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第3章
アカリの過去4
しおりを挟む「遅くにごめんね。」
「いや、いいって。あんな中途半端に言われたら気になって寝れないわ。」
果穂の部屋につくと、テーブルに酒とおつまみが用意されていた。
「座ってよ。もう勝手に始めてるから。」
彼女の、この飾らない感じが好きだ。安心する。
「何飲む~?」
「何でもいいよ。」
「じゃ、レモン酎ハイね。実家から送られてきたの。父さんを禁酒させるから家にあるもの送るって母さんが。」
冷蔵庫から缶の酎ハイを取り出して、果穂も席に着く。その酒を受け取って、とりあえず乾杯した。
「それで?さっきのは何さ。」
「あ~、あのね?」
「何?なんか言いにくい話?」
少しでも疑ったことを悔やみながら、先ほどまでのことを話した。昼間に女性に声をかけられて果穂の話をされたこと。そしてその後、はかったかのようなタイミングで町田に食事に誘われたこと。彼女の左薬指にリングがつけられていたこと。全部、洗いざらい話した。罪を着せられているのは果穂なんだから、隠していると対応ができないだろうから。
「ちょっと待って。何それ?私が疑われてるの?」
「町田が見たって上に申告してるらしいの。」
「え、本当に意味がわからない。」
果穂は不測の事態に、怒ってるのか困ってるのか、なんとも言えない表情になっていた。
「さっきのチケット!あれは果穂が別の場所にいた証拠になるんじゃない?他に、証明できそうなものはない?」
「・・・ちょっと待ってて。」
少し考え込んで、奥の部屋に入っていった。オタク部屋にしているらしい。ベッドもそこにある。
戻ってきた果穂が手にしていたのはライブのDVD。
「この日、めちゃくちゃ運良く最前列近くだったの。だから本当に一瞬だけど、客席にいる私が映ってるんだよね。」
果穂、運強すぎでしょ。最高の証拠じゃない?
DVDを再生して、果穂が映った一瞬で一時停止をする。写真を撮影すると、私にメッセージで送って共有した。
「これで2人が証拠の写真を持ってることになったね。」
「明里が教えてくれてよかった。急に言われても証明できないじゃん?明日、2人で部長に言いに行こう。あの人なら手助けしてくれるでしょ。」
「そうだね。そうしよう。」
「て、ことで?先に祝杯をあげませんか?明里さん?」
果穂が缶を私に近づけた。それに応えて、手元にある缶を当てる。グラス同士のような綺麗な音は鳴らないけど、そんなことは気にしない。
終電はとっくに過ぎた。なので、二日酔いで会社に行かなくてもいい程度に飲み明かした。
次の日、慌ててシャワーを浴びた。バタバタと支度をして、私は服を着替えるために先に果穂の家を出た。
「じゃあ、また後で。」
「うん、よろしく。」
扉を閉めるその瞬間まで、果穂の笑顔が見えていた。
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