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6 恋人たちの逢瀬
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「許せ――困るのだ。殿にも妻にも顔むけできぬ」
兄が言った。
艶めかしい姿態で兄をうっとり見つめる足柄の瞳から光るものが流れた。
「奥様方? たくさんの女人を囲っておいでですもの,さぞや大変でございましょうね。でもいずれの女人も本当には愛しておられない。お可哀相な奥様方――それでも羨ましい。時折はお慈悲を賜れますもの」
どっと涙が溢れた。
「足柄は遊びでございました――いいえ,今も頼通さまの遊びでございます」
「よさぬか――」
「真実を申しあげているまで。テイさまがお命じになったからではございませぬか。頼通さまのもとへ行けと」
「位人臣を極めるお方に見初められたのだ。誇らしい境涯ではないか。たいそうな御寵愛を受けて絶大な力も得た」
「たいそうな御寵愛?……」
足柄が自嘲的な笑みを浮かべた。
「いかなる奉仕を強いられておるのか御存じなのですか――深山奥で遊びをしていた頃のほうが,よほどましでございますよ!」
「もうよい,やめよ――」
「いいえ,構わぬのです! テイさまのお役に立っていると思えば耐えられます」
ゆっくりと歩を進め,兄との距離を縮める。
「これほど都合のよい妻妾がほかにございましょうや? 奥様方の何処が足柄に勝っているのです? 少しばかり出自がよいというだけではございませぬか。出自を鼻にかけ尊大に構えておいでの奥様方が,テイさまの目を盗み,遊びと同じ所業に及んでいるのです。陰では穢れきった淫楽に身を投じているのでございますよ。薄汚い女どもなど捨てておしまいなさいませ!」
「申せば申すほど己が惨めになるだけだ」
「殺しますよ!――」
流れる涙もそのままに上目遣いで睨みつける。
「テイさまの遊びどもをみな亡き者にしてやる!」
「さすれば新しい妻を娶ろう」
「また殺します。みな殺すのです――」
兄の胸に飛びこみ,身をよじらせながら,あちこちを撫でまわす。
「慰み者にお加えいただきとうございます。不満鬱憤の捌け口でよいのです。心遣りに御乱行召されませ」
「主人に,ようしてもらえ――」
足柄をひき離し両眼を細める。微笑したようにも見えた。
「覚えておいでですか――」
憑かれたような面持ちで,両手をいつの間にか相手の袖口にさしこんでいる。兄がそれを振り解こうとするも自由はきかない。
「最初の夜のことでございます……お気の毒なテイさま。でも足柄はどうしても欲しかった。美しく気高く聡明で艶やかなあなたさまが――」
「度が過ぎるぞ――」
「力ずくで思いのままにできるのですよ! その気になればいつでも奪える!……あの夜のように!」
「また術を使うのか――陰陽の術を」
「さようです。御存じのとおり足柄は蘆屋道満の末裔にございますから。安倍晴明すら手を焼いた悪名高き陰陽師の血筋をひく蘆屋星満にございます」
兄を凝視したまま口端をつりあげる。
「男盛りになられたテイさまに再会して以来,安らかに眠れた夜はございませぬ。何卒お情けを――お救いくださいませ――」
2人が激しく揉みあううちに兄が小さな声を発した。
「テイさま……」
足柄に一瞬の気の迷いが生じたのを見逃さず,兄は後方に飛びのき,袂で顔を隠した。露わになった腕に紅いものが滲んでいる。
「あの……」
「来るな,俺に近づくな――」
袂をずらし両眼だけを覗かせ,長い睫毛の奥から何かを見極めようとする。
「その術で,おまえの術で,中宮嫄子の暗殺を謀ったのだな。殿に仕えながら,禎子皇后側とも繫がっておるのだろう。誰に命じられた?――黒幕は能信さまか」
藤原能信は頼通の異母弟であり,禎子皇后とその皇子の強力な後見人である。
「あの,存じません……」
足柄は首を左右に振った。
「権大納言さまとは口もききません。ましてや命を受けるなど見当違いも甚だしい。どうして私めが皇后側の間者として立ち働かねばならぬのです」
「さすれば落雷騒ぎの折,何ゆえ襲芳舎にいたのだ?」
「それは――それはあの――テイさまを追って参ったのです」
「噓を申すな。俺こそ見たのだ――黒装束に身をつつむおまえを。夜の御殿の倒壊による犠牲者を救出していた俺は,怪しい黒装束の人影を認めた。追跡したところ奴は襲芳舎へ達し,勾当内侍と合流した。内侍の手引きで天皇が移御された直後,奴は手を翳し掌中から霧をわかせたのだ。一重二重三重と重なり濃霧は瞬時のうちに襲芳舎に充満した。蔵人も右大将も女房も人事不省に陥り,中宮を避難させて救助に戻った俺もまた意識を失った。我に返ったときには黒装束のおまえがいて……」
そう口籠もる眼下には,黒目勝ちの瞳が潤んで揺れている。
「テイさまに口移しで解毒剤をお飲ませしたのです。私足柄がおらねば,ほかの者たち同様,今頃は灰燼とおなりでいらっしゃいましたでしょう」
褒美をくれと言わんばかりに媚態をつくり身を寄せる。
「折よく解毒剤を持ちあわせていたものよ」
「それはあの――」
「俺の見た黒装束は奇怪な術を操っていた。あれは陰陽道を嗜むおまえだったのだ。おまえが奇術を用いて撒いた毒ゆえに,その毒を消す薬剤も持ちあわせていたのだろう」
「違います! あの死煙は陰陽でよく使う毒なのです。ですからその毒消しも偶々所持しておりまして……」
「陰陽でよく使う毒だと? それこそ,おまえが悪事の首謀者だという証拠ではないか」
「テイさま!――違うのです!――実は同じ死煙にて命を狙われた経験がございまして!――それで解毒剤を携帯するのが常になっておりました!」
「出任せも程々にせよ――」
か細い手首をねじあげてから相手の体を突き放す。
「人殺しの極悪人め」
足柄は地面に叩きつけられたが,即座に起きあがり眼前の指貫にとりすがる。
「誰も殺めておりませぬ! 人殺しではありませぬ!」
「俺の妻を殺すと語った口が弁解するか」
「誠でございます! 信じてください!」
「信じられるものか! 何もかも中宮暗殺のために仕組まれていたのだ。夜の御殿に落雷のあった形跡などなかった。落雷のために御殿が倒壊したのではなく,人為的に破壊されたのだ。そして襲芳舎に中宮の移渡するよう仕向け,毒を撒いた――そうなのだろう」
「違います,違います――」
全身を揺すって泣きじゃくる。
「誰に信用されなくとも構いませぬ。でもテイさまだけにはさように思われたくないのです――」
「以前,猛り狂った烏どもに中宮一同の襲撃される事件があったな。あれもおまえの仕業であろう」
「いやです,いやです,ひどいことを仰いますな。足柄はしておりませぬ。本当に本当なのです。信じてくださいませ――足柄を疎まれるお気持ちは重々承知しております。私めの情念のために姫君さまをお独りにして,あの夜の事態を招いてしまったのですから。お怒りは御尤もにございます。ですからテイさまが体のよい厄介払いをなさったときも,恨み言一つ申さずお従いいたしました。自らの気持ちを殺し,頼通さまのものとなったのです。少しは私めをお憐れみくださっても宜しいのではありませぬか。それなのに口惜しい! かように残酷な仕打ちをなさるとは! 情けない,気が触れてしまいそう!」
「己のしたことが分かっておるのか。おまえが愛おしみ,おまえを心から慕っておるあれまでも,おまえは殺そうとしたのだ。もし,あのとき誠の落雷がなければ,あれも毒気にあたり亡くなっていたかもしれぬ。雷が風を呼び毒気を祓い,雨を呼び毒気を浄めてくれたのだ……」
そっと手をのばし足柄の髪を手指で梳かす。
足柄が目を閉ざし,乾ききった喉を潤すみたいな横面を兄の腹部に埋めた。
兄が言った。
艶めかしい姿態で兄をうっとり見つめる足柄の瞳から光るものが流れた。
「奥様方? たくさんの女人を囲っておいでですもの,さぞや大変でございましょうね。でもいずれの女人も本当には愛しておられない。お可哀相な奥様方――それでも羨ましい。時折はお慈悲を賜れますもの」
どっと涙が溢れた。
「足柄は遊びでございました――いいえ,今も頼通さまの遊びでございます」
「よさぬか――」
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「もうよい,やめよ――」
「いいえ,構わぬのです! テイさまのお役に立っていると思えば耐えられます」
ゆっくりと歩を進め,兄との距離を縮める。
「これほど都合のよい妻妾がほかにございましょうや? 奥様方の何処が足柄に勝っているのです? 少しばかり出自がよいというだけではございませぬか。出自を鼻にかけ尊大に構えておいでの奥様方が,テイさまの目を盗み,遊びと同じ所業に及んでいるのです。陰では穢れきった淫楽に身を投じているのでございますよ。薄汚い女どもなど捨てておしまいなさいませ!」
「申せば申すほど己が惨めになるだけだ」
「殺しますよ!――」
流れる涙もそのままに上目遣いで睨みつける。
「テイさまの遊びどもをみな亡き者にしてやる!」
「さすれば新しい妻を娶ろう」
「また殺します。みな殺すのです――」
兄の胸に飛びこみ,身をよじらせながら,あちこちを撫でまわす。
「慰み者にお加えいただきとうございます。不満鬱憤の捌け口でよいのです。心遣りに御乱行召されませ」
「主人に,ようしてもらえ――」
足柄をひき離し両眼を細める。微笑したようにも見えた。
「覚えておいでですか――」
憑かれたような面持ちで,両手をいつの間にか相手の袖口にさしこんでいる。兄がそれを振り解こうとするも自由はきかない。
「最初の夜のことでございます……お気の毒なテイさま。でも足柄はどうしても欲しかった。美しく気高く聡明で艶やかなあなたさまが――」
「度が過ぎるぞ――」
「力ずくで思いのままにできるのですよ! その気になればいつでも奪える!……あの夜のように!」
「また術を使うのか――陰陽の術を」
「さようです。御存じのとおり足柄は蘆屋道満の末裔にございますから。安倍晴明すら手を焼いた悪名高き陰陽師の血筋をひく蘆屋星満にございます」
兄を凝視したまま口端をつりあげる。
「男盛りになられたテイさまに再会して以来,安らかに眠れた夜はございませぬ。何卒お情けを――お救いくださいませ――」
2人が激しく揉みあううちに兄が小さな声を発した。
「テイさま……」
足柄に一瞬の気の迷いが生じたのを見逃さず,兄は後方に飛びのき,袂で顔を隠した。露わになった腕に紅いものが滲んでいる。
「あの……」
「来るな,俺に近づくな――」
袂をずらし両眼だけを覗かせ,長い睫毛の奥から何かを見極めようとする。
「その術で,おまえの術で,中宮嫄子の暗殺を謀ったのだな。殿に仕えながら,禎子皇后側とも繫がっておるのだろう。誰に命じられた?――黒幕は能信さまか」
藤原能信は頼通の異母弟であり,禎子皇后とその皇子の強力な後見人である。
「あの,存じません……」
足柄は首を左右に振った。
「権大納言さまとは口もききません。ましてや命を受けるなど見当違いも甚だしい。どうして私めが皇后側の間者として立ち働かねばならぬのです」
「さすれば落雷騒ぎの折,何ゆえ襲芳舎にいたのだ?」
「それは――それはあの――テイさまを追って参ったのです」
「噓を申すな。俺こそ見たのだ――黒装束に身をつつむおまえを。夜の御殿の倒壊による犠牲者を救出していた俺は,怪しい黒装束の人影を認めた。追跡したところ奴は襲芳舎へ達し,勾当内侍と合流した。内侍の手引きで天皇が移御された直後,奴は手を翳し掌中から霧をわかせたのだ。一重二重三重と重なり濃霧は瞬時のうちに襲芳舎に充満した。蔵人も右大将も女房も人事不省に陥り,中宮を避難させて救助に戻った俺もまた意識を失った。我に返ったときには黒装束のおまえがいて……」
そう口籠もる眼下には,黒目勝ちの瞳が潤んで揺れている。
「テイさまに口移しで解毒剤をお飲ませしたのです。私足柄がおらねば,ほかの者たち同様,今頃は灰燼とおなりでいらっしゃいましたでしょう」
褒美をくれと言わんばかりに媚態をつくり身を寄せる。
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「それはあの――」
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「違います! あの死煙は陰陽でよく使う毒なのです。ですからその毒消しも偶々所持しておりまして……」
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か細い手首をねじあげてから相手の体を突き放す。
「人殺しの極悪人め」
足柄は地面に叩きつけられたが,即座に起きあがり眼前の指貫にとりすがる。
「誰も殺めておりませぬ! 人殺しではありませぬ!」
「俺の妻を殺すと語った口が弁解するか」
「誠でございます! 信じてください!」
「信じられるものか! 何もかも中宮暗殺のために仕組まれていたのだ。夜の御殿に落雷のあった形跡などなかった。落雷のために御殿が倒壊したのではなく,人為的に破壊されたのだ。そして襲芳舎に中宮の移渡するよう仕向け,毒を撒いた――そうなのだろう」
「違います,違います――」
全身を揺すって泣きじゃくる。
「誰に信用されなくとも構いませぬ。でもテイさまだけにはさように思われたくないのです――」
「以前,猛り狂った烏どもに中宮一同の襲撃される事件があったな。あれもおまえの仕業であろう」
「いやです,いやです,ひどいことを仰いますな。足柄はしておりませぬ。本当に本当なのです。信じてくださいませ――足柄を疎まれるお気持ちは重々承知しております。私めの情念のために姫君さまをお独りにして,あの夜の事態を招いてしまったのですから。お怒りは御尤もにございます。ですからテイさまが体のよい厄介払いをなさったときも,恨み言一つ申さずお従いいたしました。自らの気持ちを殺し,頼通さまのものとなったのです。少しは私めをお憐れみくださっても宜しいのではありませぬか。それなのに口惜しい! かように残酷な仕打ちをなさるとは! 情けない,気が触れてしまいそう!」
「己のしたことが分かっておるのか。おまえが愛おしみ,おまえを心から慕っておるあれまでも,おまえは殺そうとしたのだ。もし,あのとき誠の落雷がなければ,あれも毒気にあたり亡くなっていたかもしれぬ。雷が風を呼び毒気を祓い,雨を呼び毒気を浄めてくれたのだ……」
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