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ルカ様登場
しおりを挟む「お嬢様、起きてください!」
「んん、ラナ。もう少し寝かせて。」
お兄様が手紙を届けてくださった翌日の朝、血相を変えたラナに起こされているのですが、目を瞑っている私はラナの顔色に気づいていませんでした。
「大変です、お嬢様!第三王子さまがお嬢様に会いにいらっしゃったのです!今すぐ起きて準備してください!」
慌てたラナに布団をはがされる。
もう!気持ちよく寝てたのに第三王子様って・・・ルカ様だわ!!
「第三王子様ですって?!」
「はい、ですからお嬢様。今すぐ着替えていただきます。」
ラナの神技でスルスルと公爵令嬢に相応しい装いにされていきます。ラナ様様よ。
それにしても、お手紙でお返事をくださると思ってたのに会いにきてくださるなんて!何か失礼なことでも書いて怒らせてしまったのかしら?いや、それならラナに先に怒られているはずだわ。
第三王子は私の私室で待っているとのこと。
・・・隣の部屋じゃない!私の叫び声が聞こえてたらどうしましょう。
「お待たせして申し訳ございません。シューリット辺境伯の娘、エミリアでございます。」
精一杯のカーテシーをする。前回と違って王子様としてきてるんだもの。失礼な態度は厳禁よ。
「朝早くに来て悪かったな。」
私の部屋にルカ様がいらっしゃる・・・!あぁ、しばらくあのソファ周辺は掃除しなくてもいいんじゃないかしら?空気の入れ替えもしなくていい気がするわ。
「とんでもございません。」
なんて、顔には絶対出しません。推しに引かれたら生きていけない。
「堅苦しいのは嫌いなんだ。前みたいに気軽に話してくれよ。」
腕を組んで少し偉そうにしているけど、見た目は幼い推し様でして。可愛いの極み。
「早く座れ。」
アゴでクイッと前方を指し示す。
「では、失礼します。」
なんて言ってルカ様の向かい側に座らせてもらったのはいいけど、ご尊顔を直視できないぃぃぃ。前回はまだ記憶が曖昧だったから普通にできたのよ。でも、ここで悪印象を与えたら婚約してもらえないもの。頑張らなくちゃ!
意を決して前を向くと、ルカ様と目が合う。
え!え!え!見られてた?ルカ様、私を見てました?
自分でも顔が真っ赤になっていくのがわかる。
うぅぅ、ルカ様はちやほやされるのがあまりお好きではないのに・・・。
「ふっ、はははっ!なんて顔してるんだよ。」
きゅん・・・・・・。推しから笑顔いただきました・・・。
見惚れて固まっている私を放置して、ルカ様が隣に座り直してくる。何をするのかと思えば、自身の膝に肘をついて私の顔を覗き込んできた。
ひぇぇぇ・・・・・・。近いです近いです。
「えっと、あの・・・。」
「ん?」
「なにを、していらっしゃるのですか?」
「観察だよ。」
「観察・・・。」
「そう。」
ルカ様の方向に目を向けられない。冷や汗が流れてくる。
「ルカ様!」
バタンッ!と勢いよく部屋に入ってきたのはお兄様。ナイスタイミングです。早く助けてください。
「妹に何してるんですか?近いですよ!」
ルカ様を睨みつけながら、お兄様は向かい側に座った。
チッ。
へ?今のは舌打ちでしょうか?隣から聞こえたんですけど・・・。
「殿下、その距離は婚約者の距離です。妹にはまだ早いですから、離れてください。」
「なに、婚約すればいいの?」
おっと?この流れは私の計画に有利すぎません?
「妹に婚約はまだ早いと言っているのです!」
お兄様!早くないです!むしろ早くしないと王太子の婚約者にされちゃいます!
チッ。
あぁ、隣からまた舌打ちが・・・。
「なっ!!」
トン、と肩に重みを感じたと思ったら、私の肩にルカ様の頭が!あ、頭が!
ルカ様は腕を組んだまま私にもたれかかり、お兄様にあっかんべぇをしてみせた。
なんと憎たらしいお顔!向かい側から見たいので、もう1回してもらってもいいでしょうか?
私がきゅん、となっていると前側から殺気が飛んできたので慌てて前を向くとお兄様は超笑顔。いや、そんなに笑顔でどうやったらそんなに殺気が飛ばせるのよ。
「殿下、今日はどのようなご用件で?」
お兄様、用件を終わらせてすぐに追い出そうという作戦ですね?
「リアから手紙をもらった。」
「えぇ、届けたのは僕ですから知っています。普通は手紙が届いたら返事を書くのであって、会いに来るものではありません。それから、婚約者ではないのに愛称で呼ぶのはいかがなものかと。」
「リアは嫌?」
「い、嫌じゃないです・・・。」
むしろ、そんな上目遣いで質問されたらなんでもオッケーしちゃいそうです。
「妹からの手紙を受け取って来たということは、本について語り合いにでも来たのですか?」
「サイラスは、俺がそんなことを語り合うようなやつに見えるのか?」
あぁっ、ルカ様がそんな言い方するから、珍しくお兄様のこめかみがピクピクしてますよ!
「はぁ・・・。殿下、本当に何しにいらしたんですか?」
「今度、兄上の婚約者探しとして令嬢が集められる。」
「それは、本当ですか?」
「後ろ盾をしっかりさせて、王太子の地位を固めておきたいのだろう。揉め事は僕もごめんだ。」
「それに妹も招待されると?」
「当たり前だろ。同じ歳で辺境伯家の娘だぞ?呼ばれない方がおかしい。」
「それはいつ開催される予定で?」
「僕が母様から聞いたのは1ヶ月も前だよ。来年の春には開かれるだろうね。入学前に決めたいらしいから。」
確かに、ストーリーでは入学までに婚約者が決まっていたわね。
お兄様は向かい側で難しい顔をされている。一方、ルカ様は私の下ろした髪を指先でくるくるしている。
「パーティーについてはわかったのですが、それと殿下がいらっしゃったことに何か関わりが?」
「リアは僕のものだよ。」
「は?」
「え!!!」
驚くと立ち上がるのは、お父様と一緒ね。私は肩にルカ様がいたから立ち上がってないけど、いなかったら立ってた気がするわ。
「殿下は、本当にエミィと婚約する気で・・・」
「お兄様っ!!」
あまりのショックでお兄様が倒れてしまいました。さっきも早い!って言ってたもんね。
「情けないなぁ。」
お兄様が倒れたのはルカ様のせいです。
ラナにお父様と、念のためにお医者様を呼んできてもらった。倒れた先がソファだったから、頭を打たずに済んだようでよかったわ。
それより問題は、お兄様と同じことを聞かされて倒れそうになってるお父様よ。
「疑っているわけではないのですが・・・」
「あと1週間もすれば、ここにも知らせが届くんじゃない?」
「そうですか・・・」
エミィが結婚、エミィが結婚・・・とブツブツ言ってるお父様。まだ婚約ですよ?
使い物にならないお父様を置いといて、シンがルカ様の対応をしてくれる。
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「あぁ、そうしてくれ。」
お父様、シンに引きずられて退室。痛そうだけど大丈夫かしら?
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