将来、悲運な結末を迎える令嬢は幸せに生きる

都築稔

文字の大きさ
79 / 150

間話話1

しおりを挟む

ある日の休日のこと。
私はルカ様に誘われてデートに来ていた。

つい最近、学園の近くに水族園というものができたらしいので行ってみようという話になったのだ。なんでも、カップルに人気のデートスポットらしい。

意外と私よりもルカ様の方が、恋人たちに人気の場所とかを知っていたりする。

「うわぁ!!」

この世界に来て、初めて水族館に来た。前世では何度か訪れているが、この世界では魚介類は食べるもの、もしくは魔物化したものと闘うことはあっても鑑賞する文化がない。なので水族園なるものができたと聞いた時、訪れる人がいるのかしら?と少し心配になったのだ。

しかし、誰でも海の中を類似体験できることは子どもたちを夢中にさせたみたいだし、静かでロマンティックな雰囲気は恋人たちに好まれた。

もちろん、ある程度の富裕層でなければそれを楽しむお金の余裕などないのだろうけれど。

「どう?気に入ってもらえた?」

「ええ、とっても!綺麗ですね!」

私たちが今いるのは、水中トンネルのゾーン。自分たちの上を大小様々な魚たちが泳いでいる。

「僕も魚が泳ぐ姿を見るなんて何が面白いんだろうなんて、本当は思っていたんだけど・・・これは圧巻の景色だね。」

「そうですよね!私、この水族園好きだなぁ。」

「よかった。準備した甲斐があったな。」

準備?ルカ様手ぶらに近い格好ですけど・・・あぁ、事前調査してくれたんですね。いつもデートの時、エスコートが完璧ですもの。今回も頑張ってくれたんだわ。そもそも、ルカ様は荷物を持たなくても、異空間にしまっておけるんでした。

「誘ってくださってありがとうございます。」

「うん。今日は楽しもうね。」

「はい!」

薄暗い部屋ではぐれないようにと手を繋いで歩く。これでも普段は手を繋いで歩いているわけではない。時には手を繋いでることもあるけど。

「ほら、見てください!この魚、とっても可愛らしいです!」

「ふふ、そうだね。とっても可愛いよ。」

私を見るルカ様の眼差しが優しくて、ドキッとした。

う・・・ちょっとはしゃぎすぎたかしら?先程から、ルカ様の手を引いて歩いたり、私ばっかり話して、なんだか子どもっぽいことばかりしている気がするわ。

魚に視線を戻したルカ様の横顔を盗み見る。

キラキラした光がさして、あまりに綺麗で見惚れてしまいそうだ。

「なぁに、リア?どうかした?」

「あ・・・いや、なんでもないです。」

「ほんと?」

「・・・笑わないでくださいね?」

「もちろん。」

「ルカ様の横顔が綺麗だなぁって思ってました。」

「リアには負けるよ。」

なんだか今日のルカ様はいつもより大人っぽく見える。魅力増し増しだ。ドキドキしすぎて心臓が止まったらどうしてくれるんですか。

・・・どうもこうも、ルカ様なら私が死んでもなんとかして蘇らせそうね。体が不自由になっても喜んで面倒を見てくれそうですし。

「ちょっと、何考えてるの?僕といる時は他のことを考えちゃ嫌だよ。」

「ルカ様のことを考えてたんです。」

「本当に?」

こうやって、独占欲を出してくるところを見ると少し安心する。

たまに溢れてくる色気は私を殺しにかかっている。前世、恋愛経験ほぼゼロの私は太刀打ちできない。ただただ、ドキドキして彼の良さを思い知るばかりだ。

「リア、お腹空いてない?何か食べようか。」

「いいですね!何が食べたいですか?」

「むこうにちょっとした食べ物屋さんを作ってあるんだ。」

「そうなんですね!じゃあ、そこに行ってみましょう!」

・・・あれ?今、"作ってある"って言った?

・・・まさかね。

向かった先の食べ物屋さんでは、魚のフライやソフトクリーム、ホットドッグなどが売ってあった。

魚を見た後に魚を食べるってどうよ?と思いながらも美味しくいただいてしまった。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

悪役令嬢だったので、身の振り方を考えたい。

しぎ
恋愛
カーティア・メラーニはある日、自分が悪役令嬢であることに気づいた。 断罪イベントまではあと数ヶ月、ヒロインへのざまぁ返しを計画…せずに、カーティアは大好きな読書を楽しみながら、修道院のパンフレットを取り寄せるのだった。悪役令嬢としての日々をカーティアがのんびり過ごしていると、不仲だったはずの婚約者との距離がだんだんおかしくなってきて…。

悪役令嬢ですが、当て馬なんて奉仕活動はいたしませんので、どうぞあしからず!

たぬきち25番
恋愛
 気が付くと私は、ゲームの中の悪役令嬢フォルトナに転生していた。自分は、婚約者のルジェク王子殿下と、ヒロインのクレアを邪魔する悪役令嬢。そして、ふと気が付いた。私は今、強大な権力と、惚れ惚れするほどの美貌と身体、そして、かなり出来の良い頭を持っていた。王子も確かにカッコイイけど、この世界には他にもカッコイイ男性はいる、王子はヒロインにお任せします。え? 当て馬がいないと物語が進まない? ごめんなさい、王子殿下、私、自分のことを優先させて頂きまぁ~す♡ ※マルチエンディングです!! コルネリウス(兄)&ルジェク(王子)好きなエンディングをお迎えください m(_ _)m 2024.11.14アイク(誰?)ルートをスタートいたしました。 楽しんで頂けると幸いです。 ※他サイト様にも掲載中です

乙女ゲームの正しい進め方

みおな
恋愛
 乙女ゲームの世界に転生しました。 目の前には、ヒロインや攻略対象たちがいます。  私はこの乙女ゲームが大好きでした。 心優しいヒロイン。そのヒロインが出会う王子様たち攻略対象。  だから、彼らが今流行りのザマァされるラノベ展開にならないように、キッチリと指導してあげるつもりです。  彼らには幸せになってもらいたいですから。

【完結】義妹(ヒロイン)の邪魔をすることに致します

凛 伊緒
恋愛
伯爵令嬢へレア・セルティラス、15歳の彼女には1つ下の妹が出来た。その妹は義妹であり、伯爵家現当主たる父が養子にした元平民だったのだ。 自分は『ヒロイン』だと言い出し、王族や有力者などに近付く義妹。さらにはへレアが尊敬している公爵令嬢メリーア・シェルラートを『悪役令嬢』と呼ぶ始末。 このままではメリーアが義妹に陥れられると知ったへレアは、計画の全てを阻止していく── ─義妹が異なる世界からの転生者だと知った、元から『乙女ゲーム』の世界にいる人物側の物語─

十六歳の妹の誕生日、私はこの世を去る。

あいみ
恋愛
碌に手入れもされていない赤毛の伯爵令嬢、スカーレット。 宝石のように澄んだ青い髪をした伯爵令嬢、ルビア。 対極のような二人は姉妹。母親の違う。 お世辞にも美しいと言えない前妻の子供であるスカーレットは誰からも愛されない。 そばかすだらけで、笑顔が苦手な醜い姉。 天使のように愛らしく、誰からも好かれる可愛い妹。 生まれつき体の弱いルビアは長くは生きられないと宣告されていた。 両親の必死に看病や、“婚約者の献身的なサポート”のおかげで、日常生活が送れるようになるまで回復した。 だが……。運命とは残酷である。 ルビアの元に死神から知らせが届く。 十六歳の誕生日、ルビアの魂は天に還る、と。 美しい愛しているルビア。 失いたくない。殺されてなるものか。 それぞれのルビアを大切に思う想いが、一つの選択をさせた。 生まれてくる価値のなかった、醜いスカーレットを代わりに殺そう、と。 これは彼女が死ぬ前と死んだ後の、少しの物語。

本の通りに悪役をこなしてみようと思います

Blue
恋愛
ある朝。目覚めるとサイドテーブルの上に見知らぬ本が置かれていた。 本の通りに自分自身を演じなければ死ぬ、ですって? こんな怪しげな本、全く信用ならないけれど、やってやろうじゃないの。 悪役上等。 なのに、何だか様子がおかしいような?

公女様は愛されたいと願うのやめました。~態度を変えた途端、家族が溺愛してくるのはなぜですか?~

谷 優
恋愛
公爵家の末娘として生まれた幼いティアナ。 お屋敷で働いている使用人に虐げられ『公爵家の汚点』と呼ばれる始末。 お父様やお兄様は私に関心がないみたい。 ただ、愛されたいと願った。 そんな中、夢の中の本を読むと自分の正体が明らかに。 ◆恋愛要素は前半はありませんが、後半になるにつれて発展していきますのでご了承ください。

処理中です...