俺のハクスラ異世界冒険記は、ドタバタなのにスローライフ過ぎてストーリーに脈略が乏しいです。

ヒィッツカラルド

文字の大きさ
534 / 611
【第十九章】メタルキャリア編

19-10【新体制】

しおりを挟む
俺が魔王城街からスカル姉さんの診療所に移動すると、一階の広間でゴリが朝飯を調理していた。釜戸でパンを焼きながらスープを煮込んでいるようだ。

「よう、ゴリ。おはようさん~」

「アスラン、オッス。退院そうそう朝帰りか~」

「いや、違うよ。昨日はスバルちゃんのところで晩飯を食べて、ハンスさんの宿屋で泊まったんだよ」

「あれ、スバルちゃんのところに泊まらなかったのか?」

「流石にそれはアカンだろ」

「だってプロポーズしたってドクトルから聞いたぞ」

「プロポーズはしたけど、それとこれは別だよ」

「なんだ、以外に真面目だな。変態なお前だから式の前から花嫁を汚しほうだい汚すのかと思ってたのに。ネッチョネチョに、ベットベトにさ」

「テメー、俺を野獣か変態だと思ってやがるのか!」

「野獣なんて流石に思ってないぞ。でも、変態は当たってるだろ」

「知るか、もう朝から嫌な気分になったから、俺は出掛けてくるぞ!」

「どこ行くんだ?」

「冒険者ギルドだよ!」

「そうか。でも今は冒険者ギルドもバタバタしているから、あまり面倒掛けるなよ」

「バタバタしてるって、なんだよ?」

「引き継ぎだよ」

「引き継ぎ?」

「あ~、そうか~。お前、一ヶ月も入院していたから冒険者ギルドの現状を知らないんだ」

「何かあったのか?」

「ギルマスが席を譲って、酒場のマスターも変わったからな」

「ああ、そうか。ギルガメッシュはアマデウスにギルマスの席を譲るんだっけ」

「あれ、お前、知らないのか」

「何が?」

「アマデウスの野郎は失踪したんだぞ」

「失踪だって、いつ?」

「確か、お前が刺されて数日後ぐらいだったかな。一人で姿を眩ましたんだよ」

「マジか……」

「だから冒険者ギルドはサンジェルマンさんが新しいギルマスに就任して、酒場はハンスさんの弟のランスさんがマスターに変わってるぞ」

「そうだったのか……」

「もう酒場はランスさんが引き継いでいるし、ギルマス業は引き継ぎ中だ」

「なるほど、そうだったのか。じゃあ、まだギルガメッシュは冒険者ギルドに居るのか?」

「たぶんまだ居るんじゃあねえのか」

「じゃあ、まあ、俺が用事があるのはギルガメッシュだから、ちょっくら行ってくるわ」

「ああ、いってらっしゃい。そうだ、昼飯はこっちで食うか?」

「いや、分からん。だから先に食べてろよ」

「分かった」

俺はゴリと別れて診療所を出た。冒険者ギルドに向かう。そして俺は冒険者ギルドに到着すると一階の酒場に入って行った。

朝から数組の冒険者たちが酒を煽っている。だが、半数の冒険者がバツの悪そうな表情で俺をチラ見していた。

ああ、こいつらはアマデウス派の連中だった奴らだな。親分が失踪して肩身が狭いのかな。

それに、カウンターの中に居る若いマスターに目が止まった。ハンスさんの弟とかゴリが言ってたな。

確かに似ているぞ。弟だけあってハンスさんより若いな。雰囲気的にはハンスさんを若くした感じに見える。だから人は良さそうだ。

どれ、少し挨拶ぐらいしておこうかな。

俺はスタスタとカウンター前に向かった。するとランスさんのほうから話し掛けてきた。

「こんにちは、キミがアスラン君ですね。初めまして、私は前のマスターのハンスの弟のランスと申します。今後ともよろしくお願いします」

「あれ、よく俺だって分かったね?」

「兄から聞いてましたから」

「なんて?」

「変態っぽいって」

「こ~の~や~ろ~……。兄弟揃って裸にヒン剥いてからアナルに茄子をズポズポと刺しまくってやるぞ!」

「ほら、やっぱり変態っぽい」

ランスさんはニコリと微笑んだ。

なかなか度胸の座った弟じゃあねえか、気に入ったぜ。

「ところでギルガメッシュは居るかい?」

ランスさんは指で天井を刺しながら言う。

「二階でサンジェルマンさんと一緒に朝食を取ってるよ」

「サンキュー。ところでアポ無しで会えるかな?」

「それは二階で訊いてくれたまえ」

「へいへい」

俺は詰まらなそうに返答すると二階を目指した。そして受付の姉ちゃんに訊くと奥に通される。

「ちわぁ~~す、アスランでぇ~す」

「「よう、アスラン」」

ギルガメッシュとサンジェルマンが声を揃えて俺を向かい入れてくれた。だが俺は、二人の朝食風景を見て度肝を抜かれる。

「こ、これは……」

それは長テーブルに寝そべるパンダゴーレムの上に盛り付けられた刺身をマッチョな中年男性二人が箸で突っつきあっている光景だった。

「なんでパンダがぁ……」

ギルガメッシュが言う。

「なんだ、アスラン。知らんのか、パンダの女体盛りを?」

このパンダは雌なのか!?

サンジェルマンが言う。

「知らんのか、アスラン君は。今これはゴモラタウンで流行りの朝食スタイルなんだよ」

流行ってるのか、これが!?

俺は愕然としてしまっていた。

俺が一ヶ月も入院している間に時代は進んでいるのだと!!

時の流れは激しいな!!

流行に乗り遅れてしまっているぞ!!

これでは流行りに乗れないダサイ野郎だと思われてしまう。もっと勉強が必要だろうか?


しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

修復スキルで無限魔法!?

lion
ファンタジー
死んで転生、よくある話。でももらったスキルがいまいち微妙……。それなら工夫してなんとかするしかないじゃない!

転生したらただの女の子、かと思ったら最強の魔物使いだったらしいです〜しゃべるうさぎと始める異世界魔物使いファンタジー〜

上村 俊貴
ファンタジー
【あらすじ】  普通に事務職で働いていた成人男性の如月真也(きさらぎしんや)は、ある朝目覚めたら異世界だった上に女になっていた。一緒に牢屋に閉じ込められていた謎のしゃべるうさぎと協力して脱出した真也改めマヤは、冒険者となって異世界を暮らしていくこととなる。帰る方法もわからないし特別帰りたいわけでもないマヤは、しゃべるうさぎ改めマッシュのさらわれた家族を救出すること当面の目標に、冒険を始めるのだった。 (しばらく本人も周りも気が付きませんが、実は最強の魔物使い(本人の戦闘力自体はほぼゼロ)だったことに気がついて、魔物たちと一緒に色々無双していきます) 【キャラクター】 マヤ ・主人公(元は如月真也という名前の男) ・銀髪翠眼の少女 ・魔物使い マッシュ ・しゃべるうさぎ ・もふもふ ・高位の魔物らしい オリガ ・ダークエルフ ・黒髪金眼で褐色肌 ・魔力と魔法がすごい 【作者から】 毎日投稿を目指してがんばります。 わかりやすく面白くを心がけるのでぼーっと読みたい人にはおすすめかも? それでは気が向いた時にでもお付き合いください〜。

転生したら王族だった

みみっく
ファンタジー
異世界に転生した若い男の子レイニーは、王族として生まれ変わり、強力なスキルや魔法を持つ。彼の最大の願望は、人間界で種族を問わずに平和に暮らすこと。前世では得られなかった魔法やスキル、さらに不思議な力が宿るアイテムに強い興味を抱き大喜びの日々を送っていた。 レイニーは異種族の友人たちと出会い、共に育つことで異種族との絆を深めていく。しかし……

セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~

空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。 もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。 【お知らせ】6/22 完結しました!

【完結】発明家アレンの異世界工房 ~元・商品開発部員の知識で村おこし始めました~

シマセイ
ファンタジー
過労死した元商品開発部員の田中浩介は、女神の計らいで異世界の少年アレンに転生。 前世の知識と物作りの才能を活かし、村の道具を次々と改良。 その発明は村の生活を豊かにし、アレンは周囲の信頼と期待を集め始める。

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

幸福の魔法使い〜ただの転生者が史上最高の魔法使いになるまで〜

霊鬼
ファンタジー
生まれつき魔力が見えるという特異体質を持つ現代日本の会社員、草薙真はある日死んでしまう。しかし何故か目を覚ませば自分が幼い子供に戻っていて……? 生まれ直した彼の目的は、ずっと憧れていた魔法を極めること。様々な地へ訪れ、様々な人と会い、平凡な彼はやがて英雄へと成り上がっていく。 これは、ただの転生者が、やがて史上最高の魔法使いになるまでの物語である。 (小説家になろう様、カクヨム様にも掲載をしています。)

滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~

スサノワ
ファンタジー
「ここわぁ、地獄かぁ――!?」  悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、気がつきゃ金糸のような髪の小娘に!? 「えっ、ファンタジーかと思ったぁ? 残っ念っ、ハイ坊主ハラペコSFファンタジーでしたぁ――ウケケケッケッ♪」  やかましぃやぁ。  ※小説家になろうさんにも投稿しています。投稿時は初稿そのまま。順次整えます。よろしくお願いします。

処理中です...