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第1章

嵐の日の落とし物〜ジェイドsaid〜

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ゴロゴロゴロゴロッ!!!
ピシャーーーーーーンッッ!!!!

ここ最近の中でも1番と言えるほど酷い嵐の日だった。


しばらくは狩りに行けないな。今のうちに畑の方も見ておいた方がいいかもしれない。食糧の蓄えも確認しておこう。

レインコートを羽織って裏口から畑に向かった。
収穫できそうなものは、昨日の時点で収穫している。強風で茎が折れたりしないように添え木をしておこう。この嵐で野菜たちがダメになりませんように。
少しだけ拝んで、裏手から倉庫に移動した。

木でできた、小さな保管庫。
雨漏りはしてないけど、湿気が心配だなぁ。食糧は・・・まぁ、これだけあればしばらくは大丈夫だよな。早く家に戻ろう。


表の玄関から戻ろうとして、思わず足を止めた。

あれ、誰か倒れてる?こんな雨の日にこんな山奥で?

近付いてみると、遭難したにしては綺麗な状態の女性がグッタリとしていた。額はかなり熱い。

そりゃあ、こんな嵐の日に雨に打たれたらそうなるよね。とにかく中へ運ぼう。

声をかけたが反応はなく、運んでも起きる様子はなかった。

「まずは体を乾かさなきゃいけないよね。」

でも、さすがに意識のない女性を脱がすのは抵抗がある。
・・・・・・仕方ないか。

女性を布団に寝かせると、手をかざした。
すると、ヒュルヒュルヒュルっと彼女の周りを風が包んで、あっという間に乾かしてしまった。
あんまり、使いたくなかったんだけどこればっかりはしょうがないや。

洗面台に桶を運んで、水と氷で冷水を作る。その冷水で冷やしたタオルを彼女の額に乗せた。

「早く元気になってね。」

先ほどと比べて、随分と穏やかな顔をして眠っている。
この瞳はどんな色をしているのだろう。どんな表情をするのだろう。そして、なぜこんなところにいるのか。知りたいことも、聞きたいこともたくさんある。
彼女が起きた時を想像して、楽しみになった。









「「痛ッたぁ!」」

寝返りを打った彼女からタオルが落ちたと気付いて、回収とともに熱を測ろうと思った。
手を額に当てると彼女が少し反応して、耳が少し赤くなっていて。だからもしかして起きたのかなぁと思って声をかけたんだけど、驚かせてしまったようだ。

「歯が、歯が折れる・・・。」

少し血の味がする。これはどこか切ったな。まぁ、彼女が元気そうでよかった。

「ごめんなさい!・・・大丈夫ですか?」

あぁ、心配させちゃったみたいだ。実際、歯は折れてないし怪我してもすぐ治るから気にしなくていいのに。

「それだけ叫べたら、もう安心だね。」

顔色も良さそうだ。もうしばらくは安静にしてもらわないといけないけど。

彼女のコロコロ変わる表情を見て、これからたのしくなりそうだと思った。
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