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放課後の書斎
しおりを挟むラーヤの提案により、今日の放課後からリアが僕の書斎で過ごすことになった。
リアにお婆様の日記や小説を見られたら、色々と調べていることがバレてしまう。彼女が近くにいる状態で、僕は本が読めるのか?リアなら、チラッと見ただけで"日本語"に反応してしまうだろう。それはブックカバーをつけても仕方ないことだ。
そこで僕は思いついた。机の四方一面ギリギリに、認識阻害の魔法をかければいいんじゃないかと。そうすれば、リアには僕が日本語を解読してるなんてわからないだろう。仕事に関する調べ物をしているようにしか見えないはずだ。
「今日はオレンジのタルトを作ってみました。」
目の前では、ラーヤがリアにスイーツと紅茶を提供している。
「んん~!!!美味しい!・・・あっ!・・・うるさかったですか?」
驚いた声を出すから、こっちがびっくりした。
「大丈夫。気にしないで。」
リアらしくて、疲れが勝手に癒されていくから。むしろ、静かな方が何をしているのか気になってしまう。
「ルカ様は食べないんですか?」
「うん、今はいいや。僕の分も食べていいよ。」
「そんな!もったいない。」
なんだよ。もったいないって。可愛いな。
「そんなことないさ。さっきみたいに美味しそうに食べてくれたら、僕は幸せだよ。」
「もお~、そんなに甘やかして、私がブクブクに太ったらどうしてくれるんですか?」
「え?喜んで責任とるけど?」
何を今更。リアがリアである以上、姿形なんて関係ない。例え急に動物になったとしても愛せる自信がある。・・・・・・あれ、想像してみたら、動物になったリアとか超可愛いんじゃないか??
「醜~い、姿になるんですよ?」
「どんな姿であっても、リアである限り醜いなんて思いもしないよ。」
そう答えると、リアがすっかり黙り込んでしまった。
どうしたのかと思って顔を上げる。すると顔を真っ赤にしてぷんぷん怒った彼女が、タルトを頬張っていた。テーブルにはお皿が2人分。もちろん、皿にはタルトが乗っている。
なんだ、照れたのか。そんなに口いっぱい頬張って、リスみたいなやつだな。今度、ラーヤにナッツのキャラメルタルトでも用意させるか。
あー、可愛い。
こんな可愛いくて愛しい婚約者が、不安がってるんだ。少しでも早く解決してあげたい。書斎にリアを読んで正解だったな。
日記は結構進んだから、後もう少しだ。
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