将来、悲運な結末を迎える令嬢は幸せに生きる

都築稔

文字の大きさ
80 / 150

間話話2

しおりを挟む

水族園にリアを誘ったのには理由があった。

僕がお婆様の残した書物から読み取って実現させたもの。それがこの水族園だ。

お婆様が前世に行ったという場所、おそらくリアも行ったことがあるだろう。彼女が前世を思い出した時、恋しくなったり戻りたいと思うことがあったりするのかも・・・なんて考えるとたまらなくなった。

この先、リアがいなくなるかもしれない可能性なんて早々に潰しておくべきだ。

人間、大抵戻りたいと思う時は過去と今を比べて、過去の方が良かったと感じた時だと思う。お婆様の書物を見て思った。リアが前世で生きた世界に魔法はないけれど、それに代わる様々なものがあったということ。

そこはとても平和で、娯楽に溢れていた。

世界情勢的に世界の平和は約束できないけど、僕のそばにいる限りリアの安全は保障する。
でも、娯楽は彼女たちがいた世界の方が発達している。これは早急にどうにかしなければないない案件だと判断した。

水族園を最初に選んだのは、自分の魔法を使えば魚を捕まえるなんてとても簡単なことだったからだ。費用は今まであまり使っていなかったお小遣いで賄えた。

お婆様の言葉と僕の想像だけで作ったので、リアの反応を見るまですごくドキドキしていた。でも、喜んでもらえたようで何よりだ。

「ルカ様、あれ見てください!」

リアが率先して僕の手を引いて歩いてくれる。

ずっとニコニコしているのが可愛すぎる。可愛すぎて他の人に見せたくない。

そっと当たりを見回すが、薄暗いおかげか、ロマンティックな雰囲気に各々が各々の世界に入り込んでしまっているためか。僕たちを見てる人は誰もいなかった。

うん、やっぱり水族園にしてよかった。

自分の仕事に満足していると、横からリアの視線を感じた。

「なぁに、リア?どうかした?」

「あ・・・いや、なんでもないです。」

その反応、絶対そんなことないでしょ。

「ほんと?」

「・・・笑わないでくださいね?」

「もちろん。」

「ルカ様の横顔が綺麗だなぁって思ってました。」

なにそれ。僕に見惚れてたってこと?

「リアの(可愛さには)負けるよ。」

一つ一つの動作が可愛らしい。片時でも目を離したくない。

僕はそんなふうに思ってるのに、彼女は違うようだ。例えば今みたいに、僕といるのに違うことを考えていることがある。

「ちょっと、何考えてるの?僕といる時は他のことを考えちゃ嫌だよ。」

じゃないと、君のことをこんなに好きで思っているのは僕だけなんじゃないかと不安になってしまう。

この時間をこんなに楽しく、愛しく思っているのは僕だけなのかって。

「ルカ様のことを考えてたんです。」

えぇ、本当に?リアが嘘をつくとは思っていないけど、タイミング的にも僕の機嫌を取るために誤魔化したと言っても頷けてしまう。

「本当に?」

彼女が照れたように頷いたのを見て、キュン死しほうだ。可愛い。

仕方がない。今回は水に流そう。なんたって、考えていたのは僕のことみたいだし。本音を言えば、今の僕を見てほしい。今の僕との時間を楽しんでほしい。過去でも未来でもなく。今の僕で夢中になって、他に何も考えられなくなったら最高だ。

・・・まぁ、それは僕のワガママで、口にするつもりは今のところないけれど。

「リア、お腹空いてない?何か食べようか。」

ここにあるちょっとした出店の飲食店も、リアの前世で食べたであろうものを再現している。と言っても、料理の名前から想像したものだから、実際のものとは違うかもしれないけど。

一口サイズの白身魚のフライは揚げたてを提供している。そのため、衣カリッ、中身フワッの食感が出来上がる。

熱くて、でも温かいうちに食べたくてハフハフしているリア。それが、めちゃくちゃ可愛い。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

乙女ゲームの正しい進め方

みおな
恋愛
 乙女ゲームの世界に転生しました。 目の前には、ヒロインや攻略対象たちがいます。  私はこの乙女ゲームが大好きでした。 心優しいヒロイン。そのヒロインが出会う王子様たち攻略対象。  だから、彼らが今流行りのザマァされるラノベ展開にならないように、キッチリと指導してあげるつもりです。  彼らには幸せになってもらいたいですから。

【完結】義妹(ヒロイン)の邪魔をすることに致します

凛 伊緒
恋愛
伯爵令嬢へレア・セルティラス、15歳の彼女には1つ下の妹が出来た。その妹は義妹であり、伯爵家現当主たる父が養子にした元平民だったのだ。 自分は『ヒロイン』だと言い出し、王族や有力者などに近付く義妹。さらにはへレアが尊敬している公爵令嬢メリーア・シェルラートを『悪役令嬢』と呼ぶ始末。 このままではメリーアが義妹に陥れられると知ったへレアは、計画の全てを阻止していく── ─義妹が異なる世界からの転生者だと知った、元から『乙女ゲーム』の世界にいる人物側の物語─

十六歳の妹の誕生日、私はこの世を去る。

あいみ
恋愛
碌に手入れもされていない赤毛の伯爵令嬢、スカーレット。 宝石のように澄んだ青い髪をした伯爵令嬢、ルビア。 対極のような二人は姉妹。母親の違う。 お世辞にも美しいと言えない前妻の子供であるスカーレットは誰からも愛されない。 そばかすだらけで、笑顔が苦手な醜い姉。 天使のように愛らしく、誰からも好かれる可愛い妹。 生まれつき体の弱いルビアは長くは生きられないと宣告されていた。 両親の必死に看病や、“婚約者の献身的なサポート”のおかげで、日常生活が送れるようになるまで回復した。 だが……。運命とは残酷である。 ルビアの元に死神から知らせが届く。 十六歳の誕生日、ルビアの魂は天に還る、と。 美しい愛しているルビア。 失いたくない。殺されてなるものか。 それぞれのルビアを大切に思う想いが、一つの選択をさせた。 生まれてくる価値のなかった、醜いスカーレットを代わりに殺そう、と。 これは彼女が死ぬ前と死んだ後の、少しの物語。

本の通りに悪役をこなしてみようと思います

Blue
恋愛
ある朝。目覚めるとサイドテーブルの上に見知らぬ本が置かれていた。 本の通りに自分自身を演じなければ死ぬ、ですって? こんな怪しげな本、全く信用ならないけれど、やってやろうじゃないの。 悪役上等。 なのに、何だか様子がおかしいような?

公女様は愛されたいと願うのやめました。~態度を変えた途端、家族が溺愛してくるのはなぜですか?~

谷 優
恋愛
公爵家の末娘として生まれた幼いティアナ。 お屋敷で働いている使用人に虐げられ『公爵家の汚点』と呼ばれる始末。 お父様やお兄様は私に関心がないみたい。 ただ、愛されたいと願った。 そんな中、夢の中の本を読むと自分の正体が明らかに。 ◆恋愛要素は前半はありませんが、後半になるにつれて発展していきますのでご了承ください。

妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢

岡暁舟
恋愛
妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢マリアは、それでも婚約者を憎むことはなかった。なぜか? 「すまない、マリア。ソフィアを正式な妻として迎え入れることにしたんだ」 「どうぞどうぞ。私は何も気にしませんから……」 マリアは妹のソフィアを祝福した。だが当然、不気味な未来の陰が少しずつ歩み寄っていた。

過保護の王は息子の運命を見誤る

基本二度寝
恋愛
王は自身によく似ている息子を今日も微笑ましく見ていた。 妃は子を甘やかせるなときびしく接する。 まだ六つなのに。 王は親に愛された記憶はない。 その反動なのか、我が子には愛情を注ぎたい。 息子の為になる婚約者を選ぶ。 有力なのは公爵家の同じ年の令嬢。 後ろ盾にもなれ、息子の地盤を固めるにも良い。 しかし… 王は己の妃を思う。 両親の意向のまま結ばれた妃を妻に持った己は、幸せなのだろうか。 王は未来視で有名な卜者を呼び、息子の未来を見てもらうことにした。 ※一旦完結とします。蛇足はまた後日。 消えた未来の王太子と卜者と公爵あたりかな?

処理中です...