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浮上した不安2

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「…こんな茶番してる場合じゃないね。残念だけど。」

本当はできることなら何も考えずにリアとイチャイチャしていたいけど。そうもいかないね。

「リアはトラブルメーカーだね。」

「えっ!!」

心外!という顔をしてるけど、そう何度も命の危険を感じる出来事に合う人なんて君以外にいるのかって話なんだけど。リアに言わせれば、彼女ではなく彼女が与えられた“悪役令嬢”という役がそうさせるということなんだろう。

「こんな私はお嫌ですか?」

「そんなわけないだろう!!」

何度、僕を試すようなことを聞けば彼女は満足するのだろう。どうせ、僕より僕の本質を知っているくせに。

「対策を練ろう。」

「でもこれはストーリーに則ったものではありませんわ。わからない未来に対して、どうたいさくするのですか?」

「リア、僕を誰だと思っているのさ。」

リアのためなら、この世のルールどころか運命さえもぶち壊してみせる。それができない男ではない。

「愛しい、私のルカ様でしたね。」

そう。わかってるじゃないか。僕が動くのは君のためだけだよ。君が望めばなんだってしてみせるんだから。

「さて、まずは敵の情報を集めないとね。彼女に何が起こったのか。」

まぁ、彼女が今更になって前世を思い出した。そしてその前世はリアと同じ世界の人間。しかも、リアが言うところの“ゲーム”をシナリオを知っている可能性が高いな。リアだってそう思ったから不安になっているのだろう。もう、本当になんで大人しくしてくれないんだ。思い出すのなんて学園を卒業してから、僕たちとは関係ないところで思い出してくれよ。

「やはり、彼女は思い出したのでしょうか。」

「それも確認するために、情報を集めるんだよ。」

まずは手っ取り早く監視だな。

現状、彼女の情報として(ゲーム内での能力としても)光の属性という僕と相性の悪い属性ではあるものの、監視の目を逃れる魔法を持ってるとは思えない。ゲーム内と今の彼女が違うと言えど、つい最近まで成績の悪かったんだ。急にできるようになっていたりなどしないだろう。

しかし、それも今のうちというもの。彼女が本当に今までと違うなら、“ゲーム”の内容を知っているなら。彼女は自分の能力の価値を十分理解している。そして今のこの状況。どう考えても、彼女が起死回生を狙うなら自分の能力を最大限まで上げる必要がある。“ゲーム”で覚えていなかった魔法も習得してくる可能性がある。

何より、“ゲーム”内で僕が負けたのは主に2つ考えられる。1つはリアがいない世界に生きる意味はないと考えた場合。もしかしたら、あの世でリアと生きる算段をつけていたかもしれない。闇の属性なら、悪魔と契約でもしたなら、可能かもしれない。そしてもう1つは、彼女の魔法が僕の魔法を上回ってしまった時。これは考えたくないけど、不本意に負けた場合。

彼女を舐めてかかると、今だってこの可能性がある。彼女が監視から逃れられない今だからこそ、できるだけたくさんの情報を集めるに越したことはない。

僕はリアに笑顔を向けながら、アメリア嬢に向けて魔法を飛ばした。居場所を確認するため、以前つけた魔力の痕跡を辿る。そこから彼女の行動を見逃すことがないように、全方位からの映像を記録する。彼女の寮内の部屋にも同じ魔法をかける。協力者がいた時のため、彼女が自分を囮にして何かを企むことがないように。

「ルカ様ったら、私の話を聞いておりますか?」

「もちろん。僕がリアの話を聞き逃すわけないだろう?可愛い声に聞き惚れることはあるかもしれないけど。それでもちゃんと話は聞いてるさ。」

納得のいってない顔をしてるけど、耳は赤い。照れ隠しにふくれっ面してるリアも最高に可愛い。
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