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第3章
童話2
しおりを挟む2人で暮らし始めて何年経ったでしょうか。
女の子が大人の女性になるくらいには時が経ちました。
ある日、女の子が村に行ってみたいと言い出しました。竜は同じところでずっと過ごすことに慣れています。でも、女の子はそうではなかったのです。
山奥で竜とずっと2人で過ごすことに、飽き飽きしていました。
そんなことも知らない竜は女の子を村まで連れて行くことにしました。竜の姿であれば、村までひとっ飛びです。
竜が村の近くで女の子を降ろし、人型に戻っているわずかな間に女の子はいなくなってしまいました。
「おーい!どこに行ったんだい?隠れているなら出ておいで!」
竜は日が暮れるまで探しましたが、女の子は見つかりませんでした。
竜は女の子がいつか帰ってくるかもしれないと思い、そこに家を移すことにしました。
竜から逃れた女の子は、竜が自分の名前を呼ぶ声が聞こえていました。本当は少し村を楽しんだら戻るつもりで、竜の声を無視したのです。
しかし、村で偶然視察に来ていたこの国の王子様に一目惚れ。どうにかこの人を自分のものにできないかと考えた末、自分がこことは違う世界からきたことを告げて王城にあがることに成功しました。
もう、その頃には竜の元に帰るつもりはありませんでした。
異世界からきた乙女は王子様から大切にされ、数年後に2人は結婚しました。
女の子はこの世界に革命を起こして、世の中から『異世界からきた運命の乙女』と呼ばれる存在になっていました。
人の世を全く知らない竜は女の子が帰ってくると信じ続けていました。もちろん、女の子が帰ってくることはありませんでした。
竜はだんだん弱っていき、いつの間にか残ったのは頑丈な家だけでした。
女の子は竜を忘れて、幸せに暮らしました。
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え・・・ハッピーエンドっぽくかいてあるけど、女の子酷くない?恩を仇で返してるじゃん。ジェイドは、どうしてこれをオススメしてくれたんだろう。
うわぁ、寝る前に読むんじゃなかった。後味悪すぎて眠れなくなっちゃうじゃん。
ジェイドに明日、聞いてみようかな。
応援ありがとうございます!
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