将来、悲運な結末を迎える令嬢は幸せに生きる

都築稔

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ピリついたお茶会

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「皆さん、本日は私を受け入れてくださってありがとうございます」

彼女のこの言葉は、私たちの不安を煽った。

これから、何が行われるのだろうか。
私たちは無事に帰ることができるのだろうか、と。

「せっかくお誘いいただいたんだもの。皆様も喜んで受け入れてくださったわ。」

「あら、本当ですか?そうだとしたら、本当に嬉しいです。」

いつからこんな淑女になったんだ。
みんながそう思っている。
不気味すぎて、その謎が知りたいだけだ。あと、これからの対処法と。

「私、今まで皆様にご迷惑ばかりおかけしましたでしょう?そのことを本当に反省しておりますの。」

うふふ、と笑う彼女の言葉をこの場の3分の2ほどは信じたかもしれない。それくらい彼女は別人だった。

私はといえば、彼女とこの場で会ってからずっと胸がザワザワしている。

本当に彼女を信じてもいいのかな?

なにか…なにかおかしいところはない?

彼女がヒロインで私が悪役令嬢だから、気にしすぎているのだろうか?

私がぐるぐると考え込んでいる間にも、ご令嬢たちのお喋りは止まらない。

「アメリア様には本当に驚かされましたわ。」

「本当よ。こんなに素敵な方だったなんて。」

「そんな…ありがとうございます。」

「ところで、心変わりしたキッカケでもございましたの?」

マリアンヌ様が核心をついた質問をした。隣でカエラにも私にも緊張が走る。
彼女はなんて答えるのだろうか。

「キッカケ、ですか。」

「えぇ。ぜひ聞かせていただきたいわ。」

一瞬、アメリア様がすごい形相でマリアンヌ様を睨んだ、気がした。そう思ったのは私だけだろうか。こっそりと周りを伺い見ても、誰も怪訝そうな顔をしている者はいない。

…気のせいだったのかしら。気にしすぎ?

「そうですね…夢を見たんです。」

「夢?」

「はい。このままだと良くないという、神様からのお告げだったのかもしれませんね。」

「そう…よほど恐ろしい夢だったのね。」

「はい、それはもう恐ろしい夢でした。」

「私たちのこれからのためにも、お伺いしてもいいかしら?」

「とても…とても酷い夢だったのです。今思い出しても…。」

顔を手で覆って、震える仕草をするアメリア嬢。
そこまでされたら、こちらも深く聞くことができない。

「…っ!!」

声を上げそうになって、慌てて手で押さえた。

指の隙間から見えた彼女の目は、間違いなくマリアンヌ様を睨んでいた。

やっぱり、彼女はマリアンヌ様を良く思っていないんだわ。反省なんてしていない。その振りをしているだけ。

でも、なんで?

「エリー、どうかした?」

「いいえ。その恐ろしい夢を想像してしまって、私も恐ろしくなっただけよ。」

「エリーは大丈夫よ。こんな人畜無害そうなひとはいないわ。それに、何かあってもルカ様が助けてくださるじゃない。」

「そうですよ。エミリア様は心配なさるコトなんてないわ。」

「あら、その油断がいけませんのよ?」

うふふ、と笑ってやり過ごした。
内心はとてもビクビクしていたのだけど。

「エミリア様はこんな私ともお話してくださる素敵な方ですわ。私、とても感謝していますの。」

アメリア嬢にそんなことを言われてドキリとした。

彼女の笑みは何よりも怖かった。
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