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27【捕獲のプロ】
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騎乗したまま集団の輪から現れた四人の男たちは、俺のすぐ前で馬から降りる。その手に持っていたのは、槍のように長いポールウェポン――刺股であった。そのY字状の先端が俺に向かってくる。どうやら俺を生きたまま取り押さえようというようだ。
最初の騎兵が輪投げのような動きを見せたことから、こいつらは獲物をできるだけ無傷で捕まえるように企んでいるようだ。まさに本物の人攫い、プロそのものである。
「行くぞ!」
「「「おうさ!」」」
一人の掛け声に合わせ、残りの三人がタイミングを合わせて突進してきた。刺股の先端が四方から俺の体を取り押さえ、固定する。
四方向からの圧迫。しかも馬力が加わった圧力。それは並大抵のパワーではない。
ないが――。
木製の刺股は、普通なら人の腕力ではどうにもならないほどの捕獲性能なのだろう。四人がかりなら尚更だ。
だが、全裸の加護でパワーアップしている俺にとっては、弱い戦法に見えた。
俺は刺股の柄を素手で掴むと、力任せにたわませる。そのまま腕力だけで、四本すべての刺股をへし折ってやった。バギバギ、と音を鳴らしながら、四本すべての武器の柄が折れる。
「それ」
「「「「うわっ!?」」」」
そして、力を込めて押していた男たちが、折られた刺股でよろめいている隙に、俺は前方の一人に飛び掛かった。折れた刺股を飛び越えてから、その男の顔面に飛び蹴りを叩き込む。俺の踵が鼻を潰す。
「ぐへぇ!!」
さらに、蹴った男の顔面を踏み台に、反対側の男へ向かって跳躍すると、再び男の顔面を蹴り飛ばした。いわゆる三角飛び蹴りである。
次々と飛び回り、牛若丸のような華麗な空中殺法で、俺は四人を一瞬にして蹴り倒した。顔面を蹴り付けられた四人は、鼻血を散らしながらダウンし、大の字に転がる。
そして、元の位置に着地した俺は、全裸のままチンチンを掻きながら、馬上で余裕を醸し出している独眼の男に向かって言ってやった。
「ザコどもじゃあ、何人で束になって掛かってきても無駄だぞ。俺は強いからさ」
独眼の男は馬上で薄笑いを浮かべながら答える。まだ余裕を見せている。
「殺す気で来いってか?」
「それでも無理だと思うぞ」
それは予感にすぎない。俺は自分の全力の戦力を隠しているが、予感で分かるのだ。
俺は、こいつらより強い。っと――。
それは全裸の加護が直感として知らせている。野生の感覚にも近い知らせである。
すると、自分が乗っている馬の手綱を強く握りしめながら、怒りを堪えている独眼の男が、冷静を装いながら言った。
「あの追い剥ぎ連中が言っていたが、本当にカンニバルベアを一人で倒したようだな、お前さんは」
「うん、倒したよ」
「最初はトラップや毒でも仕掛けて狩ったと思っていたが、本当に強いんだな、小僧っ子」
俺は両腰に拳を立て、威張ってみせながら人攫いに言ってやる。
「分かったら、そこの子供たちを解放してから去りな。今なら逃がしてやっても構わないぞ。捕まえるのが面倒臭いからさ」
俺が荷馬車の檻を指差して言うと、独眼の男は僅かに感情を荒ぶらせながら返してきた。
「バカ野郎。大切な商品を捨てて行けるかよ。殺すぞ、ガキ」
「これだから、困ったちゃんの悪党どもは――」
言いかけた刹那、俺は飛んだ。馬上で話していた独眼の男の頭上を飛び越え、爆走する子分たちの輪に飛び込んだ。
「ジャンピングニー!」
「ぐはっ!」
「エルボースマッシュー!」
「げふっ!」
「ローリングソバット!」
「ふにゃ!」
「空手チョップ!」
「あべしっ!」
問答無用で、俺は次々と馬上の子分たちを撃墜していった。ぴょんぴょんと飛び回り、蹴散らしていく。
次々と俺の攻撃を受け、落馬していく荒くれ者たち。その人数は、まるで秒速のように減っていく。
焦ったのは独眼の男だった。慌てながら、子分たちに指示を飛ばす。
「魔法だ。リストレインチェインで捕まえろ!」
「了解だ!」
すると、一人の賊が両手を前にかざし、魔法を唱える。その輝きが俺を半透明な鎖で縛り付けた。
「捕らえたぜ!」
「また、この魔法かよ」
昨晩、マキちゃんが俺に掛けた束縛の魔法と同じ術だった。しかし、縛る力が弱く感じられる。これなら腕力だけで引きちぎれそうだ。
「ふんっ!」
「なに!?」
俺は、上半身に巻き付いた魔法の鎖を、両腕を広げるだけで断ち切る。純粋なパワーが、神秘の魔力を上回った。そんなパワフルな俺に、賊たちは度肝を抜いて驚いている。
「俺の剛腕でも食らいやがれ!」
「げふぅ!!」
魔法を仕掛けてきた男を、右腕のラリアット一発で薙ぎ倒す。それを見た野盗どもは、一斉に逃げ出し始めた。
「なんだ、このガキは!」
「つ、強すぎだろ!」
「化け物だ。逃げろ!」
俺に背を向けて走り出す野盗ども。さすがは馬の速度。あっという間に野盗どもは散っていった。残ったのは、檻を積んだ荷馬車と独眼の男だけである。
独眼の男は、逃げ出した子分たちの背中に向かって吠えた。
「クソ、逃げるな、野郎ども!」
そんな風に吠える独眼の男に向かい、俺は跳ね上がる。そして、頭上の高さでボレーキックを繰り出した。
「ぬがっ!?」
俺の飛び横振り蹴りを、片腕のガードで受け止める独眼の男。しかし、バランスを崩し、馬上から落馬した。馬だけが走り去る。
俺は尻餅をついている独眼の男の前に立つと、両腕を組んで余裕を見せ、睨むように見下ろして言ってやる。
「確か名前はゲドーとか言ったっけ、オッサン?」
「ゲドーラ様だ……」
「まだ自分を『様』付けで呼ぶのかよ。もう子分は皆逃げたのにさ」
「抜かすな、小僧っ子が!」
立ち上がったゲドーラは、腰から双剣を抜いた。右手にロングソード、左手にショートソードを構える。
「二刀流かよ」
「俺様は腕力の加護を有している。その加護が二刀流を可能にしているんだよ!」
滑らかな軌道で双剣を振り回す人攫いのボス。その動きは素早いが、全裸の加護でパワーアップしている俺様の動体視力には及ばなかった。一言で言えば、遅い。その程度で俺に勝てるとは思えない。
最初の騎兵が輪投げのような動きを見せたことから、こいつらは獲物をできるだけ無傷で捕まえるように企んでいるようだ。まさに本物の人攫い、プロそのものである。
「行くぞ!」
「「「おうさ!」」」
一人の掛け声に合わせ、残りの三人がタイミングを合わせて突進してきた。刺股の先端が四方から俺の体を取り押さえ、固定する。
四方向からの圧迫。しかも馬力が加わった圧力。それは並大抵のパワーではない。
ないが――。
木製の刺股は、普通なら人の腕力ではどうにもならないほどの捕獲性能なのだろう。四人がかりなら尚更だ。
だが、全裸の加護でパワーアップしている俺にとっては、弱い戦法に見えた。
俺は刺股の柄を素手で掴むと、力任せにたわませる。そのまま腕力だけで、四本すべての刺股をへし折ってやった。バギバギ、と音を鳴らしながら、四本すべての武器の柄が折れる。
「それ」
「「「「うわっ!?」」」」
そして、力を込めて押していた男たちが、折られた刺股でよろめいている隙に、俺は前方の一人に飛び掛かった。折れた刺股を飛び越えてから、その男の顔面に飛び蹴りを叩き込む。俺の踵が鼻を潰す。
「ぐへぇ!!」
さらに、蹴った男の顔面を踏み台に、反対側の男へ向かって跳躍すると、再び男の顔面を蹴り飛ばした。いわゆる三角飛び蹴りである。
次々と飛び回り、牛若丸のような華麗な空中殺法で、俺は四人を一瞬にして蹴り倒した。顔面を蹴り付けられた四人は、鼻血を散らしながらダウンし、大の字に転がる。
そして、元の位置に着地した俺は、全裸のままチンチンを掻きながら、馬上で余裕を醸し出している独眼の男に向かって言ってやった。
「ザコどもじゃあ、何人で束になって掛かってきても無駄だぞ。俺は強いからさ」
独眼の男は馬上で薄笑いを浮かべながら答える。まだ余裕を見せている。
「殺す気で来いってか?」
「それでも無理だと思うぞ」
それは予感にすぎない。俺は自分の全力の戦力を隠しているが、予感で分かるのだ。
俺は、こいつらより強い。っと――。
それは全裸の加護が直感として知らせている。野生の感覚にも近い知らせである。
すると、自分が乗っている馬の手綱を強く握りしめながら、怒りを堪えている独眼の男が、冷静を装いながら言った。
「あの追い剥ぎ連中が言っていたが、本当にカンニバルベアを一人で倒したようだな、お前さんは」
「うん、倒したよ」
「最初はトラップや毒でも仕掛けて狩ったと思っていたが、本当に強いんだな、小僧っ子」
俺は両腰に拳を立て、威張ってみせながら人攫いに言ってやる。
「分かったら、そこの子供たちを解放してから去りな。今なら逃がしてやっても構わないぞ。捕まえるのが面倒臭いからさ」
俺が荷馬車の檻を指差して言うと、独眼の男は僅かに感情を荒ぶらせながら返してきた。
「バカ野郎。大切な商品を捨てて行けるかよ。殺すぞ、ガキ」
「これだから、困ったちゃんの悪党どもは――」
言いかけた刹那、俺は飛んだ。馬上で話していた独眼の男の頭上を飛び越え、爆走する子分たちの輪に飛び込んだ。
「ジャンピングニー!」
「ぐはっ!」
「エルボースマッシュー!」
「げふっ!」
「ローリングソバット!」
「ふにゃ!」
「空手チョップ!」
「あべしっ!」
問答無用で、俺は次々と馬上の子分たちを撃墜していった。ぴょんぴょんと飛び回り、蹴散らしていく。
次々と俺の攻撃を受け、落馬していく荒くれ者たち。その人数は、まるで秒速のように減っていく。
焦ったのは独眼の男だった。慌てながら、子分たちに指示を飛ばす。
「魔法だ。リストレインチェインで捕まえろ!」
「了解だ!」
すると、一人の賊が両手を前にかざし、魔法を唱える。その輝きが俺を半透明な鎖で縛り付けた。
「捕らえたぜ!」
「また、この魔法かよ」
昨晩、マキちゃんが俺に掛けた束縛の魔法と同じ術だった。しかし、縛る力が弱く感じられる。これなら腕力だけで引きちぎれそうだ。
「ふんっ!」
「なに!?」
俺は、上半身に巻き付いた魔法の鎖を、両腕を広げるだけで断ち切る。純粋なパワーが、神秘の魔力を上回った。そんなパワフルな俺に、賊たちは度肝を抜いて驚いている。
「俺の剛腕でも食らいやがれ!」
「げふぅ!!」
魔法を仕掛けてきた男を、右腕のラリアット一発で薙ぎ倒す。それを見た野盗どもは、一斉に逃げ出し始めた。
「なんだ、このガキは!」
「つ、強すぎだろ!」
「化け物だ。逃げろ!」
俺に背を向けて走り出す野盗ども。さすがは馬の速度。あっという間に野盗どもは散っていった。残ったのは、檻を積んだ荷馬車と独眼の男だけである。
独眼の男は、逃げ出した子分たちの背中に向かって吠えた。
「クソ、逃げるな、野郎ども!」
そんな風に吠える独眼の男に向かい、俺は跳ね上がる。そして、頭上の高さでボレーキックを繰り出した。
「ぬがっ!?」
俺の飛び横振り蹴りを、片腕のガードで受け止める独眼の男。しかし、バランスを崩し、馬上から落馬した。馬だけが走り去る。
俺は尻餅をついている独眼の男の前に立つと、両腕を組んで余裕を見せ、睨むように見下ろして言ってやる。
「確か名前はゲドーとか言ったっけ、オッサン?」
「ゲドーラ様だ……」
「まだ自分を『様』付けで呼ぶのかよ。もう子分は皆逃げたのにさ」
「抜かすな、小僧っ子が!」
立ち上がったゲドーラは、腰から双剣を抜いた。右手にロングソード、左手にショートソードを構える。
「二刀流かよ」
「俺様は腕力の加護を有している。その加護が二刀流を可能にしているんだよ!」
滑らかな軌道で双剣を振り回す人攫いのボス。その動きは素早いが、全裸の加護でパワーアップしている俺様の動体視力には及ばなかった。一言で言えば、遅い。その程度で俺に勝てるとは思えない。
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