上 下
48 / 135

放課後の書斎

しおりを挟む

ラーヤの提案により、今日の放課後からリアが僕の書斎で過ごすことになった。

リアにお婆様の日記や小説を見られたら、色々と調べていることがバレてしまう。彼女が近くにいる状態で、僕は本が読めるのか?リアなら、チラッと見ただけで"日本語"に反応してしまうだろう。それはブックカバーをつけても仕方ないことだ。

そこで僕は思いついた。机の四方一面ギリギリに、認識阻害の魔法をかければいいんじゃないかと。そうすれば、リアには僕が日本語を解読してるなんてわからないだろう。仕事に関する調べ物をしているようにしか見えないはずだ。

「今日はオレンジのタルトを作ってみました。」

目の前では、ラーヤがリアにスイーツと紅茶を提供している。

「んん~!!!美味しい!・・・あっ!・・・うるさかったですか?」

驚いた声を出すから、こっちがびっくりした。

「大丈夫。気にしないで。」

リアらしくて、疲れが勝手に癒されていくから。むしろ、静かな方が何をしているのか気になってしまう。

「ルカ様は食べないんですか?」

「うん、今はいいや。僕の分も食べていいよ。」

「そんな!もったいない。」

なんだよ。もったいないって。可愛いな。

「そんなことないさ。さっきみたいに美味しそうに食べてくれたら、僕は幸せだよ。」

「もお~、そんなに甘やかして、私がブクブクに太ったらどうしてくれるんですか?」

「え?喜んで責任とるけど?」

何を今更。リアがリアである以上、姿形なんて関係ない。例え急に動物になったとしても愛せる自信がある。・・・・・・あれ、想像してみたら、動物になったリアとか超可愛いんじゃないか??

「醜~い、姿になるんですよ?」

「どんな姿であっても、リアである限り醜いなんて思いもしないよ。」

そう答えると、リアがすっかり黙り込んでしまった。

どうしたのかと思って顔を上げる。すると顔を真っ赤にしてぷんぷん怒った彼女が、タルトを頬張っていた。テーブルにはお皿が2人分。もちろん、皿にはタルトが乗っている。

なんだ、照れたのか。そんなに口いっぱい頬張って、リスみたいなやつだな。今度、ラーヤにナッツのキャラメルタルトでも用意させるか。

あー、可愛い。

こんな可愛いくて愛しい婚約者が、不安がってるんだ。少しでも早く解決してあげたい。書斎にリアを読んで正解だったな。

日記は結構進んだから、後もう少しだ。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

【R18】堕ちた御子姫は帝国に囚われる

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:2,509pt お気に入り:295

邪神が願いを叶えます(嫌がらせで)

キャラ文芸 / 連載中 24h.ポイント:1,086pt お気に入り:5

【完結】ミックス・ブラッド ~異種族間の混血児は魔力が多め?~

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:383pt お気に入り:65

全てを諦めた令嬢は、化け物と呼ばれた辺境伯の花嫁となる

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:489pt お気に入り:6,745

異世界転生したけどチートもないし、マイペースに生きていこうと思います。

児童書・童話 / 連載中 24h.ポイント:10,373pt お気に入り:1,051

庭師見習いは見た!お屋敷は今日も大変!

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:2,443pt お気に入り:8

変人奇人喜んで!!貴族転生〜面倒な貴族にはなりたくない!〜

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:241pt お気に入り:2,525

残念な配信者たち

キャラ文芸 / 連載中 24h.ポイント:596pt お気に入り:2

処理中です...