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追求6
しおりを挟む自分はいつ死んでしまったのか。
それより先に気になったのは、自分が描いた物語がどうなってしまったかだった。
シーズン3を書き終わったところまでは覚えている。しかし、それが世に放たれたかまで覚えていない。
ちゃんと公表されただろうか。
公表できずに死んだとしたら、ヒカルに申し訳が立たない。
自分が転生した、と気付いたのはブランティアとして12歳になった頃だった。
婚約者が決まった、と両親に連れて行かれた先は王宮。初めて来たはずなのに、なぜか懐かしかった。
後から考えたら、ゲーム中に王宮が出てきていたから見たことがあったのだ。
違和感に苛まれている間に、その日の会場となる庭園に着いたようだった。
「ご挨拶して、あなたの婚約者のキュリオ殿下よ。」
母から婚約者を紹介され、唐突に気付いた。
ここは自分が描いた世界だ。
「ブラン?...ッ!!ブランッ!」
頭が痛い。お母様の声が遠くに聞こえる。
そして私は、長い夢を見た。前世の記憶という苦しい夢を。
目が覚めたら、すぐ近くに母親の顔が見えた。
「お母様...。」
「気がついたのね!あぁ、よかった。」
今世の母親に抱きしめられても違和感はなかった。きっと、12年という歳月がちゃんと残っているからだ。
自分が女ということに違和感もない。
「心配させてごめんなさい。」
前世で家族を大切にできなかった分、今世ではもっと大切にしようと思う。
それにしてもここはまだ王宮なのだろうか。
見たことのない部屋。それに視界に入るどれもが高価なものだと、小さい自分でも理解できる品質のものばかりだ。
「...嫌だったかしら?」
「?何かでしょう?」
「婚約者のことよ。突然で、驚かせてしまったわね。」
違うんです、お母様。前世を思い出してしまって...なんて言えない。きっと頭のおかしい子だと思われてしまう。
「実は昨日からとっても緊張していて、ちゃんと眠れなかったの。実際に会ってみたら、とても素敵な方だったから安心してしまったというか...。」
ちょっと無理やりすぎる言い訳だろうか。
「そうだったの?まだ引き返せるから、お断りしてもいいのよ?」
幼くても、この国の王太子の名前くらい知っている。先ほど私の婚約者として紹介されたのは、紛れもなくこの国の王太子だ。
断って、本当に大丈夫なのだろうか。迷惑をかけるんじゃないのだろうか。
よく思い出してみよう。
私が前世で描いた世界で、国王の名前は出てこない。彼の容姿があまりにも攻略者のライトにそっくりだったから、思い出しただけである。
キュリオ殿下は今年で15歳。彼の子どもがライトたちなのかもしれない。
でも、その母親は名前どころか顔も出てこないから。それが自分なのか....いや、ちょっと待って。そういえば、ゲームのオープニングで流れる映像に一瞬映っていたな。確か...ルカと同じグレーの髪だった。私の髪色は少しくすんだ、金髪とはいえないほどの明るいブラウン。
うーん、どうなんだろう。私が婚約しても大丈夫なんだろうか。
ここで前世を思い出したのは、何か意味があるのではないかと思ってしまう。
でもまさか原作者が知らない、ゲーム開始よりずっと前に生まれ変わるとは思わないじゃないか。
悩みに悩んだ挙句、賭けに出ることにした。
理由は、オープニングに出てきた国王の髪色が金髪より少し濃い色だった気がしたから。
私は物語に集中していて、作画はヒカルの知人にお願いしていた。だから本当にその色だったか保証はない。
そしてその判断が間違っていなかったと確信したのは、息子が選んだ婚約者を見た時だった。
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