成羽の目に映ったのは、綺麗なピンクからすっかり緑に姿を変えた桜だった。

「そう、話があるの」

成羽を見る千瀬。

両手は後ろで組み、上半身をやや傾けている。

「話?」

「もう4年目?一緒にやって来て」

「あぁ、そのくらいだな」

「早いね。」

突然、桜の木が強く揺れた。
その瞬間、千瀬の滑らかな髪が踊った。

太陽は天の一番高い所へ、そして彼らを強く照らす。
それはまるでスポットライトのよう……。

「なんかさ私、成羽の……かっ彼女みたいに見えない?」

「そうかな?」

「まぁ、いいけど」

小さく言った千瀬のその言葉は、風と木々の声に消され成羽には届いていない。

「あの……さ、本題に入るんだけど」

「ん?」

太陽の強い光からなのか、それとも……他に理由があるのか、千瀬の顔はいつもより赤くなってるように感じられた。

「す……」

成羽から視線を外して、下を向いて言い始めた。

「す?」

「す……き……」

「ん?」

すき……その言葉は、また風と木々の声に負けて成羽まで届かない。

「す……き……」

「す……き?」

「スキルアップしたいの!」

覚悟を決めたのか、千瀬が大きな声で言った。

「え??」

「今の自分よりもっと上へ、上に登りたいの!」

「お……おう」

「だから、今度の作曲。私にやらせてもらえる?成羽が作詞担当で」

桜の木から葉が一枚宙を舞う。

「あの……それをここで?」

「そ……そう、だってシンセ(シンセサイザー)はあなたでしょ。」

「そうだけど……」

「シンセのあなたが作詞で、なんて話誰かに聞かれたら変でしょ」

「ん……まぁそう……なのかな?」

「そうだよ……、じゃあ」

そういって千瀬は歩き始めた。
そして成羽の横を通りすぎ、二人は背中を向けあっている。

「好き……」

千瀬は頬を赤くしてそう呟いたのだった―。
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