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犯行13
しおりを挟むアメリア嬢との話が終わり、私たちは2人でお茶を飲んでいる。
マリアンヌ様が犯人だというところまでは想定していたが、先ほどの話から見えたことに驚きを隠せないでいる。
珍しくルカ様も無言だ。
ルカ様は犯人がマリアンヌ様だという時点で、ライト様と仲違いすることも覚悟したらしい。ライト様は婚約者であるマリアンヌ様をとても大事にされているから。
誠実な彼が事件を揉み消して欲しいとは言わないだろうけど、知りたくない事実というものはある。
「はぁ、気が重い。」
「あら、ルカ様でもそんなこと思うんですね。」
原作のルカ様なら、私のためなら兄弟なんてすぐに切り捨てただろう。
「僕だって、兄弟に不幸になってほしいわけではないよ。ライトがマリアンヌ嬢を少なからず思ってるのはわかってるからさ。」
ルカ様をこんなにしちゃうなんて、実は私、すごいのでは?
「そういうルカ様も大好きです。」
「は?...バカじゃないの。」
真っ赤になるルカ様を眺める。
うん、ルカ様を攻略できるゲームがあったとしても、きっと今のルカ様ではないわ。私といたから今のルカ様がある、そう思いたい。
「それで、どうしますの?ライト様には事前にお伝えしますか?」
「...伝えようと思っている。何も言わずに勝手にしたら、水臭いと怒られそうだ。」
はい、私もそう思います。ライト様は本当に王に相応しい方だから。辛くてもきっと受け入れてくださるわ。
マリアンヌ様が私に対してだけ悪いのなら、我慢すればいいと思っている。でも、原作通りに進めようとしているなら被害は私だけにとどまらないかもしれない。
アメリア様に確認したけれど、選択肢により闇落ちしたルカ様が魔王のようになることはあるらしい。でも、私がいるからそのルートにはならない。国や世界の危機が訪れるようなルートはそれ以外ないそうだ。
マリアンヌ様は私を陥れ、ルカ様を闇落ちさせようとしているのではと考えている。
では、なぜルカ様を闇落ちさせる必要があるのか。そこがまだわかっていない。
ただ原作に忠実でいたいのか。自身が作った世界観を壊したくないのか。
それとも、ルカ様が闇落ちすることで得られる何かがあるのか。
アメリア様もそこまではわからないそうだ。
でも、マリアンヌ様が原作者なら私たちが知らない設定を知っていてもおかしくない。
「ごめんなさい。」
そもそもは私が転生者だったから、ルカ様を好きだったから、原作と違うルートを歩んでしまったから起きた出来事だ。
「なんでリアが謝るんだ?君は少しも悪くない。少なくとも、僕は今幸せだよ。」
彼の言葉は私に甘い。
現実を見るなら、この世界で幸せなのは私と彼だけなのでは?なんて考えてしまう。
アメリア様はヒロインなのに王子様と結婚しないし、ライト様は愛する婚約者に裏切られているかもしれない。他にも、きっと私たちのせいで不幸になった人はいるはず。
自分勝手な幸せを手に入れた私たち。
そんな言葉が重く自分の胸に残る。
「リア、そんな暗い顔しないでよ。今更、どう足掻いたって過去には戻れない。前に進むしかないんだよ。」
正論だ。
そんなこと、頭では私もわかってる。
「はぁ...何?リアはさ、自分が死んで僕が不幸になればよかったって思ってるの?」
「違います!」
「僕に兄弟を襲わせたいの?」
「そうじゃありません!」
「自分で言うことじゃないかもしれないけど、リアがいるから、僕は兄弟を想うことができる。家族を大切にできる。国を大切にできる。原作通りじゃなかったから成し得たことだ。リアはむしろ誇っていい。」
「うぅっ...。」
涙がポロポロ溢れてくる。
私は臆病者だ。
さっきみたいにポジティブに思う気持ちも、すぐに自分で取り消してしまう。
「リアは自分が犯したことばかり見て、自分の成果の重要度に気づかない。君が気づかないなら、僕が何度だって教えてあげる。リア、君はすごいんだ。僕も家族も、君に感謝してる。本当だよ?」
「...ありがとう、ございます。」
「もう、泣くなって。...君に泣かれたら、僕はその原因を全て消し去りたくなる。」
おぉっと、急に闇を見せるじゃないですか。思わず涙が引きましたよ。
眉寄せて可愛いお顔したって、言ってることが怖いんですから。
「ふふふ、いい子だね。」
えぇ、このノリのまま国でも消されたら堪りませんから。
「もう...。」
「この国を救えるのは、ある意味リアだけだろう?」
「そうかもしれませんね。」
ルカ様なりの慰め方ではあるけど、半分以上は本気だろう。私があのまま泣いていたら、きっと彼は有無を言わさずマリアンヌ様の元へ向かっているはず。
「僕のことが怖くなった?」
「いいえ。むしろ、大切にされてるんだなぁと嬉しくなりました。」
「...そんなこと言うの、リアだけだから。」
あら、またお顔が真っ赤ですよ?愛しい婚約者さま。
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