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正人の危機
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正人に一度話したきりの高富から電話が来た。
「君に悪い情報がある。うちの学校で自殺や殺人なんてない。彼氏が殺したと変な噂がたち出した。注意してくれ。」
「どうしてそうなったんですか。」
「自殺の理由が全く見つからないまま、時間がたち過ぎた。誰かの仮説が噂になって、真実みを増しつつ広がってしまってる。」
「犯人が立てたんじゃ?」
「せっかく自殺で終わろうというところで、噂にわざわざ殺人要素を入れるメリットは何だと思う?」
「そうか、すぐには思いつきませんね。」
「とりあえず、知っておいた方が良いだろ。」
「はぃ、ありがとうございます。」
電話を切った後、注意しろってなんだよとつぶやいた。
「まいったな。でも、そんなことどうでもいいくらい紗季の方が怖いんだけどな。」
学校帰り、正人は久々に達也たちとご飯を食べた。友達とのご飯は、わざわざ約束して出かけるのは面倒だけれど、何かのついでなら楽しめる。
ひと気がなくなった帰り道、ちょうど神社付近で後ろから突然首に縄をかけられ、引きずられるように連れていかれた。
すごい力で振り向けない。足が付かなくなってきた。相手は背が高いようだ。正人に最悪の考えもよぎった。
「いや、浮いてるやつもいるわ…」
気付く前に気を失いたかったと思いながら目を閉じた。
高富は自分がそこそこ疑われてることは知っていた。
自殺の原因、他殺の被疑者、どちらにも入っている。警察にアリバイは言ったのだが、おそらくまだ完全には容疑は晴れていない。
産まれたときから家庭環境が平和でなかった。少年時代に家族や友達のいない寂しいときを過ごした反動で、賑やかな今の毎日がとても嬉しくて楽しかった。勉強を頑張っていつのころからか夢見た先生になれた。
学校では空気の読めない、生徒からは好かれないノリをたまにしている。ただ、全員に嫌われるほどでもなく、好いてくれる生徒もちゃんといる。
小さいころ家に帰っても一人、母親は昼も夜も仕事で、朝起きてもいないときがあるほどだった。
居たところで寝ているので、自分で用意して学校へ行っていた。
そんな時、突然父親と、すぐ後に妹ができて、少し戸惑ったが安堵したことをとても覚えている。
特に妹を溺愛していた。妹にとっておじさんのようなものだけれど、ちょっと生意気で、明るくて、かわいかった。
確かに紗季を高富の妹を知る人が見たら、立ち振る舞いが似ていると言うだろう。紗季への態度だが、油断すると、わきまえろという自制心も合わさって、普段のノリに不自然さを足した対応になる。誰の目にも特別さらにおかしく映る。
高富はいたってまじめだった。
紗季が自殺と聞いて、真っ先に芽生えた否定の確信と共に犯人探しを始めた。
「椎名が自殺なんてありえない。」
電話があったとき、妹の前で構わず泣いた。妹も事情を聴いて一緒に涙を流した。
高富は周りの評価はどうであれ、頭の回転ははやく、賢い男だ。
性格、行動、日々の情報を整理して、消去法からすぐに一人候補を上げた。しかし、その男の先生は滝沢がお気に入りだったので、動機が思いつかなかった。
高富は勇気をだして滝沢と話をすることにした。
「滝沢、ちょっといいか、椎名の事で。」
何かおかしい、少し動揺したのを見逃さない。自分のおかしな行動は見逃しっぱなしなのに。
「はぃ」
「あの日、椎名に何かしたよな?」
「ごめんなさい、ごめんなさい。でも私じゃない。本当に知らない。」
「何があった?」
「高富先生とか、特にだけど、あの子人気があって、ちょっと嫉妬してて、なんかあの日むしゃくしゃしてて、いたずらしようとして…」
「そして?」
「いたずら半分で鞄の紐を後ろからかけたの。そしたら倒れて気を失っちゃって、逃げたの。勝手だけど、そんな死ぬなんて思ってないから。あの時だれか呼んでたら…」
「それから?」
「五分くらいしたらもういなくて。とりあえずよかったって思って、ほんと謝ろうとしたの。でも謝れなくなっちゃった。」
「わかった、誰にも言わなくていい。だれもその先にあんなことになるなんて思わない。お前は自分をもう責めなくていいよ。」
「ありがとう。でも、紗季がいない。私が居なかったら紗季はいたの。これも事実なの。」
「そんなことはない。悪いのは犯人だ。」
「犯人?やっぱり殺人は本当だったの?」
「あぁ、警察も先生たちもそう思ってる。いまさらだけど、公式には内緒だぞ。」
高富はわかった。動機もできた。正人が心配だ。あいつなら自暴自棄になって犯人捜ししてる人間に危害を加えそうだ。
「いや、危害どころではないだろうな。」
「君に悪い情報がある。うちの学校で自殺や殺人なんてない。彼氏が殺したと変な噂がたち出した。注意してくれ。」
「どうしてそうなったんですか。」
「自殺の理由が全く見つからないまま、時間がたち過ぎた。誰かの仮説が噂になって、真実みを増しつつ広がってしまってる。」
「犯人が立てたんじゃ?」
「せっかく自殺で終わろうというところで、噂にわざわざ殺人要素を入れるメリットは何だと思う?」
「そうか、すぐには思いつきませんね。」
「とりあえず、知っておいた方が良いだろ。」
「はぃ、ありがとうございます。」
電話を切った後、注意しろってなんだよとつぶやいた。
「まいったな。でも、そんなことどうでもいいくらい紗季の方が怖いんだけどな。」
学校帰り、正人は久々に達也たちとご飯を食べた。友達とのご飯は、わざわざ約束して出かけるのは面倒だけれど、何かのついでなら楽しめる。
ひと気がなくなった帰り道、ちょうど神社付近で後ろから突然首に縄をかけられ、引きずられるように連れていかれた。
すごい力で振り向けない。足が付かなくなってきた。相手は背が高いようだ。正人に最悪の考えもよぎった。
「いや、浮いてるやつもいるわ…」
気付く前に気を失いたかったと思いながら目を閉じた。
高富は自分がそこそこ疑われてることは知っていた。
自殺の原因、他殺の被疑者、どちらにも入っている。警察にアリバイは言ったのだが、おそらくまだ完全には容疑は晴れていない。
産まれたときから家庭環境が平和でなかった。少年時代に家族や友達のいない寂しいときを過ごした反動で、賑やかな今の毎日がとても嬉しくて楽しかった。勉強を頑張っていつのころからか夢見た先生になれた。
学校では空気の読めない、生徒からは好かれないノリをたまにしている。ただ、全員に嫌われるほどでもなく、好いてくれる生徒もちゃんといる。
小さいころ家に帰っても一人、母親は昼も夜も仕事で、朝起きてもいないときがあるほどだった。
居たところで寝ているので、自分で用意して学校へ行っていた。
そんな時、突然父親と、すぐ後に妹ができて、少し戸惑ったが安堵したことをとても覚えている。
特に妹を溺愛していた。妹にとっておじさんのようなものだけれど、ちょっと生意気で、明るくて、かわいかった。
確かに紗季を高富の妹を知る人が見たら、立ち振る舞いが似ていると言うだろう。紗季への態度だが、油断すると、わきまえろという自制心も合わさって、普段のノリに不自然さを足した対応になる。誰の目にも特別さらにおかしく映る。
高富はいたってまじめだった。
紗季が自殺と聞いて、真っ先に芽生えた否定の確信と共に犯人探しを始めた。
「椎名が自殺なんてありえない。」
電話があったとき、妹の前で構わず泣いた。妹も事情を聴いて一緒に涙を流した。
高富は周りの評価はどうであれ、頭の回転ははやく、賢い男だ。
性格、行動、日々の情報を整理して、消去法からすぐに一人候補を上げた。しかし、その男の先生は滝沢がお気に入りだったので、動機が思いつかなかった。
高富は勇気をだして滝沢と話をすることにした。
「滝沢、ちょっといいか、椎名の事で。」
何かおかしい、少し動揺したのを見逃さない。自分のおかしな行動は見逃しっぱなしなのに。
「はぃ」
「あの日、椎名に何かしたよな?」
「ごめんなさい、ごめんなさい。でも私じゃない。本当に知らない。」
「何があった?」
「高富先生とか、特にだけど、あの子人気があって、ちょっと嫉妬してて、なんかあの日むしゃくしゃしてて、いたずらしようとして…」
「そして?」
「いたずら半分で鞄の紐を後ろからかけたの。そしたら倒れて気を失っちゃって、逃げたの。勝手だけど、そんな死ぬなんて思ってないから。あの時だれか呼んでたら…」
「それから?」
「五分くらいしたらもういなくて。とりあえずよかったって思って、ほんと謝ろうとしたの。でも謝れなくなっちゃった。」
「わかった、誰にも言わなくていい。だれもその先にあんなことになるなんて思わない。お前は自分をもう責めなくていいよ。」
「ありがとう。でも、紗季がいない。私が居なかったら紗季はいたの。これも事実なの。」
「そんなことはない。悪いのは犯人だ。」
「犯人?やっぱり殺人は本当だったの?」
「あぁ、警察も先生たちもそう思ってる。いまさらだけど、公式には内緒だぞ。」
高富はわかった。動機もできた。正人が心配だ。あいつなら自暴自棄になって犯人捜ししてる人間に危害を加えそうだ。
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