漆黒の騎士と紅蓮の皇帝

太白

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騎士サイドXVII 真実

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 「シュバリエ・ロゼルタ」になってから、早くも半年が過ぎようとしていた。

 いつものように、陛下に明日のスケジュールの御連絡と御確認をしに、夜の回廊を書斎へと向かう。
 コンコン。
 静かに、しかししっかりと伝わる程度の強さで扉をノックする。
 ………………。
 御返事がない。
 室内で何か起こったのだろうか、と束の間焦る。
 しかし、その時ふと、『今』なのだと感じた。
 時が来たのだと。
 何かが告げた。
 ふ、と少しの笑みを零し、私は敢えて気配を殺して、陛下のいらっしゃる書斎へと、侵入した。

 陛下は、一冊の本を愛おしげに撫で、そして何かを記し始めておられた。

 私はそれを知っている。内容を一言一句、間違うことなく知っている。

(未だそれを大切にしておられるのですね)

 安心した。陛下は変わらず、屍の上の玉座におられる。

「陛下」

 声をおかけすると、陛下は慌ててそれを隠すようにしまう。

「おお、シュバリエであったか」

 あぁ、貴方はやはり貴方のまま。
 いつかのレックス・ウィステリアのまま。
 あの日のドラゴネス・ドゴン十三世のまま。
 陛下が陛下であられることに安堵を覚える。

「明日のスケジュールをお伝えに参りました。明日の御予定は————」

 普段通りの私で、明日のスケジュールをお伝えし、確認していく。
 明日も陛下はお忙しい。

「ところで陛下。先程お書きになっていたものは」

 事務連絡の受け答えをされる陛下の、一瞬の隙に、机の側から陛下のすぐ左側、そしてその耳元へ。
 そっと。精一杯、優しく。

「日記、ではありませんか?」

 咄嗟に陛下の御尊顔が私に向けられる。驚愕に見開かれた紅い眼が、黄緑の光と交錯する。

 ふいに室内に風が吹き、ランプが一斉に消える。部屋に一時、闇が落ちる。

「ねぇ、陛下。私はすべてを知っておりました」

 満月が空高く昇り、青白い光が大きな窓から、惜しげもなく降り注ぐ。
 唇が自然と弧を描くのを感じた。
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