将来、悲運な結末を迎える令嬢は幸せに生きる

都築稔

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散歩

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ルカ様の案内を終えて、ラナが着替えを手伝ってくれた。ラナが来ないと、ルカ様がどれを選んだかわからないからね。

私室へ行くとルカ様はもう着替え終わっていて、待ってくれていた。

「お待たせいたしました。」

「いや、・・・うん。ふふっ。行こうか。」

私のドレスを見てご満悦なようで、よかったです。

ルカ様が選んだのは薄紫色がメインで使われている服。私は薄紫のワンピースドレスに黒のフリルやお花の刺繍があしらわれている。

ルカ様は薄紫のシャツの襟に黒のラインが入っていて、ボタンには小さくカットされたダイヤが使われてます。下は裾に薄紫のライン入った黒いズボンです。



「リアはどんな花形好きなんだい?」

エスコートを受けながらお庭を散策していると、花壇にある花を見ながら聞いてきた。

「チューリップが好きです。可愛くて、唯一無二な形をしていませんか?」

「確かに、花弁が根本から上を向いてついてるもんね。他は地面と水平な感じなのに。」

「ルカ様は、どんなお花が好きですか?」

「花にあまり興味はないんだけど・・・リアが好きだというなら、チューリップを見るたびに君の顔が浮かぶだろうな。そう考えると、僕はチューリップを好きになるだろうね。」

珍しくふわっと笑う顔が甘くって、心臓が爆発しそうです。ゲームでも病みに病んだルカ様しか見てないし、こちらに来てからも病みを感じる笑いか塩対応だったので。
こんな笑顔もできるんですね!!不意打ちはズル過ぎますって!

はぁぁぁ、今日も推しが尊い。

「どうかした?」

「いえ、なんにも。」

「ふぅん。」

脳内できゃあきゃあ騒ぐのは、前世の血でして。貴族としてはご本人を前にオタクを解放するのは抵抗があるんです。少なくとも、社交界にそんなレディはいない。そんなことをしたらたちまち噂が広まって、ヒソヒソと陰口を叩かれるのは目に見えてますから。

それだけじゃなくて、ルカ様がストーリーの強制力で私のことを選んでくださったとしたら、私は何をしてもルカ様に気に入ってもらえる。でも、そんなの試したくありませんからね。悲しいじゃないですか。

ちゅっ。

「へぇっ?」

今、頬に柔らかいものが当たりませんでしたか?

「なんか、元気ないように見えた。」

こちらを伺い見る顔はそっけない風を装っている。でもよく見たらお耳が赤くて・・・あぁ、推しが可愛い!!天才かしら?

・・・て、また自分の世界にワープしてました。

「悩みあるなら聞くから。」

「はい、ありがとうございます。」

歩き出したルカ様にこの昂った気持ちを伝えたくて、後ろからギュッと抱きついた。

途端に、ルカ様はピキッと音がなりそうなほど固まってしまいました。

「・・・ルカ様?あの、お嫌でしたか?」

そろりと腕を離そうとした手を掴まれた。

「・・・何してるの?」

「ルカ様に優しくしていただいたのが嬉しくて・・・その、ごめんなさい。」

こちらからのスキンシップは、あまり好まないタイプだったのかもしれないわ。あちらからのスキンシップが多くて気づかなかったけど。

「・・・ハレンチ。」

「・・・へ?」

ボソッと何か言ったようだけど、聞き取れない。

後ろからルカ様の顔を見ると、真っ赤だった。苺みたい。

なんて思っていると、片腕を掴んだままルカ様が歩き出した。

「どこ行きますの?」

「・・・・・・。」

無言のまま、連れてこられたのはお庭の左奥にあるガゼボだった。着くと隣に座るように促された。

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