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皇帝サイドⅥ
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「あら、〼〼〼、だいぶ剣捌きが上手くなったようね、このままいけば黒薔薇の騎士確定かしら」
我は皇帝。紅蓮の皇帝。騎士候補生の昇格試験ぐらい見届けることができなくてどうする? あの夜会からさらに一年半の月日が経った。そして、今日はいよいよ候補生の昇格試験である。ヨーデルからの報告によれば、いつかと同じく、まずまずと言ったところだそうだが……こればかりは実際に我の目で見なければ分からぬ。では、試験会場へと向かうとするか。
試験会場には、候補生と、ヨーデル、そして我の三人。このシステムは、あの頃から変わっていない。
「それでは、候補生の騎士昇格試験を始める。ヨーデル、よろしく頼むぞ。そして候補生よ。このチャンスを逃せば、次は半年後にしか試験を受けることはできない。心してかかるように」
「承知致しました。陛下」
候補生よ。随分と逞しくなったようだな。これは期待してもいいのかもしれん。
ヨーデルが先に剣を構える。さすがかつて騎士だっただけのことはある。我の目からしても、少しの隙もない。
次いで、候補生が剣を構える。上段にいささかの隙があるが、それ以外は問題ない。だとすれば——
ガツン。ヨーデルが構えの状態から、候補生の隙を突く。狙うはもちろん上段。ここまではセオリー通りと言ったところか。ガチャン。候補生がヨーデルの剣戟を受ける。男性と女性ではもちろん体格からなにからして、男性の方が有利である。このままでは、ヨーデルに押し切られてしまう。早くて三手。遅くても五手で勝負は決まる。だが……候補生は笑っている。笑っているではないか。あれはそう、もしかして——
候補生が、ヨーデルと距離を取り、剣を素早く持ち直す。そして……!!! 貴様、どうしてその技を知っている! ヨーデルが最も苦手、いや、我とて苦手とするその剣の持ち方。
即ち、リーチを長くする手法。
候補生がその姿勢を取った瞬間、ヨーデルの顔色が変わる。これは勝負あったか。
ガチャン。候補生のティロフィナーレ。もちろんその攻撃はヨーデルとてかわせるものではない。候補生がヨーデルの眉間を狙い、剣を定めた。
「そこまで。候補生よ。ヨーデルの弱点を見事見破ったな。ときにその戦いはヨーデルとて、教えなかったはず。どうして知って」
「簡単なことです、陛下。先生は剣捌きの中でも、今の持ち方だけは教えてくださらなかった。あとは今日この日まで、この技を使わなかっただけのこと。それほど難しいことではございませんでした」
「〼〼〼、女性の騎士の得意技を教えてあげるわ。これはきっとヨーデルは教えないだろうから」
白薔薇の騎士よ。我は久しぶりに其方の技を見たぞ。優しくも鋭い剣。
「候補生よ、本日をもって其方を騎士に任命する。騎士の色は……」
「黒薔薇に決まっているでしょう、陛下」
ヨーデルが半ば諦めたように告げる。三騎士と言われるものは、白薔薇、青薔薇、黒薔薇。そして、黒薔薇が最高位とされている。
「ありがとうございます、陛下」
候補生が頭を垂れる。さて、あとは、
「候補生よ、其方に『シュバリエ・ロゼルタ』の名を与える。これからはシュバリエと名乗るがよい」
「かしこまりました、陛下」
黒薔薇の紋章を胸に纏ったシュバリエは、颯爽と立ち去っていく。その後ろ姿にはかつての貧民街の少女の雰囲気などは微塵も感じられなかった。
我は皇帝。紅蓮の皇帝。騎士候補生の昇格試験ぐらい見届けることができなくてどうする? あの夜会からさらに一年半の月日が経った。そして、今日はいよいよ候補生の昇格試験である。ヨーデルからの報告によれば、いつかと同じく、まずまずと言ったところだそうだが……こればかりは実際に我の目で見なければ分からぬ。では、試験会場へと向かうとするか。
試験会場には、候補生と、ヨーデル、そして我の三人。このシステムは、あの頃から変わっていない。
「それでは、候補生の騎士昇格試験を始める。ヨーデル、よろしく頼むぞ。そして候補生よ。このチャンスを逃せば、次は半年後にしか試験を受けることはできない。心してかかるように」
「承知致しました。陛下」
候補生よ。随分と逞しくなったようだな。これは期待してもいいのかもしれん。
ヨーデルが先に剣を構える。さすがかつて騎士だっただけのことはある。我の目からしても、少しの隙もない。
次いで、候補生が剣を構える。上段にいささかの隙があるが、それ以外は問題ない。だとすれば——
ガツン。ヨーデルが構えの状態から、候補生の隙を突く。狙うはもちろん上段。ここまではセオリー通りと言ったところか。ガチャン。候補生がヨーデルの剣戟を受ける。男性と女性ではもちろん体格からなにからして、男性の方が有利である。このままでは、ヨーデルに押し切られてしまう。早くて三手。遅くても五手で勝負は決まる。だが……候補生は笑っている。笑っているではないか。あれはそう、もしかして——
候補生が、ヨーデルと距離を取り、剣を素早く持ち直す。そして……!!! 貴様、どうしてその技を知っている! ヨーデルが最も苦手、いや、我とて苦手とするその剣の持ち方。
即ち、リーチを長くする手法。
候補生がその姿勢を取った瞬間、ヨーデルの顔色が変わる。これは勝負あったか。
ガチャン。候補生のティロフィナーレ。もちろんその攻撃はヨーデルとてかわせるものではない。候補生がヨーデルの眉間を狙い、剣を定めた。
「そこまで。候補生よ。ヨーデルの弱点を見事見破ったな。ときにその戦いはヨーデルとて、教えなかったはず。どうして知って」
「簡単なことです、陛下。先生は剣捌きの中でも、今の持ち方だけは教えてくださらなかった。あとは今日この日まで、この技を使わなかっただけのこと。それほど難しいことではございませんでした」
「〼〼〼、女性の騎士の得意技を教えてあげるわ。これはきっとヨーデルは教えないだろうから」
白薔薇の騎士よ。我は久しぶりに其方の技を見たぞ。優しくも鋭い剣。
「候補生よ、本日をもって其方を騎士に任命する。騎士の色は……」
「黒薔薇に決まっているでしょう、陛下」
ヨーデルが半ば諦めたように告げる。三騎士と言われるものは、白薔薇、青薔薇、黒薔薇。そして、黒薔薇が最高位とされている。
「ありがとうございます、陛下」
候補生が頭を垂れる。さて、あとは、
「候補生よ、其方に『シュバリエ・ロゼルタ』の名を与える。これからはシュバリエと名乗るがよい」
「かしこまりました、陛下」
黒薔薇の紋章を胸に纏ったシュバリエは、颯爽と立ち去っていく。その後ろ姿にはかつての貧民街の少女の雰囲気などは微塵も感じられなかった。
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