将来、悲運な結末を迎える令嬢は幸せに生きる

都築稔

文字の大きさ
58 / 150

出会っちゃった2

しおりを挟む

「アメリア嬢は誰か待っていたのかい?」

話題を変えようと、ライト様が助け舟を出してくれる。正直、聞かなくてもこの場にいた全員が彼女の待ち人を理解していた。

「あ・・・あの、殿下をお待ちしておりました。」

ポポポッと恥じらうように頬を染めるアメリア嬢。

その変わり身の早さに呆れてしまう。

「そうか。待たせてしまったようで、悪かったね。どうしたの?」

ライト様が話しかけたことにより、彼女の視野から私たちが完全に外れた。さっきまで話していたことも覚えてないんじゃないの?レベル。

「お前らは今のうちに行け。」

リアン様が私たちを追い払うように手のひらを振った。

「ありがとうございます。」

先程の出来事で分かった。ヒロインは王子たちを攻略できていない。むしろ面倒くさがられている。

マリアンヌ様やカエラが断罪されるところは見たくなかったから、少しほっとした。

「さっき、何話してたの?」

いつものサロンに着くと、ルカ様が尋ねてきた。

「いや・・・その、私は何も話してないのです。」

「あの女が1人で喋ってたの?」

「えぇ、そうなんです。私が相槌を打たなくてもお一人で・・・」

「だから友だちいないんじゃん。僕でもわかるよ。」

うへぇって顔をして、席につく。

「ルカ様は・・・ああいった容姿の方を可愛いとは思わないのですか?」

「え、何言ってんの?リア以外、論外なんだけど。」

そんな真顔で仰らなくても・・・えぇ、はい。聞いた私が馬鹿でした。

「まだ伝わってないの?僕の愛。」

「バラは・・・たくさんいただきました。」

「チューリップもいる?」

「今は、大丈夫です。」

「そう?ほしくなったら言ってね。」

これだけ愛されてるのに、こんなこと聞くなんて本当に馬鹿だわ。だって彼は自分の睡眠時間を削って、私のためにお菓子を焼くのが最近のブームなのよ?その前はお茶をブレンドして、オリジナルのお茶を作ることだったわ。

「リアはさ・・・他の男のところに行ったりしないよね?」

何気なく、ポツンと呟かれた言葉を思わず聞き逃しそうになった。

「・・・え?」

「ダメだよ。」

今まで聞いたことないような、低い声で呟かれる。ゲームで何度も聞いた言葉に、背中がゾクっとした。

「私にはルカ様しかいません。」

「リアは魅力的だからね。君が望めば男なんてすぐに寄ってくるさ。」

目が、合わない。それが余計に怖かった。

「私が他の人を望むと思ってるんですか?」

「可能性の話さ。」

確かに、ゲーム内のエミリアはライト様が好きだったけど。

「可能性の話なら、ルカ様だって同じでしょう?」

「ふふふっ・・・そうかもしれないね。」

ゆっくりと、切り分けた肉を口に運び続けている。私は食欲が失せていく。

「どうしたら、わかってくれますか?」

「わかる?何を?」

「私が、ルカ様を好きだって。」

正気が宿っていない目が私を見た。ゲームの時のルカ様の目。ゾクっと恐ろしさを感じる反面、オタク心がキュンとした。

私、かなり毒されてるな。

その目のまま、妖艶に微笑んだ。

あぁ、何て色気。目が離せない。この顔にドキドキするなんて、私ってMだったっけ?

「ふふっ、あははっ!馬鹿だなぁ。本当に馬鹿だよ。なんでそんな嬉しそうな目をしてんの?」

近寄ってきたルカ様に顎クイをされる。

「・・・そうだね。今の僕にこれだけキュンキュンしちゃう君が、他の奴で満足できるわけないよね。」

今までよりずっと長い時間、唇が重なった。舌で呼吸を奪われて、苦しくて、でもやめてほしくなくて。必死に彼の口付けに応えた。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

よくある父親の再婚で意地悪な義母と義妹が来たけどヒロインが○○○だったら………

naturalsoft
恋愛
なろうの方で日間異世界恋愛ランキング1位!ありがとうございます! ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆ 最近よくある、父親が再婚して出来た義母と義妹が、前妻の娘であるヒロインをイジメて追い出してしまう話……… でも、【権力】って婿養子の父親より前妻の娘である私が持ってのは知ってます?家を継ぐのも、死んだお母様の直系の血筋である【私】なのですよ? まったく、どうして多くの小説ではバカ正直にイジメられるのかしら? 少女はパタンッと本を閉じる。 そして悪巧みしていそうな笑みを浮かべて── アタイはそんな無様な事にはならねぇけどな! くははははっ!!! 静かな部屋の中で、少女の笑い声がこだまするのだった。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

悪役令嬢ですが、当て馬なんて奉仕活動はいたしませんので、どうぞあしからず!

たぬきち25番
恋愛
 気が付くと私は、ゲームの中の悪役令嬢フォルトナに転生していた。自分は、婚約者のルジェク王子殿下と、ヒロインのクレアを邪魔する悪役令嬢。そして、ふと気が付いた。私は今、強大な権力と、惚れ惚れするほどの美貌と身体、そして、かなり出来の良い頭を持っていた。王子も確かにカッコイイけど、この世界には他にもカッコイイ男性はいる、王子はヒロインにお任せします。え? 当て馬がいないと物語が進まない? ごめんなさい、王子殿下、私、自分のことを優先させて頂きまぁ~す♡ ※マルチエンディングです!! コルネリウス(兄)&ルジェク(王子)好きなエンディングをお迎えください m(_ _)m 2024.11.14アイク(誰?)ルートをスタートいたしました。 楽しんで頂けると幸いです。 ※他サイト様にも掲載中です

乙女ゲームの正しい進め方

みおな
恋愛
 乙女ゲームの世界に転生しました。 目の前には、ヒロインや攻略対象たちがいます。  私はこの乙女ゲームが大好きでした。 心優しいヒロイン。そのヒロインが出会う王子様たち攻略対象。  だから、彼らが今流行りのザマァされるラノベ展開にならないように、キッチリと指導してあげるつもりです。  彼らには幸せになってもらいたいですから。

悪役令嬢の慟哭

浜柔
ファンタジー
 前世の記憶を取り戻した侯爵令嬢エカテリーナ・ハイデルフトは自分の住む世界が乙女ゲームそっくりの世界であり、自らはそのゲームで悪役の位置づけになっている事に気付くが、時既に遅く、死の運命には逆らえなかった。  だが、死して尚彷徨うエカテリーナの復讐はこれから始まる。 ※ここまでのあらすじは序章の内容に当たります。 ※乙女ゲームのバッドエンド後の話になりますので、ゲーム内容については殆ど作中に出てきません。 「悪役令嬢の追憶」及び「悪役令嬢の徘徊」を若干の手直しをして統合しています。 「追憶」「徘徊」「慟哭」はそれぞれ雰囲気が異なります。

【完結】義妹(ヒロイン)の邪魔をすることに致します

凛 伊緒
恋愛
伯爵令嬢へレア・セルティラス、15歳の彼女には1つ下の妹が出来た。その妹は義妹であり、伯爵家現当主たる父が養子にした元平民だったのだ。 自分は『ヒロイン』だと言い出し、王族や有力者などに近付く義妹。さらにはへレアが尊敬している公爵令嬢メリーア・シェルラートを『悪役令嬢』と呼ぶ始末。 このままではメリーアが義妹に陥れられると知ったへレアは、計画の全てを阻止していく── ─義妹が異なる世界からの転生者だと知った、元から『乙女ゲーム』の世界にいる人物側の物語─

本の通りに悪役をこなしてみようと思います

Blue
恋愛
ある朝。目覚めるとサイドテーブルの上に見知らぬ本が置かれていた。 本の通りに自分自身を演じなければ死ぬ、ですって? こんな怪しげな本、全く信用ならないけれど、やってやろうじゃないの。 悪役上等。 なのに、何だか様子がおかしいような?

公女様は愛されたいと願うのやめました。~態度を変えた途端、家族が溺愛してくるのはなぜですか?~

谷 優
恋愛
公爵家の末娘として生まれた幼いティアナ。 お屋敷で働いている使用人に虐げられ『公爵家の汚点』と呼ばれる始末。 お父様やお兄様は私に関心がないみたい。 ただ、愛されたいと願った。 そんな中、夢の中の本を読むと自分の正体が明らかに。 ◆恋愛要素は前半はありませんが、後半になるにつれて発展していきますのでご了承ください。

処理中です...