将来、悲運な結末を迎える令嬢は幸せに生きる

都築稔

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生徒会

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「転入生・・・ですか。」

「そう。エストランリア男爵のご令嬢だそうだよ。」

放課後、僕は殿下から珍しい報告を受けていた。

「男爵にご令嬢がいたなんて、初耳です。」

「何でも、生き別れていたらしい。男爵が花街で見つけたそうだ。」

「花街・・・それはまぁ、なんと言えば良いか・・・。」

この話が学園で伝われば、そのご令嬢にとって不利益でしかないだろうな。

「あぁ、アメリアって言ったっけ?」

「そうそう。」

「王宮に挨拶に来た時に見たけど、すごく頭の悪そうな女だったよな。媚びるのに慣れてて、品がないというか。」

「失礼だぞ。彼女は赤ん坊の頃に誘拐され、売り飛ばされたそうじゃないか。一緒にいた母親はその場で殺されたと聞いているし、彼女もそうしなければ生きていけなかったんだよ。可哀想じゃないか。」

「ライトのそういうところ、逆に失礼だったりすると思うけど?」

「えっ、どこがだ?失礼な態度は誰の前でも改めないといけない。教えてほしい。」

「やだよ。面倒臭い。」

「教えてって!」

「やーだーね。」

2人の王子が目の前で言い合いを始めた。

僕を信頼してくださってるのだろうけど、こんなことをペラペラと話してよかったのだろうか?きっと男爵には口止めをされていたのではないだろうか?

それにしても、僕が卒業する年にこんな面倒な転入生が来るなんて。しかもエミィのいる学年じゃないか。はぁぁ、やめてくれよ。

男爵も娘が見つかって嬉しいのも、不貞を疑われない為に先に王家に報告しにきたのもわかるけど・・・。同じ年だからって、婚約者がいる王子に異性である娘をよろしくなんて言うもんじゃないだろう。常識を疑うよ。

例え有名な商会を持っていようと所詮は男爵。もし娘可愛さに殿下たちの婚約者の座を狙っているなら、こちらも黙ってはいられない。ルカ様が相手をするとは思えないけど、妹が王子の婚約者である限り無関係とは言えない。

本当に面倒なやつが来ることになったなぁ。王太子殿下に言われた時点で、僕は全く関わらないという手を使えないだろうし。それでも、何があってもエミィの味方でいることは間違いないんだけど。

「もういい!サイラス、教えてくれ。僕のさっきの発言はどこが失礼だったのだろうか。」

「サイラス、答えなくてもいいぞ。」

はぁ、この2人も面倒臭い。妹の婚約者も大概だけど。

「殿下、同情で良くされても嬉しいとは思えないんじゃないでしょうか。それに、ナチュラルに見下した言い方でした。」

「それは本当か?どの辺りが?」

「まず、彼女は人に媚びているつもりがあるかわかりませんし・・・性格かもしれませんからね。生きる為にそうしていたと言うのは・・・そういう人もいることは確かですが・・・。」

「うーん、なるほど・・・。」

実際ライト様からしてみれば、国王陛下以外は全員立場が下の者なんだけど。だからといって殿下の性格上、人を見下したりするのは良しとしない。

「それで、どうするつもり?」

「どう、とは?どういうことだ。」

「学園に慣れるまで面倒見ようとか言うつもり?」

「あぁ、そのつもりだったが?」

「馬鹿じゃねぇの?お前の愛しのマリアンヌ嬢に嫌われても知らねーぞ?」

「マリアはそんな心の狭い人ではない!」

いや・・・婚約者が他の女を連れていて、怒らない女性なんているのだろうか。あまりにも相手に失礼すぎる。

「僕は知らないから。巻き込むなよ?」

「それなら、マリアも呼べばいいな。」

殿下・・・それは火に油を注ぎそうです。殿下以外が気まずいやつですよ。

「はぁ、わかってねぇな。」

リアン様はただ面倒事を避けてるというより、なんだかんだとカエラ嬢を大切にしているのだろう。口は悪いが、三兄弟の中で1番の常識人だと思う。

「サイラス、お前も来るか?ダリア嬢も呼べばいい。」

そう、僕も4年前に婚約者ができた。エミィほどではないが、それなりに好意を持っている。

「お断りさせていただきます。殿下も、アメリア嬢と一緒に行動するのは控えた方がいいかと。」

「サイラスまでそんなこと言うのか?」

「親に用意された者は友だちではありませんよ。殿下が動かれると、マーガレット嬢は関係なくともよく思わない方は出てくると思われます。お話を聞いてる限り人当たりの良さそうな方ですので、しばらくは様子を見た方がいいかと。」

「・・・それは一理あるな。そうしようか。」

ふぅ・・・これで、とりあえずは問題回避できただろうか。ライト様は優しいからこそ面倒事を引き起こすことがあるから、周りがブレーキをかけないといけない。

「サイラス、お前も大変だな。」

リアン様、わかってるなら加勢してくださればいいものを。

「いつも僕の為にありがとう。」

「もったいないお言葉です。」

だって、僕はエミィの為に頑張っているのだから。
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