将来、悲運な結末を迎える令嬢は幸せに生きる

都築稔

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辺境伯領にきた理由

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辺境伯領に向かったのは、ただの思いつきだったんだ。


「ライトの婚約者が決まったら、リアンとルカの婚約者も決めましょうね。」

朝食の場で、父様から婚約者を決めるためのパーティーを開くと言われた。もう決定事項だそうだ。食後、僕たちは母様に呼ばれて部屋に集まっていた。

「お母様、それは贔屓ではないですか?みんな一緒に決めたらいいではないですか!」

僕の兄、ライトはいつも公平であろうとする優しい人だ。王に相応しいと思っている。王族なんて動きづらい身分も、兄を見てるといいもののように思えることもあるくらいだ。

「ライト、僕とルカは納得してるんだ。貴族間のバランスを取ろうと思えば、王太子から決めた方がいいに決まってる。あいにく、僕たちは誰も好いた人がいないからね。」

僕たち三つ子の真ん中、リアンはこの中で1番策士だ。

「2人が納得してるならいいんだ・・・」

「無理な結婚はさせるつもりはないわ。あなたたち自身の目でお相手を探しなさい。」

こんなこと言ってるけど、僕が結婚したくないと言ってもどうせ聞き入れてくれないだろうな。

父様と母様は恋愛結婚だ。しかし恋に落ちた相手が偶然、身分の釣り合う相手だっただけ。僕が平民を選んでも許される立場ではない。

「お母様、招待するご令嬢たちの絵姿はないでしょうか?こちらの都合で来てもらうのだから、顔と名前を一致させたいのです。」

うへぇ、ライトはよくやるな。僕は挨拶されても全員のファーストネームを覚えられる気がしない。するつもりもない。

「そういうと思いました。あれを持って来てちょうだい。」

そう言って持ってこさせたのは成人男性でも両手で1つを抱えるほどの大きさの木箱が3つ。母様のメイドが、中に入っていた巻物を1つ1つ開いて卓上に広げて置いてくれる。

ライトはこれを全部覚えるつもりなのか。ほんと、よくやるよ。

「ルカも見ておいたら?・・・どうせ僕たちもこの中から選ばないといけないんだ。」

後半の言葉は、コソッと耳打ちして話してくる。リアンは僕たちの中で1番腹が黒いと思う。リアンもライトを立てているのは、王太子という面倒事を背負いたくないからだ。

「3人はどういう子が好きなの?」

母様はこの手の話が好きだ。慎重に答えないと、すぐに縁談をまとめてきそうな勢いがあるから下手に答えられない。でもこちらから動かないと、それはそれで勝手に決められそうだ。

どこかにマシそうなやついなかったっけ?

「僕はやはり、この国を一緒に考えてくれるような賢い方がいいです。」

「そうね。あなたを支えてくれそうな方を探しましょう。」

「お母様、僕は笑顔が素敵な方がいいな。」

嘘つけ、リアン。お前はいじめがいのある子が好きだろ?あぁ、そうか。いじめても笑顔で寄ってくるやつがいいのか?本当に生活が悪い。お前に捕まる人が可哀想だよ。

「ルカはどんな子がいいの?」

「ルカも言ってごらんよ。僕も協力するから。」

2人してこっち向くなよ。そんな興味津々な顔をされたって困るんだよ。この手の話はずっと避けてきたのに。

「あー・・・今まであんまり考えたことなかったからなぁ。」

誰かいい人いたっけ、みの隠れに使えそうな人。白い結婚ができそうな人とか。・・・・・・いないというか、この年でそんなのわからないか。

「でも、絵姿で決めるのは嫌かな。」

「人柄で決めたいということね?」

「まぁ・・・そうかな。」

地位や容姿で擦り寄ってくるやつはたくさんいる。そんなやつと一生を過ごせと言われても無理というものだ。

「ライト、このお嬢さんはどうかしら?賢いと評判の子なのよ。」

「可愛らしい方ですね。パーティーで話してみます。」

はぁ、付き合ってられない。

「母様、僕は失礼します。パーティーまでに目星はつけますから、ご心配なく。」

僕はライトみたいに素直ではないし、リアンみたいに上手く人付き合いができるわけでもない。今だって可愛くない態度だってわかっている。自分ならこんな子どもを持ちたくない。

自室に戻って、ラーヤに紅茶を淹れてもらう。

「何か悩み事ですか?」

「お前もパーティーのこと、聞いただろう?」

「なるほど、お相手のことですね。」

ラーヤはライトの補佐としてなるべく選ばれた侯爵家の三男。せっかく王太子の補佐になれるはずだったのに、自らそれを捨てた変なやつだ。僕のそばについてまだ2年だというのに、もう性格を熟知されている気がする。

「王族は婚約者をお決めになるのが早いですからね。これでも遅い方だと思いますよ。」

だから諦めろと言われてもな。

「ラーヤには、誰か知り合いの令嬢はいないのか?」

「それは、僕の相手ですか?ルカ様ですか?」

・・・確かにこの聞き方では、どちらかわからないか。

「ちなみに、僕にはすでに婚約者がいます。」

「初耳だぞ。」

「初めて言いましたので。」

こいつ、四六時中僕といて大丈夫なのか?婚約者は怒らないのだろうか。

「それから、友人の知り合いが確か殿下方と同じ年でしたよ。シューリット辺境伯家のご息女です。」

あぁ、サイラスの妹か。前に、天使だなんだと騒いでいたな。

「よし、辺境伯領に行こう。」

「今からですか?」

「もちろん。」

候補になりそうなやつがいるなら早めに確認しておきたい。兄の婚約者になってからでは遅いからな。

「準備していたします。」

今から屋敷に行くのでは、手紙が届くより先に僕たちが着いてしまう可能性がある。それに変な期待を持たせてしまわないよう、宿に泊まろうか。直接会いに行くのも避けるようにしよう。

なんて考えていたのに会ってしまうし、一目で気に入ってしまうなんて考えていなかったんだ、
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