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謎の休暇4

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結果的に、彼女からの贈り物には怪しい点はなかったそうだ。

「包みには何が入っていたの?」

「全部ブローチだったよ。小さな宝石のついたリボン型の。」

ルカ様によると、

・特注であること
・製作者はアメリア様の商会が懇意にしている技術者
・宝石は小さいが一級品

とのこと。

「何か魔法がかけられていないか、綿密に調べたけど何も出てこなかったよ。本当にただのブローチだった。」

「なんだ、じゃあ本当に彼女の好意だったわけね。」

「でも気味が悪いじゃないか。ルカ、処分しておいてくれ。」

「俺も、それがいいと思う。」

「あら、でも申し訳ないわ。」

「ルカが調べてくれてたとはいえ、彼女は信用に値しない。それは君もわかるだろ?」

「・・・それはわかるけど。」

「マリー様、何かあってからでは遅いですわ。」

「そうね。わがままを言ってごめんなさい。」

「いいえ、気持ちはわかるわ。」

「そうだ、謝ることではないよ。」

私たちは争いを好んでいるわけではない。仲良くなれるならその方がいいのはわかっている。それでも彼女を信用できないのは、過去に彼女がしてきたことだけじゃない。ここが“ゲーム”と呼ばれる世界の中だとわかっているから。

私はゲームが何かをわかっているけれど、みんなはそうじゃない。もちろんゲームの言葉の意味はわかるけど、恋愛ゲームのような架空のものは理解したくても完全にはできないだろう。

誰かによって作られた世界。普通の人生には攻略本なんてないけれど、ゲームであれば攻略本が存在する。公式に発表されていなくても、ネットで調べたらわかってしまう世界に、私と彼女は住んでいた。

私はルカ様に会うために攻略本を読んだ口だけど、私が死んだ後のことを知らない。彼女が何年まで生きたのかも知らない。ということは、私が知らない世界を彼女が知っていてもおかしくないということ。だからと言って、私と彼女が前世のトークをするのは危険だ。私が得られるものより、彼女が得られるものの方が多いかもしれないから。

こんな時、何も出来ない自分がもどかしい。

悪女って、ヒロインと戦うためにポテンシャル高いものじゃなかったっけ?こんな弱弱な悪役が勝てるわけないじゃない。きっと、その分ルカ様が強いのだけど。

「リア、浮かない顔してる。君の憂いは僕が払うからなんでも言ってごらん?」

こんな素敵な笑顔の味方がいるのに、物語のエミリアはなぜ好きにならなかったんだろう。

「少し不安になっただけですわ。ルカ様のお顔を見たら元気になりました。」

「・・・馬鹿じゃないの。僕の顔で元気になるなら、ずっと見ておけばいいんじゃない?」

ルカ様、それはツン風のデレですね。デレッデレですわね。本当、来られるのには弱いんだから。
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