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気に入らないやつ
しおりを挟む登校が始まってから数日が経った。
僕はリアと決めた通り、他の人と話す努力をしている。もちろん、女性とは話さない。だって、可愛い可愛い僕のリアが嫉妬してしまうから。
僕自身はリアにもっと嫉妬されたい。正直に言えばね。
もっと独占欲を出してもらって構わないし、束縛して欲しい。・・・なんて、ラーヤに言ったら引かれたけどあいつの評価は気にしてないからいいんだ。
でも、周りのやつの評価を気にしているリアにそんなこと言ったら困らせちゃうだろ?だから言わない。
・・・はぁ。こんなことなら、初日にもっとリアにくっついとけばよかった。
リアは黙ってたって、話しかけなくたって男の方が好意を寄せてしまうような人なんだ。あんなにくっついていた初日でさえ、男に話しかけられていた。
ジオル・サンリア。
あいつとは馬が合わない。性別が女というだけで話しかけそうな男だ。騎士道精神だが何だが知らないけど、「女性には優しく」なんて言っている。
いや、好きなたった1人の女性以外に優しくするのは裏切りじゃないか?そんな風に考えるのは僕だけか?
興味もないやつに親切になんてできないし、好意なんて持たれた日には面倒臭いの一言だ。ならば最初から対応しなければいい。
僕だってジオに諭され、優しくはしなくても話くらいしてみるか、と話したら勘違いされた。僕の気持ちを無視して勝手に盛り上がり、「その冷たい視線も素敵!」なんて言われた日には首を絞めあげたくなった。
・・・まぁ、そんなことしたら後々面倒だから、生涯王宮に出禁にするだけで許しておいた。両親にも許可は取ったから問題ないだろう。
「ルカ!何、ぼーっとしてるんだ?」
うるさいやつが来た。こいつは僕が嫌がってても寄ってくるから嫌なんだ。
「無視すんなって。次、ルカの番だぞ。気合い入れて行ってこい!」
バシンッ!と背中を叩かれて、思わず殺気が漏れた。周りは気づいているのに、この男は気づいているのかいないのか。ニコニコと笑っている。
あー、本当にこういうところが嫌いなんだ。
「ルカってば、剣の才能もあるのに極めようとはしないんだもんな。もったいない。」
魔法でもリアを守れるんだからいいだろ?いや、剣より魔法の方がずっと便利で合理的だ。
「エミリア嬢がいない授業だからって、イライラしすぎだぞ。見ろよ、周りのやつらが怯えてる。」
お前も怯えてくれていいんだぞ?
「うるさい。わかってるなら余計なことするな。」
前なら一言も返事なんてしない。でも、リアに嫌だって言われたらしない訳にもいかないだろ?・・・まぁ、マシンガンみたいに話されて、毎回返事するのは疲れるからしないけど。
学園は選択できる授業も用意されているが、最初の3年ほどはない。剣術も貴族男性ならある程度できて当然、ということらしい。もちろん、騎士を志願する女性もこの授業に参加することが許されている。
実際、騎士を目指している人は学園に入る前から鍛錬を始めている。あと高位貴族も。
そういう彼らにとって、授業は将来の職を掴む為のアピールの場でもある。そのため、他の授業を適当に受けているやつもこの授業だけはしっかり受けている。
僕は将来、魔塔の主になると期待されている。現在の魔塔の主が 高齢であることが原因だ。父様は何も言ってこないが、期待されていることは知っている。
魔塔の主になったら、リアとの時間が減るじゃないか。絶対、嫌だ。
まぁ、こんなことをリアに言っても返事はわかってるから言わないんだけどさ。
「殿下、考え事とは余裕ですね。」
先生と剣を交えている最中なのだが、面白くないんだから仕方ない。
彼は実力はあり、剣の才能も先生としての才能も申し分ない。ただ、僕を騎士にしようと勧誘してくるのが大問題だ。一万歩譲って魔塔の主にはなっても、騎士には絶対ならない。
魔導騎士は騎士とついてるがほぼ研究職だ。それに比べて騎士は他人の為に命を張らないといけないし、訓練の時間も長い。僕が命を張って守るのはリアだけだ。
カランッ。
先生に剣を飛ばされ、瞬く間に刃が首に来た。
「ここまで。」
「ありがとうございました。」
木刀とはいえ、元騎士に首を斬られたら骨が折れるかもしれない。寸前、1ミリもないんじゃないかってほどの位置で止められていたから、そんな心配しなくてもいいけどヒヤリとしたのは事実だ。
戻ってきた僕をジオが待ち構えていたので、迷わず離れた位置に座る。追いかけて隣に座ってこられたので、意味はなかったが。
「お前はどうして付き纏う?騎士を目指しているなら、媚びを売る相手を間違えている。」
「ルカに媚びを売りにきているわけじゃないさ。わかってるくせに。第一、俺は騎士になるからといって、媚びるなんて卑怯なことしたくない。実力で勝負したい。」
その心構えは立派だが、そうしなければ実力を評価してもらえない人だっているんだぞ。お前は近衛騎士隊長の息子だから知られているだけだ。
「俺はルカと仲良くなりたいからここに居る。ってか、友だちだろ?」
「断じて友だちじゃない。吐き気がする。やめろ。」
「ひでぇなぁ(笑)」
こんなに言われているのにヘラヘラ笑っているなんて、こいつはよっぽどのMなんだろうな。
「今、失礼なこと考えてなかったか?」
「お前に優しい言葉を送ったことはないだろ?」
「それもそうだった。お!ニカのやつやるな!」
友人の番が回ってきたのだろう。大きな声で応援を始めた。うるさいから離れてほしい。
せめて、この授業にライトとリアンがいたら押し付けられたのに・・・なんて、初めて2人が同じクラスだったらよかったのにと思った。
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