将来、悲運な結末を迎える令嬢は幸せに生きる

都築稔

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謎の休暇1

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「今日はあの女、休みらしいぞ。」

「あらまぁ、それは平和ですわね。」

「バカでも風邪は引くんだな。」

「体調不良かわかりませんけど、ご自宅に一旦帰ったそうですわ。」

「あら、じゃあしばらくはあの顔を見なくて済むってことね。」

あの女ことアメリア様が本日お休みのようで、ランチタイムはその話題で持ちきりだった。

「そう遠くはないところに住んでたよな?」

「確か商会は王都の南にあったね。彼女がそこに向かったかはわからないけれど。」

「領地は商会から半日ほど馬車で行ったところにありましたよね?」

「そのはずですわ。」

私は彼女の居場所にあまり興味はないけれど、学園にいないとなると少しは安心できた。

「ルカ、あの女が何してるのかわからないのか?」

「・・・わからないでもないけど。」

「気をつけたほうがいいんじゃないか?また何か企んでるかもしれないし。」

「でももう精霊はいないのですよね?彼女に何かできる力はあるのかしら?」

「ないと思いたいけど、僕も警戒しておいた方がいいと思うな。」

「なんでですか?」

「彼女はすぐに何かを諦める性格じゃないと思うんだ。何かするために領地に戻ったと考えてもいいんじゃないかと思う。」

「エミリア嬢、あの女の領地に何か怪しいものが隠されてるとか、そのゲームの中に書いてなかったのか?」

「えぇっと、私の記憶上ではないですけど。」

「リアが知らない何かを彼女が知ってる可能性もなきにしもあらずだね。現に彼女もリアも、ゲームの中のキャラクターと違う行動をとってるんだから。ゲームに記載のないこともあの女は知ってるのかもしれないね。」

そう言うと、隣に座るルカ様は考え込んでしまった。

「ま、そういう調べ物はルカの方が得意だろうから。何かあった時にすぐに対応できようにはしておくからさ。」

私をあまり不安にさせないようにだろう。リアン様がお前は気にするなと言ってくれているようだった。

「ありがとうございます。でも、私じゃなくてマリア様って可能性もありますから。」

「そうだね。マリーの周辺も隠密の護衛を増やすつもりだよ。窮屈な思いをさせるかもしれないけど。」

「守っていただいているのに、文句なんて言いませんわ。むしろ何もできなくて申し訳ないくらい。」

「そんなことないさ。気に病まなくていい。」

「噂によると、1週間はご自宅にいらっしゃるみたいですよ。」

「あら、結構長くいるのね。」

確かに、半日程度で着く場所に1週間も。学園が休みでない時にそんなに自宅に帰る人は珍しい。

「怪しいな。」

「だろ?だから気をつけろって言ってんだ。」

「・・・なるべく1人にならないようにします。」

「そうしてくれ。」

「エミリア嬢は一瞬目を離しただけで消えるかもしれないからな。」

・・・その説はお騒がせしました。

「リアは俺が監視魔法をかけておくから、何かあれば離れていてもすぐに居場所はわかるようになってある。」

「監視してるなら場所じゃなくても色々わかるってことだろ。」

「それが何だ?一番確実だろう。」

「そうかもしれないけど、プライバシーってものがあるだろう。」

大丈夫です、リアン様。多分この人は宣言しなくてもあの日からずっとかけてますから。

「エミリア嬢も嫌ならはっきり言っていいんだぞ?」

「・・・慣れてますから。」

「エミリア嬢、我が弟ながら苦労をかけるね。」

「うるさいな。リアがいいって言ってんだから外野は黙っててよ。」

「はいはい。」

ルカ様にこんなことを言えるのは国王夫妻を除いてこの2人だけなんだろうな。

「お気遣いありがとうございます。」

これもルカ様の愛情表現ですから。オタクにとってはご褒美です。少し、照れ臭いですが。ルカ様が満足してくださるならかまいません。
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