あやしや菓子屋

都築稔

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プロローグ

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「お疲れーー!!」

「またなー!」

繁華街は夜でも明るい。もう深夜だというのに、店の灯りで昼間みたいだ。声だって、普通はこの時間にこの音量で話すなんてしたら近所の人に怒られてしまうだろう。

「お前、1人でちゃんと帰れるか?」

「だいじょおぶだよ。帰れる帰れる。」

そうは言ったものの、今日は飲みすぎてしまったかもしれない。久しぶりに会う人たちだらけで、ついいつもより飲んでしまった。

「ほんとかよ。俺、明日のニュースでお前の名前、見たくないからな。」

「怖いこと言うなよ。俺も嫌だよ。」

軽く睨むと、例えばの話だなんて言って誤魔化された。

「じゃあ、俺こっちだけど、本当に何かあればすぐに電話してこいよ!」

心配症な友だちと別れると、なんだか少し寂しくなった。

終電は既にない。タクシーに乗るお金もない。よって、気が向く方にフラフラと歩いていた。

大学3年になってお酒を飲める様にはなったのは嬉しいが、憂鬱に感じることも増えた。

ただお酒を楽しみたい俺にとって、酒を使ったコミュニケーションとやらは苦手だ。大抵、飲みたいものを好きなペースで飲ませてもらえない。

あと、この歳にもなると現実味を帯びた将来の話をすることが増えた。誰かと付き合えば結婚が付き纏い、子どもを産んで育てるまでがワンセット。ただ好きだからそばにいたい、では済まされずに相手の人生を背負うことを強要される。

俺だって、結婚したくないわけではないし彼女だってほしい。でも、まだ相手の人生を背負っていいと思えたことがない。自然と2人の未来を考えられるような相手に、出会えていないだけだ。

フラフラとした足取りで、近くの公園に立ち寄った。昼間と違ってガランとした空間が広がっている。

なんとなくジャングルジムに登って、腰を下ろした。ふわふわした頭で登るのは危険だと理解しているが、この景色を見たくなった。

公園を見渡してみる。小さい頃は、ここに登ると強くなれた気がした。公園はもっと広く見えたし、ここから見る景色は輝いていた。だからなんとなく、登れば気分が晴れる気がしたんだ。

思惑と違って、心は晴れないままだった。

月に近くなったと思っても、掴めはしないし。

冷たい風に当たったことで、少し酔いが覚めた。我に返った俺はジャングルジムを降りる。

あれ、あんなお店あったっけ?

ベンチに腰を下ろした、ちょうど向かい側。細い路地に看板が見えた。

まだ少し酔っていたからかもしれない。妙にその看板が気になって、お店に立ち寄ることにした。
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