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恋愛観
しおりを挟む前世の私は、いつも自分に自信がなかった。
恋人ができても、根暗で一緒にいると気が滅入ると振られるか、浮気されて終わった。
大好きだった初恋の幼馴染は、美人で優しいクラスのマドンナにいつも夢中だった。私なんか見向きもされなかった。
父も母も美人ではないが一般的な顔をしていて、仕事をバリバリこなしていて、活気に溢れていた。
なんでこんな親から、私みたいな根暗が生まれたんだろう。
2人はいつも仕事で家を空けていた。みんなで揃ってご飯を食べると話している友だちが、羨ましかった。
私がもう少し可愛かったら、両親のどちらかだけでも家にいてくれただろうか。
愛されていないわけではない。でも、他の家庭より愛が少ないように感じる。大とか小とかあるのかわからないけど・・・私は寂しかった。
高校生になって、2人の気持ちがわかるのではないかとアルバイトをたくさんいれた。楽しそうに働く2人の気持ちは、私にはわからなかった。
大学生になって、暇を持て余した私は乙女ゲームをしてみることにした。今流行りで、CMを見て興味を持った。
たくさんの人に愛されて、可愛がられるヒロインに共感なんてできなかった。むしろ、幼馴染が大好きだったあの子に似ている気がして気分が悪くなった。
私がゲームをし続けたのはルカ様に会うためだった。何をしても愛してくれる。私を1人にしない。悪役令嬢が羨ましい。私だってこんな風に愛されたかった。
エミリアの性格と混じって、今の私は前世よりポジティブだ。陽すぎる性格と陰すぎる性格が混ざって、ちょうど良くなったのかもしれない。
今となってはわかる。前世のわたしは病んでいた。愛情に飢えていた。
今世は家族から愛され、婚約者からも愛され、色んな愛を受け取った。自信もついたし、幸せだと言える。
ルカ様に馬鹿なことを聞いたのは、前世の自信のなさの名残りだ。
彼を傷つけてしまったかもしれない。
あんなにたくさん愛されて、優しくされて・・・私だけを見ていてくれるその目にどれだけ救われてきたか。
前世の推しだからとか、最初の下心はとうに消え去った。
今世の推し。最愛の人。
酸素が足りなくてぼおっとする頭で、私が想うのは彼への愛だけだ。
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