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16【加護VS加護】
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ジャンピングしながらのパワフルな投げ捨て技。それはプロレスの力技である。
「どおりゃ!」
スクラップバスターで叩き付けられた俺の体を目掛けてマッチョマンがエルボードロップを落としてきた。
「ウィーーーーーー!!」
自分の頭の高さまで肘を上げながら倒れ込んでくる技で、相手の脇の下が俺の顔面めがけて迫り落ちてくる。
それはまるで切り倒された丸太が寝そべる相手に倒れ込んでくるような技だった。
プロレスで良く観られる繋ぎ技だが、実際に時分が食らう立場になって見ると複雑だった。
それは、躱そうとおもえば躱せる速度だったし、何より相手の脇の下が気持ち悪く見えたからだ。チョロチョロと生えている脇毛が気になるのだ。
しかし、これは耐久力の実験である。先ほどスクラップバスターを食らってみたが対してダメージは無かった。だからエルボードロップを食らっても対してダメージは無いとは思うんだけれど実験は実験である。食らってみて損は無かろう。
「ぉぉおおおらあ!!」
「ぐへぇ」
エルボードロップを食らった俺が潰されたカエルのような声を漏らすとマッチョマンが俺の上で微笑んでいた。それを見た俺はマッチョマンを抱えながら立ち上がる。
「どっこいしょ」
「う、嘘だろ……」
お姫様抱っこで抱え上げられるマッチョマンが顔を青くさせていた。たぶんお姫様抱っこなんて初めてだったのだろう。
ちなみに俺もお姫様抱っこをするのは初めてである。これが麗しい乙女だったら最高だったのだが、これはこれで仕方が無い。過酷な運命だったとして諦めよう。
「あわあわあわ!!」
「そろそろ、終わりにしようか」
俺に抱え上げられながら慌てるマッチョマン。その巨体を俺は宙に放り投げた。ぽいっと真上に投げる。
「う、うそ~~ん……」
真上に投擲された巨体は3メートルは飛んでいただろう。空中で両手足をバタつかせながら藻掻いていた。
「それ!」
続いて俺も垂直ジャンプをした。宙を飛んでいるマッチョマンを追い越して更に高く飛ぶ。そこからマッチョマンの胸板にストンピングを蹴り落とした。
「はっ!」
「ぐはっ!!」
胸を蹴られて急降下していくマッチョマンは地面に背中から叩き落されるとワンバウンドしながらエビ反っていた。ダメージに表情を歪めている。
どうやら耐久値でも俺の加護より劣っているようだ。たぶん俺の加護のほうが段違いで優秀なのかも知れない。
「そぉれぇ~~~」
倒れ込むマッチョマン。そこに更なる俺の追撃。
今度は俺がエルボードロップで急降下して行った。倒れ込んでいるマッチョマンの腹筋に肘を減り込ませる。
「ぶはぁぁあああ!!!」
すると腹部に追い打ちを食らったマッチョマンが大きな口を上げながら涎を噴射させた。透明でネチョネチョしている汁が飛ぶ。
その表情は苦痛に歪み、身体全身に複数の血管を浮き立たせていた。たぶん相当効いているのだろう。表情から悟れた。
「がはっ、がはっ。ごほっ、ごほっ!!」
しばらく腹を押さえながらのた打ち回るマッチョマン。涎を撒き散らしながら左右に何度も何度も転がっていた。
俺に受けたダメージから回復した他の冒険者たちものた打ち回るマッチョマンをみまもっていた。そして、僧侶風の冒険者がマッチョマンに駆け寄りヒールの魔法を掛けてやる。
「ぐぅ……!!」
「待っていろ。今ヒールを掛けてやる!」
「へぇ~。この異世界ってヒールも有るのね。初めて見たわ~。便利そう」
僧侶からヒールを貰ったマッチョマンが涎を手首で拭き取りながら立ち上がる。その表情は悔しさで満ちていた。
そして、ヒールを掛け終えた僧侶は安全なポジションに避難していった。また観戦に戻る。
「ぜぇはぁ、ぜぇはぁ……」
息を切らすマッチョマンが訊いて来る。
「にーちゃん、あんたの名前は……?」
俺は太々しく直立すると全裸の腰に両手を添えながら小生意気そうに名前を名乗る。
「サブロ~。よろぴくね~」
「変わった名前だな……」
「異国から来たもんでね。それで、あんたの名前は?」
「マースル・キンニッカー。この町の領主の三男だ……」
「領主の三男……?」
「そうだ……」
「あ~、もしかして、俺ってば、偉い人をボコってしまったのかな……。嫌な予感がするのぉ~……。フラグかな~……」
「安心しろ。所詮は三男だ。親父からして見ればスペアのスペア。俺様なんて眼中にすら無いぜ」
この筋肉ダルマは跡目の話をしているのだろう。次男以降なんて無価値と言いたいのだと思う。これだから貴族ってやつは世知辛い。
しかし、だ――。
「それと、俺の金を狙うのは話が違う。俺に害なす野郎は全員ボコる!」
俺は凄みながら片腕をグルグルと回すとほぐしてみせた。威嚇の積りである。
それを見てキンニッカーもサイドストレッチのポーズで威嚇を返してきた。
「我がブーメランパンツの加護に誓う。次の一撃で決める!」
「どちらの加護のほうがパワフルか、決着を付けてやるぞ!」
両者ともにパワーには絶対の自信が有る。故にパワーだけは負けられない。そんな思いのぶつかり合いである。
全裸とブーメランパンツが最後の激突を覚悟した。
「にーちゃん、行くぞ!」
「来いや!」
太い両腕を顔面の前に並べてガードを固めるキンニッカー。それは顔面を叩かれなければ耐えてみせると言いたげな戦法だった。おそらく肉団子のように固まって体当たりを狙っているのだろう。
浅はか――。
俺はスローモーションの中で筋肉ダルマが迫り来るのを寸前まで動かずに待った。そして、体当たりがヒットするかと思えた瞬間に俊足の動きで回避すると巨漢の脇に逃れる。
キンニッカーのガードは正面のみ。脇から見た俺の視線には隙だらけのこめかみが見えていた。そこに拳を打ち込んだ。カンニバルベアを倒したのと同じパンチである。
轟く拳。響、震える巨漢。次の瞬間に、ガードを固めたままのキンニッカーが前のめりに倒れてしまう。
「よ~し」
キンニッカーはガードを固めたままダウンして、そのまま動かない。おそらく気絶したのだろう。
これで完全決着である。
俺の金は守られた。
「どおりゃ!」
スクラップバスターで叩き付けられた俺の体を目掛けてマッチョマンがエルボードロップを落としてきた。
「ウィーーーーーー!!」
自分の頭の高さまで肘を上げながら倒れ込んでくる技で、相手の脇の下が俺の顔面めがけて迫り落ちてくる。
それはまるで切り倒された丸太が寝そべる相手に倒れ込んでくるような技だった。
プロレスで良く観られる繋ぎ技だが、実際に時分が食らう立場になって見ると複雑だった。
それは、躱そうとおもえば躱せる速度だったし、何より相手の脇の下が気持ち悪く見えたからだ。チョロチョロと生えている脇毛が気になるのだ。
しかし、これは耐久力の実験である。先ほどスクラップバスターを食らってみたが対してダメージは無かった。だからエルボードロップを食らっても対してダメージは無いとは思うんだけれど実験は実験である。食らってみて損は無かろう。
「ぉぉおおおらあ!!」
「ぐへぇ」
エルボードロップを食らった俺が潰されたカエルのような声を漏らすとマッチョマンが俺の上で微笑んでいた。それを見た俺はマッチョマンを抱えながら立ち上がる。
「どっこいしょ」
「う、嘘だろ……」
お姫様抱っこで抱え上げられるマッチョマンが顔を青くさせていた。たぶんお姫様抱っこなんて初めてだったのだろう。
ちなみに俺もお姫様抱っこをするのは初めてである。これが麗しい乙女だったら最高だったのだが、これはこれで仕方が無い。過酷な運命だったとして諦めよう。
「あわあわあわ!!」
「そろそろ、終わりにしようか」
俺に抱え上げられながら慌てるマッチョマン。その巨体を俺は宙に放り投げた。ぽいっと真上に投げる。
「う、うそ~~ん……」
真上に投擲された巨体は3メートルは飛んでいただろう。空中で両手足をバタつかせながら藻掻いていた。
「それ!」
続いて俺も垂直ジャンプをした。宙を飛んでいるマッチョマンを追い越して更に高く飛ぶ。そこからマッチョマンの胸板にストンピングを蹴り落とした。
「はっ!」
「ぐはっ!!」
胸を蹴られて急降下していくマッチョマンは地面に背中から叩き落されるとワンバウンドしながらエビ反っていた。ダメージに表情を歪めている。
どうやら耐久値でも俺の加護より劣っているようだ。たぶん俺の加護のほうが段違いで優秀なのかも知れない。
「そぉれぇ~~~」
倒れ込むマッチョマン。そこに更なる俺の追撃。
今度は俺がエルボードロップで急降下して行った。倒れ込んでいるマッチョマンの腹筋に肘を減り込ませる。
「ぶはぁぁあああ!!!」
すると腹部に追い打ちを食らったマッチョマンが大きな口を上げながら涎を噴射させた。透明でネチョネチョしている汁が飛ぶ。
その表情は苦痛に歪み、身体全身に複数の血管を浮き立たせていた。たぶん相当効いているのだろう。表情から悟れた。
「がはっ、がはっ。ごほっ、ごほっ!!」
しばらく腹を押さえながらのた打ち回るマッチョマン。涎を撒き散らしながら左右に何度も何度も転がっていた。
俺に受けたダメージから回復した他の冒険者たちものた打ち回るマッチョマンをみまもっていた。そして、僧侶風の冒険者がマッチョマンに駆け寄りヒールの魔法を掛けてやる。
「ぐぅ……!!」
「待っていろ。今ヒールを掛けてやる!」
「へぇ~。この異世界ってヒールも有るのね。初めて見たわ~。便利そう」
僧侶からヒールを貰ったマッチョマンが涎を手首で拭き取りながら立ち上がる。その表情は悔しさで満ちていた。
そして、ヒールを掛け終えた僧侶は安全なポジションに避難していった。また観戦に戻る。
「ぜぇはぁ、ぜぇはぁ……」
息を切らすマッチョマンが訊いて来る。
「にーちゃん、あんたの名前は……?」
俺は太々しく直立すると全裸の腰に両手を添えながら小生意気そうに名前を名乗る。
「サブロ~。よろぴくね~」
「変わった名前だな……」
「異国から来たもんでね。それで、あんたの名前は?」
「マースル・キンニッカー。この町の領主の三男だ……」
「領主の三男……?」
「そうだ……」
「あ~、もしかして、俺ってば、偉い人をボコってしまったのかな……。嫌な予感がするのぉ~……。フラグかな~……」
「安心しろ。所詮は三男だ。親父からして見ればスペアのスペア。俺様なんて眼中にすら無いぜ」
この筋肉ダルマは跡目の話をしているのだろう。次男以降なんて無価値と言いたいのだと思う。これだから貴族ってやつは世知辛い。
しかし、だ――。
「それと、俺の金を狙うのは話が違う。俺に害なす野郎は全員ボコる!」
俺は凄みながら片腕をグルグルと回すとほぐしてみせた。威嚇の積りである。
それを見てキンニッカーもサイドストレッチのポーズで威嚇を返してきた。
「我がブーメランパンツの加護に誓う。次の一撃で決める!」
「どちらの加護のほうがパワフルか、決着を付けてやるぞ!」
両者ともにパワーには絶対の自信が有る。故にパワーだけは負けられない。そんな思いのぶつかり合いである。
全裸とブーメランパンツが最後の激突を覚悟した。
「にーちゃん、行くぞ!」
「来いや!」
太い両腕を顔面の前に並べてガードを固めるキンニッカー。それは顔面を叩かれなければ耐えてみせると言いたげな戦法だった。おそらく肉団子のように固まって体当たりを狙っているのだろう。
浅はか――。
俺はスローモーションの中で筋肉ダルマが迫り来るのを寸前まで動かずに待った。そして、体当たりがヒットするかと思えた瞬間に俊足の動きで回避すると巨漢の脇に逃れる。
キンニッカーのガードは正面のみ。脇から見た俺の視線には隙だらけのこめかみが見えていた。そこに拳を打ち込んだ。カンニバルベアを倒したのと同じパンチである。
轟く拳。響、震える巨漢。次の瞬間に、ガードを固めたままのキンニッカーが前のめりに倒れてしまう。
「よ~し」
キンニッカーはガードを固めたままダウンして、そのまま動かない。おそらく気絶したのだろう。
これで完全決着である。
俺の金は守られた。
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