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7 賊の闖入――蛇雄,黒兎をのむ
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「俺からは申し開きできぬ。自ら始末をつけよ」
「テイさま……テイさまが仰せになるのなら覚えのない罪も喜んで被りましょう。足柄を亡き者にせんと企む輩は,好機とばかりに忽ちこの身を八つ裂きにしてしまいましょう。でしたら,いっそテイさまのお手にかかりたい。どうぞ息の根をおとめくださいませ」
緑の黒髪を梳る指が濡れた頰を伝い,氷柱のような首筋に落ちた。
ぞくっと全身が凍りつく。
「死に急ぎたいならば,声をあげても結構ですぞ」
譬えようもなく冷たい手に頸部が摑まれていた。
覗き見に没入していた私は局の闖入者に気づかないでいたのである。悪漢は複数名――4人もいる。みな両眼以外は全身を黒布でおおっている。
「さあさ,はじめておしまい!」
首を絞める1人が逸った様子で命ずれば,手下らしき1人が顎をしゃくり,それを合図に甚だ短軀の2人が抱えもつ自分たちより大きな袋を投下した。
綾織り袋を抉じあけ現れたのは,先端の二つに分岐する舌を出しいれする暗緑色の蛇である。褐色の斑紋の浮かぶ太い胴をぬたりぬたりくねらせながら身の丈を増幅させるが,巨大化に際限はなく何処までのびても全長の尽きることはない。それでも人の坐高を遥かにこす高みまで垂直にのびあがり,広範囲の影を落とす鎌首を擡げたとき,ようやく胴が末細りして翡翠の装飾具を想わせる尾を揺らしつつ全貌を露わにした。優に一丈あまりはあろうかと見た。
「ウワバミの餌になってくだされよ――」
賊の首領が囁く。
「兄妹共々かつての雑役も道連れにのう」
くっくっくっと笑いを嚙み殺す。
「助けなんぞは呼ばんほうが宜しいですぞ。悲鳴に興奮したウワバミが嚙みつきますのじゃ。それはもう痛むのですぞ――ほに,過日検非違使何某の死骸が川に浮かびましたろう。満身創痍の汚らわしいありさまをしておった。あれをやったのは,これですぞ。大男のくせに七転八倒,のたうちまわっておりましたわい。大人しくしておるのが賢明得策でしょうな。なあに,あっという間に終わりますぞ,ようは知らんが。丸のみされて当分は苦しかろうが,こらえておいでなされよ」
――こらえられるものか!
「兄上,助けて頂戴!」
「今,叫ぶ奴があるか! やりおったな!」
首領に突き飛ばされた。
生臭い熱気が押し寄せる。見あげればウワバミの顔がある。目を丸めて小首を傾げた。
「ひぃやぁ!――」
首領が転倒しそうなほど前屈みになって逃げだす。
手下たちも一斉に背中をむけた。
ウワバミが白濁する喉をさき,太く鋭い萌葱の牙を剝くなり,反り返り弾みをつけて胴をのばした。
手下の一人の足が縺れる。倒れて起きあがろうとする矢先に捕まった。下半身は既にウワバミの口中にあり,腰部を銜えられた逆さづりの状態のまま,宙でひどくもがいている。黒頭巾がはらりと舞い落ち顔面が露出する。鬱血しているせいなのか肌が甚だ色黒である。
人のものとは思われぬ身の毛も弥立つ声が耳を劈く――
ウワバミのかっと目を見ひらいたのと同時に,色黒の目と鼻と口と耳から赤いものが噴出し,骨の砕ける音を聞く。悍ましい絶叫が再び響き渡り,ぴたりと動きをとめていた短軀の手下たちが二筋の黒煙と化し忽然と消えた。
「どうした,何があった!」
兄が足柄をひきつれ局に駆けこんでくる。
「何としたこと――」
足柄が兄の前に立ち,小袿の袖を広げた。
「因幡の黒兎でございますよ」
「因幡の黒兎――式部大夫頼成殿の雑役ではないか!」
兄が青褪めた。
式部大夫頼成こと藤原頼成は伊祐の子息であり,かつては因幡守など地方官を歴任した。実母の身分が低かったために伊祐の養子とされた。しかし実父は村上天皇皇子具平親王である。つまり頼成は頼通正室の具平親王娘隆姫女王の異母兄弟ということになり,頼通側室祇子の父でもある。
「助けねばなるまい,いかがすればよい……」
兄が呆然と立ち尽くし呟いた。
頼成の雑役,因幡の黒兎の頭部がすっかりのみこまれた。
「好い気味にございます。きゃつめに幾度命を狙われたことか」
足柄が言った。
「それより御自身の保全にお気をお配りなさいませ」
兄を導きながら,徐々に私へ近づく。
「望子――」
兄が私を抱き寄せた。
「無事か――怪我はないか――」
「ええ,ええ――」
兄に搔きつく。
「4人の悪者がおろちを放ったの!」
「4人? 1人しかおらぬが――いや,その1人も既に……」
「ちゃんと4人いたのよ。2人は消えて,1人は――」
賊の首領の姿は何処にもなかった。
「逃げたのでございましょう」
足柄が答えた。
「消えた者どもは黒兎の使う式神でございます」
「式神――黒兎も陰陽の術を操る者か!」
「さようです。足柄ほどの術師ではございませぬが」
足柄が悠然と構え,眼前に並べた両の掌を重ねあわせてから何かぶつぶつ唱えはじめた――
ウワバミの表皮が暗緑色から金色へと転化した。
足柄が手も腕も足も体全部をゆっくり揺らす。その波動につられるようにウワバミも揺れた。波動に伴いウワバミも早く激しく,胴をねじり,撥ねあげ,うちつけするために,局は度重なる衝撃に襲われた。兄と手をとりあって床に伏せ,震動に耐えていると視線を感じる。
ウワバミが見ている。彼の目はひどく充血し苦悶を泣訴するようであった。
「反省しているみたいだわ……」
「何だと?」
「蛇雄よ」
「蛇雄? あれは男なのか?」
「見るからに蛇雄という感じじゃなくて?」
「そうなのか――いや,そうだな。いかにも蛇雄だ」
「もうやめて。蛇雄は十分反省しているわ。もともと悪さなどしたくなかったのよ。でも飼い主に唆されて仕方なかったのね」
足柄が高らかに掌をうち鳴らした。
ウワバミの金色体が弾け,一帯に黄金の微粒子が飛び散った。目くるめく光の屈折や交錯と砂金の直接的な刺激に両眼の視力を奪われているうちに,いつの間にやら降り積もった金山の頂を破り,人の腕ほどの真白な蛇が波形を描きながら緩やかな斜面を滑りおりてくる。
白蛇は近づき,しばし私を見あげてから項垂れた。
「何と,むくつけきこと……」
兄が袂で口をおおい,妹と蛇とを交互に横目で見る。
「火の玉の群れを呼んだり百鬼夜行に出くわしたり物の怪に慕われたりと――何ゆえおまえには禍々しき出来事が起こるのだ? その異質な気性が,ゆゆしきえにしを結ぶのだろうさ。ああ薄気味悪い。父上の仰るとおり,おまえは月だの新世紀だの,異界より誤って堕ちてきたに相違ない!――しぃっ,しぃっしぃっ!」
兄が息を吐きつけ袂で空をうつなり,雪の蜷局が巻かれた。
「命を救っていただいたのだ。御恩に報いんと滅私奉公いたせ――」
足柄が片腕をのばす。
「約定するならば証しを示せ。さもなくば直ちに立ち去れ」
白蛇が飛びあがり,さしのべられた片腕に巻きつくと,そのまま薄紫の袖中に滑りいった。
「よしよし蛇雄――」
足柄が袂の膨らみにそっと触れた。
「力をあわせ,お二方にお仕えしよう」
精気を復活させた陽が強烈な熱射を局内に放った。ずれた蔀戸の隙間に覗かれた靄も雲も干され,青空と暑気とが勢力を増していく。
兄が蔀のずれを改めようと奮闘している。
「テイさま……テイさまが仰せになるのなら覚えのない罪も喜んで被りましょう。足柄を亡き者にせんと企む輩は,好機とばかりに忽ちこの身を八つ裂きにしてしまいましょう。でしたら,いっそテイさまのお手にかかりたい。どうぞ息の根をおとめくださいませ」
緑の黒髪を梳る指が濡れた頰を伝い,氷柱のような首筋に落ちた。
ぞくっと全身が凍りつく。
「死に急ぎたいならば,声をあげても結構ですぞ」
譬えようもなく冷たい手に頸部が摑まれていた。
覗き見に没入していた私は局の闖入者に気づかないでいたのである。悪漢は複数名――4人もいる。みな両眼以外は全身を黒布でおおっている。
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綾織り袋を抉じあけ現れたのは,先端の二つに分岐する舌を出しいれする暗緑色の蛇である。褐色の斑紋の浮かぶ太い胴をぬたりぬたりくねらせながら身の丈を増幅させるが,巨大化に際限はなく何処までのびても全長の尽きることはない。それでも人の坐高を遥かにこす高みまで垂直にのびあがり,広範囲の影を落とす鎌首を擡げたとき,ようやく胴が末細りして翡翠の装飾具を想わせる尾を揺らしつつ全貌を露わにした。優に一丈あまりはあろうかと見た。
「ウワバミの餌になってくだされよ――」
賊の首領が囁く。
「兄妹共々かつての雑役も道連れにのう」
くっくっくっと笑いを嚙み殺す。
「助けなんぞは呼ばんほうが宜しいですぞ。悲鳴に興奮したウワバミが嚙みつきますのじゃ。それはもう痛むのですぞ――ほに,過日検非違使何某の死骸が川に浮かびましたろう。満身創痍の汚らわしいありさまをしておった。あれをやったのは,これですぞ。大男のくせに七転八倒,のたうちまわっておりましたわい。大人しくしておるのが賢明得策でしょうな。なあに,あっという間に終わりますぞ,ようは知らんが。丸のみされて当分は苦しかろうが,こらえておいでなされよ」
――こらえられるものか!
「兄上,助けて頂戴!」
「今,叫ぶ奴があるか! やりおったな!」
首領に突き飛ばされた。
生臭い熱気が押し寄せる。見あげればウワバミの顔がある。目を丸めて小首を傾げた。
「ひぃやぁ!――」
首領が転倒しそうなほど前屈みになって逃げだす。
手下たちも一斉に背中をむけた。
ウワバミが白濁する喉をさき,太く鋭い萌葱の牙を剝くなり,反り返り弾みをつけて胴をのばした。
手下の一人の足が縺れる。倒れて起きあがろうとする矢先に捕まった。下半身は既にウワバミの口中にあり,腰部を銜えられた逆さづりの状態のまま,宙でひどくもがいている。黒頭巾がはらりと舞い落ち顔面が露出する。鬱血しているせいなのか肌が甚だ色黒である。
人のものとは思われぬ身の毛も弥立つ声が耳を劈く――
ウワバミのかっと目を見ひらいたのと同時に,色黒の目と鼻と口と耳から赤いものが噴出し,骨の砕ける音を聞く。悍ましい絶叫が再び響き渡り,ぴたりと動きをとめていた短軀の手下たちが二筋の黒煙と化し忽然と消えた。
「どうした,何があった!」
兄が足柄をひきつれ局に駆けこんでくる。
「何としたこと――」
足柄が兄の前に立ち,小袿の袖を広げた。
「因幡の黒兎でございますよ」
「因幡の黒兎――式部大夫頼成殿の雑役ではないか!」
兄が青褪めた。
式部大夫頼成こと藤原頼成は伊祐の子息であり,かつては因幡守など地方官を歴任した。実母の身分が低かったために伊祐の養子とされた。しかし実父は村上天皇皇子具平親王である。つまり頼成は頼通正室の具平親王娘隆姫女王の異母兄弟ということになり,頼通側室祇子の父でもある。
「助けねばなるまい,いかがすればよい……」
兄が呆然と立ち尽くし呟いた。
頼成の雑役,因幡の黒兎の頭部がすっかりのみこまれた。
「好い気味にございます。きゃつめに幾度命を狙われたことか」
足柄が言った。
「それより御自身の保全にお気をお配りなさいませ」
兄を導きながら,徐々に私へ近づく。
「望子――」
兄が私を抱き寄せた。
「無事か――怪我はないか――」
「ええ,ええ――」
兄に搔きつく。
「4人の悪者がおろちを放ったの!」
「4人? 1人しかおらぬが――いや,その1人も既に……」
「ちゃんと4人いたのよ。2人は消えて,1人は――」
賊の首領の姿は何処にもなかった。
「逃げたのでございましょう」
足柄が答えた。
「消えた者どもは黒兎の使う式神でございます」
「式神――黒兎も陰陽の術を操る者か!」
「さようです。足柄ほどの術師ではございませぬが」
足柄が悠然と構え,眼前に並べた両の掌を重ねあわせてから何かぶつぶつ唱えはじめた――
ウワバミの表皮が暗緑色から金色へと転化した。
足柄が手も腕も足も体全部をゆっくり揺らす。その波動につられるようにウワバミも揺れた。波動に伴いウワバミも早く激しく,胴をねじり,撥ねあげ,うちつけするために,局は度重なる衝撃に襲われた。兄と手をとりあって床に伏せ,震動に耐えていると視線を感じる。
ウワバミが見ている。彼の目はひどく充血し苦悶を泣訴するようであった。
「反省しているみたいだわ……」
「何だと?」
「蛇雄よ」
「蛇雄? あれは男なのか?」
「見るからに蛇雄という感じじゃなくて?」
「そうなのか――いや,そうだな。いかにも蛇雄だ」
「もうやめて。蛇雄は十分反省しているわ。もともと悪さなどしたくなかったのよ。でも飼い主に唆されて仕方なかったのね」
足柄が高らかに掌をうち鳴らした。
ウワバミの金色体が弾け,一帯に黄金の微粒子が飛び散った。目くるめく光の屈折や交錯と砂金の直接的な刺激に両眼の視力を奪われているうちに,いつの間にやら降り積もった金山の頂を破り,人の腕ほどの真白な蛇が波形を描きながら緩やかな斜面を滑りおりてくる。
白蛇は近づき,しばし私を見あげてから項垂れた。
「何と,むくつけきこと……」
兄が袂で口をおおい,妹と蛇とを交互に横目で見る。
「火の玉の群れを呼んだり百鬼夜行に出くわしたり物の怪に慕われたりと――何ゆえおまえには禍々しき出来事が起こるのだ? その異質な気性が,ゆゆしきえにしを結ぶのだろうさ。ああ薄気味悪い。父上の仰るとおり,おまえは月だの新世紀だの,異界より誤って堕ちてきたに相違ない!――しぃっ,しぃっしぃっ!」
兄が息を吐きつけ袂で空をうつなり,雪の蜷局が巻かれた。
「命を救っていただいたのだ。御恩に報いんと滅私奉公いたせ――」
足柄が片腕をのばす。
「約定するならば証しを示せ。さもなくば直ちに立ち去れ」
白蛇が飛びあがり,さしのべられた片腕に巻きつくと,そのまま薄紫の袖中に滑りいった。
「よしよし蛇雄――」
足柄が袂の膨らみにそっと触れた。
「力をあわせ,お二方にお仕えしよう」
精気を復活させた陽が強烈な熱射を局内に放った。ずれた蔀戸の隙間に覗かれた靄も雲も干され,青空と暑気とが勢力を増していく。
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