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謎の休暇6
しおりを挟む『小娘、我の気はさほど長くない。なぜそんなに時間をかけねばならんのだ。』
「あらサタン様、“急がば回れ”という言葉をご存知ありませんの?」
私の影の新たな住人、サタン様とここ最近ずっと過ごしている。今の私たちは一心同体だ。
『なぜ人間の言葉を我がおぼえなきゃならん?』
「その方が人間の心が理解できて、狩りもしやすくなるんではなくて?」
まぁ、この世界にこのことわざがあるのかは不明だけど。
『そなたは元の世界とやらに戻りたいとは思わないのか?』
「思いませんよ。今より思い通りにならない人生でしたもの。容姿も環境も今の方がずっとマシですわ。」
両親にも友達にも恵まれなかった人生。今も友達と呼べる人はいないものの、少なくとも両親の愛情は感じている。お金だってある。
『不憫なやつだな。』
「悪魔に同情されるなんて・・・少しは黙ってなさいよ。今のあんたは私がいないと何にもできないんでしょう?」
静かになった自分の影を一瞥して、何事もなかったように歩き出した。
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