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出会っちゃった2
しおりを挟む「アメリア嬢は誰か待っていたのかい?」
話題を変えようと、ライト様が助け舟を出してくれる。正直、聞かなくてもこの場にいた全員が彼女の待ち人を理解していた。
「あ・・・あの、殿下をお待ちしておりました。」
ポポポッと恥じらうように頬を染めるアメリア嬢。
その変わり身の早さに呆れてしまう。
「そうか。待たせてしまったようで、悪かったね。どうしたの?」
ライト様が話しかけたことにより、彼女の視野から私たちが完全に外れた。さっきまで話していたことも覚えてないんじゃないの?レベル。
「お前らは今のうちに行け。」
リアン様が私たちを追い払うように手のひらを振った。
「ありがとうございます。」
先程の出来事で分かった。ヒロインは王子たちを攻略できていない。むしろ面倒くさがられている。
マリアンヌ様やカエラが断罪されるところは見たくなかったから、少しほっとした。
「さっき、何話してたの?」
いつものサロンに着くと、ルカ様が尋ねてきた。
「いや・・・その、私は何も話してないのです。」
「あの女が1人で喋ってたの?」
「えぇ、そうなんです。私が相槌を打たなくてもお一人で・・・」
「だから友だちいないんじゃん。僕でもわかるよ。」
うへぇって顔をして、席につく。
「ルカ様は・・・ああいった容姿の方を可愛いとは思わないのですか?」
「え、何言ってんの?リア以外、論外なんだけど。」
そんな真顔で仰らなくても・・・えぇ、はい。聞いた私が馬鹿でした。
「まだ伝わってないの?僕の愛。」
「バラは・・・たくさんいただきました。」
「チューリップもいる?」
「今は、大丈夫です。」
「そう?ほしくなったら言ってね。」
これだけ愛されてるのに、こんなこと聞くなんて本当に馬鹿だわ。だって彼は自分の睡眠時間を削って、私のためにお菓子を焼くのが最近のブームなのよ?その前はお茶をブレンドして、オリジナルのお茶を作ることだったわ。
「リアはさ・・・他の男のところに行ったりしないよね?」
何気なく、ポツンと呟かれた言葉を思わず聞き逃しそうになった。
「・・・え?」
「ダメだよ。」
今まで聞いたことないような、低い声で呟かれる。ゲームで何度も聞いた言葉に、背中がゾクっとした。
「私にはルカ様しかいません。」
「リアは魅力的だからね。君が望めば男なんてすぐに寄ってくるさ。」
目が、合わない。それが余計に怖かった。
「私が他の人を望むと思ってるんですか?」
「可能性の話さ。」
確かに、ゲーム内のエミリアはライト様が好きだったけど。
「可能性の話なら、ルカ様だって同じでしょう?」
「ふふふっ・・・そうかもしれないね。」
ゆっくりと、切り分けた肉を口に運び続けている。私は食欲が失せていく。
「どうしたら、わかってくれますか?」
「わかる?何を?」
「私が、ルカ様を好きだって。」
正気が宿っていない目が私を見た。ゲームの時のルカ様の目。ゾクっと恐ろしさを感じる反面、オタク心がキュンとした。
私、かなり毒されてるな。
その目のまま、妖艶に微笑んだ。
あぁ、何て色気。目が離せない。この顔にドキドキするなんて、私ってMだったっけ?
「ふふっ、あははっ!馬鹿だなぁ。本当に馬鹿だよ。なんでそんな嬉しそうな目をしてんの?」
近寄ってきたルカ様に顎クイをされる。
「・・・そうだね。今の僕にこれだけキュンキュンしちゃう君が、他の奴で満足できるわけないよね。」
今までよりずっと長い時間、唇が重なった。舌で呼吸を奪われて、苦しくて、でもやめてほしくなくて。必死に彼の口付けに応えた。
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