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恋フラグ
しおりを挟む悪役令嬢に転生して、前世の記憶が戻って数ヶ月。
案外、ほのぼのとやっていけてます。
現在も、まだパーティー中だけど王太子の婚約者にされそうな様子は全くないどころか、私のお友だち候補までお隣のルカ様が蹴散らしてしまっている。
良いことかはさておき、とっても平和。
ルカ様と婚約できたことは、今世最大の運を使ったはずよ。推しと結婚できるなんて、どれだけの確率?しかも、それがバッドエンド回避に繋がるなんて。最高すぎるわ。
会場の隅っこに用意されたテーブルセットにルカ様と2人。パーティーに参加してると言えるのかわからないくらい、2人の世界を展開している。
「ねぇ、リア。さっきから何か考えごとでもあるの?僕が目の前にいるのに、何考えてるの?」
「ルカ様と婚約できている幸せを噛み締めてます。」
「は?・・・馬鹿じゃないの。」
はぁぁぁい!照れルカ様、いただきました!照れるとツンになるんですよね。
横向いて、頬杖をつくことで赤くなった頬を隠しているおつもりなんでしょうか?耳が赤いので無駄ですよ!はぁ、尊い!ご馳走様です。
「ずっと、疑問だったんだけど」
「なんでしょう?」
私は今、照れてる貴方を見るので忙しいのですが・・・推しを無視するわけにもいきませんので。
「リアは僕のどこがそんなに好きなわけ?」
「え、何を仰ってるんですか?」
え、本当の本当に何を仰って・・・。私に好かれてるんだ!って自信満々の方が、今更どこをなんて気にするですか?というか、どこが好きとか・・・まぁ、言わなきゃわからないか。
「長くなりますが、覚悟はおありで?」
「・・・・・・やっぱいい。」
ニッコリ笑って聞いてみると、さらに顔を赤くして目を逸らされちゃいました。あぁ、可愛い。そういうとこだぞ。
「今、全てを語るのはもったいない気がします。私たちにはこれからたくさん時間があるのですから、ゆっくりお伝えしていきますね。」
「そうだな。・・・ゆ、ゆっくりだぞ。時間をかけてだ!・・・ずっと、隣で。」
最後の言葉を上目遣いで言われ、ズギュンときた。
「ふふ、はい。」
照れてしまっただけなのだが、私が少し笑ったからだろう。ルカ様は少し拗ねたように、腕を組んでそっぽを向いた。
★★★
はぁ、なんで羨ましいのかしら。
カエラは先程友だちになったばかりの令嬢を見ていた。
好きな人と、あんなに仲がいいなんて。甘いものが大好きな私でも、見ているだけで甘すぎて紅茶に入れる砂糖を1つ減らしたくらいだ。
お父様とお母様は私を王太子の婚約者にさせようと張り切っている。エミィという有力な候補者が1人減ったこともあり、我が家にもチャンスがあるじゃないか!と。
はぁ、ライト様のことも嫌いじゃないのよ?それでも私には好きな人がいるわけで。お父様もお母様も反対はなさらないでしょうけど、あんなに張り切っているところを見ると言い出せなくて・・・。
はぁ・・・・・・。
エミィから目を離して、紅茶を一口。そこでやっと、目の前に人が座っていたことに気がついた。
「あ、やっとこっちを見てくれた。ずぅっと、1人で百面相してるんだもん。」
「リ、リアン様!」
え、え、え。私、1人だと思っていたから・・・何か変なこと口走っていないかしら?あぁ、なんでもっと早く気づかなかったのよ!
穴を掘って飛び込みそうな勢いの私を、面白そうに笑って見ているリアン様。
「こ、声をかけてくださってもよろしかったのではないですか?令嬢の顔をじっと見ていたなんて、無礼ではなくて?テーブルにも、許可なくお座りになったようですし?」
うぅぅぅ、私のバカ。こんなことを言いたいわけじゃないのよ!せっかく、せっかくリアン様とお話しするチャンスなのに!こんなんじゃ、面倒くさがられてしまうわ。
「これはこれは、失礼いたしました。ご令嬢が弟の方ばかり見ているので気になってしまいまして。」
違う、私が見ていたのはルカ様ではないのよ!
「でも、恋をしているような目ではないなぁと気づいてしまいましてね。兄上の方に行く様子もなく、お1人でテーブルについているものですから。」
「そ、それは・・・」
「そして溜め息ばかりついていらっしゃる。」
もう、いつから見ていたのかしら?もしかして、私がエミィに話しかけに行ったところからかしら。
ふいに、ムニっと口に何か押し当てられる。視線を前に向けると、ニッコリ笑ったリアンがサンドイッチを差し出していた。
混乱して一時停止した頭のまま、モグモグとサンドイッチを口に収納していく。味が全然しない。
そのままずっとリアンを見ていると、ソースが手についたのか指をペロリと舐めてしまった。マナーとしては良くない行為だ。視線に気づいたリアンは悪戯がバレた子どもみたいに笑った。
あぁ、これは夢でしょうか?それとも、妄想が見せた幻想でしょうか?
「おーい、カエラ嬢。大丈夫?息してる?」
目の前でヒラヒラと手を振られて、我に帰る。
「だ、大丈夫です。」
もう、この人は心臓に悪いわ。
ギュッと心臓のあたりを押さえる。
今日は一目見て、諦めようと思ったのに。
「カエラ嬢はエミリア嬢のお友だち?」
「はい。さっき、なったばかりですが。」
「そっか。まぁ、じゃあ楽しみにしていようかな。」
「何を、ですか?」
「えぇ?なーいしょ。」
そう言って笑うお顔は、誤魔化されたとわかってるのにときめいてしまうし。ただ紅茶を飲んでいる姿は優雅でいつまでも見ていられる。
「穴が開いちゃいそうだな。」
「へ?何か仰りましたか?」
「いいや?」
カエラが気づかないアングルで、リアンは口元に笑みを浮かべた。
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