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犯行2
しおりを挟むルカ様が娼館に潜入してから数日。なんだか様子がおかしい。
時折何か考え込んでいるのに、私の視線に気づくとそれを隠そうとする。
もしかして、偽物の方がいいな~とか?そういう考えに至っちゃったわけですか?
…いやいやいや、ルカ様に限ってそれはないでしょ。そこは疑ったら失礼だわ。現に、あまり寝ていないみたいなのに私との時間を確保してくれているみたいだし。
寂しいけど、ルカ様の健康の方が大事。そもそも私の良くない噂のために動いてくれているのだから、少しくらい会えなくても我慢するのに。
…ルカ様が我慢できない可能性もあるけど。
「リア、どうかした?」
「そう聞きたいのは私の方ですわ。何かあったんでしょう?捜査のことですか?」
「うん…まぁね。でも大したことじゃないよ。」
嘘つき。本当に大したことないと思っていたらそんな顔してないじゃない。
「ルカ様、気づいておいでですか?」
「何が?」
「珍しく、ココに皺がよってますよ。」
眉間をつついた。やはり、気づいてなかったようだ。
「ここに皺を寄せたくなるようなことがあったのですよね?それは、大したことないとは言いませんわ。」
「今回、ライトにもリアンにも協力を頼んでないんだ。だからかな、ちょっと疲れてるみたいだ。」
「…そうですか。」
私には、教えてくださらないのね。
絶対にそれが理由じゃないとはわかるのに、無力な自分が恨めしい。
「そんな顔しないでよ。」
「させているのはどなたですか?」
「…ごめん。」
「大丈夫です。私、決めました。」
「えっと…何を?」
「ルカ様、私たちしばらく距離を置きましょう。」
「ハ?……正気?」
「正気ですとも。ルカ様のお話だと、とってもお忙しいようで。でしたら、わざわざ私との時間を取っていただかなくても結構です!」
「わざわざじゃないことくらい、君が一番わかっているだろう!」
「知りません、何も。」
「君のためにしていることなのに?」
「嫌なら、止めればいいじゃないですか。」
「…本気なんだな。」
「えぇ、本気ですとも。」
私にとっては噂なんてどうでもいい。でも、ここまで言っても彼は捜査を止めないだろう。だったら、私がきれる最大のカードを出すしかない。
しばらくは、実家にでも帰ってゆっくりしようかしら?学園から離れてもなお噂が立つなら、それは私ではないという証明になるかもしれないし。
「……待てよ。」
立ち去ろうとした時、手を掴まれた。
「イタッ…!」
左手の薬指に焼けるような痛みが走る。咄嗟に手をルカ様から引き抜いた。
痛みが走った指の付け根に、草の模様がぐるりと一周ついている。刺青の指輪みたい。
「はぁ……本当はこんなことしたくなかったけど、君が逃げようとするんだもん。仕方ないよね。」
「これは、なんですか?」
物語には出てこなかった魔法だけど、ヤンデレが発動していることだけはわかる。きっと私を、何かしらの方法で縛るためのもの。
「教えてほしい?」
「えぇ、ルカ様を置いて死ぬわけにはいきませんので。」
「…僕が君を殺すわけないじゃん。」
いやぁ、それがバッドエンドでは殺されてるんですよね...とは言わない。
「これは一種の制約魔法。」
あら、ルカ様の薬指にも同じ刺青が。
「これがあればお互いの場所がわかるだけじゃない、異性との交流を制限するものだよ。」
「つまりは、ルカ様から半径何メートル離れたら爆発するとか、そういうものではないんですね?」
「リアは僕をなんだと思ってるの?」
世界最強のヤンデレです。
「ていうか、そんなこと聞くってことはどこか行くつもりなんだ?」
「実家に行こうかと。」
「...ふぅん?まぁ、そっちの方が安全かもね。」
「あ、これ通話機能とかありますか?」
「…俺たち、距離置くんじゃなかったの?」
「あら、物理的には離れますわよ?」
「なにそれ。…...馬鹿みたい。」
いや、私だって最初はしばらく話もしない予定だったよ?でも、その間にルカ様が世界を破壊でもしたら戻る仲も戻れなくなるし。私も寂しいし。
「……通信具渡すから持っていけば?」
「さすがルカ様!」
今日も世界一!
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