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追求1
しおりを挟むルカ様は朝になるとライト様に話をするべく、王都へ帰って行った。
私はいつまでここにいるのだろうか。もう、意地を張る理由もない。
そう思ったのだけど、ルカ様に辺境地にいるように言われてしまった。
「王都より伯爵がいるこの地の方が安全だ。マリアンヌ嬢から離れることになるしね。あ、でも心配しないで。遠いからと言って僕の加護が薄まるわけじゃないから。」
笑顔で言われたけど、そんなことできるのはきっとルカ様だけだ。
「愛されてるわねぇ。」
お母様に愚痴りに行くと、そう言われてしまった。
まぁ、少しは惚気も混じっているわ。当たり前じゃない。
ルカ様が王都に帰ってしまい、私は暇なのだ。惚気るくらいさせてほしい。
私たちが立てた(事実に近いだろう)仮説は、マリアンヌ様が原作者ということ。つまりは、王太后(ルカ様たちのお祖母様)の生まれ変わりだろうということ。
妖精王からもらった王太后の日記には、彼女が原作者だろう内容が書かれていた。それを信じるならそれはその2人はイコールとなる。
本当にマリアンヌ様が王太后の生まれ変わりならば、先王にも話をしなければならないかもしれないとルカ様は言っていた。
とても面倒臭そうに。
内密に話をつけようにも、流石に王太子の婚約者をホイホイと変えるわけにもいかない。そして、マリアンヌ様が原作者話をするのに黙っているのも難しいということだろう。
私にできることはきっとない。
魔力は少ないし、飛び抜けた技術も知識もない。
「ねぇ、お母様。私だって彼の役に立ちたいのよ?」
ぽろりとこぼれた私の言葉をゆっくり吟味するようにティーカップを口につけた。
「そうね、そう思うものよね。じゃあね、殿下のことを信じてあげなさい。殿下が疲れた時は肩を貸してあげなさい。それはエミィにしかできない、殿下へのご褒美だと思うわ。」
お母様の言ってることはわからなくはない。それでもやはり、無力感は拭えない。
幼い頃から自分が“悪役令嬢”ということはわかっていた。強力な味方、ルカ様がいるとはいえ、私だって何にもしなかったわけではない。
魔力の底上げができないか調べたし、前世の知識を活かした何かが作れないかも考えた。勉強だって怠ったわけではない。それでも神は私の味方をしてくれなかった。
やっぱり、悪役令嬢は神から嫌われているのかしら?なんて思ったものだ。
ルカ様に出会う前なら、会わないでいることでルカ様に執着させないことも視野に入れたかもしれない。でも、思い出して割とすぐに出会ってしまったし。出会ってしまってからの展開は早かった。
アメリア様と私、どちらかがいなければと思ったのだ。
でも、マリアンヌ様自らがライト様の婚約者になっている時点で無理な話だったかもしれない。
作者なら、それぞれの攻略者のことを1番わかっているだろうし。手のひらで転がすなんてお手のものだろう。原作者と読者では天と地ほどの差がある。勝てっこない。
「私にはあなたたちが何をしようとしているかわからないけれど、それでもずっと味方よ。殿下だって、王都で居場所がなくなったら、辺境地で暮らせばいいのよ。サイラスだって、エミィが近くで暮らすとなれば喜ぶと思うわ。」
だから難しく考える必要はないわ。ドカンとやりなさい。
なんて言葉に似合わない、澄ました顔で言う。
そうね。お母様の言うとおり、お兄様は喜ぶでしょうね。
私だって、のんびりと暮らしたいわ。悪役令嬢がなんだって言うのかしら?
前世でも今世でも悪いことをした記憶はない。
いや、推しに好かれるなんて最大級の運を使ってしまったから悪運が回ってきているのかしら?
…それなら仕方ないとも思えるわね。だって、じゃあルカ様と会えない方が良かったなんて思えないんだもの。選択肢を与えられたとしても、今と同じ道を辿ると思うわ。
ルカ様がいないと1人で考えて落ち込み、自分で励ますしかできない。
はぁ、ルカ様は今頃何をしているかしら。
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