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第3章
童話3
しおりを挟む「あぁ、あの童話ね。」
朝ご飯を食べた後、ジェイドに『竜と運命の乙女』をなぜ私にオススメしてくれたのかを聞いた。
「じいさんが好きな童話だったんだ。僕も後味悪いなぁと思ってたんだけど、じいさんは竜が出てくる話が好きでね。学生時代、竜について研究したりしていたらしいよ。だからこの本を見た時に、つい懐かしくなっちゃってさ。」
なるほど、おじいさんの趣味だったか。
「そうそう。ノアも竜に興味があるらしくて、じいさんとよく語り合ってたよ。」
「へぇ。」
「この物語は過去に現実で起きた話とされているんだけど、誰がこれを書いたかは未だに不明なんだ。」
「竜との暮らしを知ってるのは女の子だけど、女の子は竜を忘れたって書いてあるもんね。じゃあ、竜本人が書いたんじゃない?」
「人の世を知らないのに、文字が書けると思うかい?」
「・・・確かに。」
「まぁ、そういう議論が常になされている物語でね。証拠がないから、真実はわかってないんだ。」
そう考えると面白い物語かも。
「もしかして、この家はこの物語をモチーフに建てられているの?」
「そうみたいだよ。この物語みたいで気に入ったから住んでるって言ってた。」
「なんだか可愛いおじいさんね。」
淹れたてだったコーヒーが、少し冷め始めていた。
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