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道端宅
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「やった」
「何が?」
「なんでもない! 俺も応援するね!」
どこの誰だか分からない幼馴染さん。全力で由奈と結婚ルートへ走り切ってくださいね!
「私たち名前すら知らないのに? でも、有難う御座います。なかなか人に言えないことだから、応援してくれるって言われてすごい勇気出た」
愛想よくして笑顔を見せれば十人中九人は振り向いてくれそうなお人形さんでも恋愛で悩むことってあるんだなあ。逆によく知りもしない相手だから、こういうこと言ってくれたのかもしれない。元恋人に恋愛相談されるって不思議な感じ。
「じゃあこれで」
「うん」
ラテをゴミ箱に入れ、今度こそ別れる。小さく手を振るのも可愛くて守ってあげたくなる。昔の俺ならきゅんきゅんきてた。幼馴染よ、早く由奈の魅力に気付くんだ。由奈の可愛さは俺が保証する。ただし、未来どんなストーカー彼女になるかはお楽しみということで。
――もういないよな。
辺りを見回して誰もいないことを確認してヘルメットを外す。ようやく視界が広くなった。
一人になって顔が緩む。ダルンダルンだ。
「俺……自由だ―――――――ッッ!!!」
ついに来た。
人生何度目だ、四度目だっけ? 何度目でもいいや。とにかく俺が運命的な出会いをしない限り、由奈は幼馴染と結婚する。多分。
どうしよう。
そわそわする。
お小遣いぱーっと使っちゃう?
誰かと遊んじゃう?
二十四時間オンライン男呼ぼっかな。ゲーセンで騒ぐのも楽しそう。
「あ、ヘルメット」
右手が不自由だと思ったらヘルメット持ったままだった。学校に持っていって由奈に会ったらバレてしまう。
仕方ない、間田じゃなくて道端に会いに行こう。
「えーと、道端道端」
初めてLIMEする。既読スルーされないかな。道端って学校でスマホ使ってるの見たことない。既読はおろか未読スルーかもしれない。ツライ。
『堀塚です。ヘルメット返したいんだけど、今どこにいる?』
『家にいるよ! 住所送るね!』
十秒で想像の五十倍フレンドリーな返信が着た。
スマホを裏返したりして観察する。異常無し。
トーク画面を見る。道端と表示されている。異常無し。
え、これ道端? 乗っ取られてない? 本人?
住所が送られてくる。親切に外観の写真も一緒。表札は道端だから、本人なのか。え!?
行っても大丈夫かな……でも最初に言い出したの俺だし……。まあ、とりあえず行ってみるか。どうせ俺の家の近くだし。実際の家見て違いそうだったら逃げよう。もしくはバイクあったらヘルメット置いてくるか。
「分かった。家族が返信したんだ」
電車に乗って思いついた。多分そうだ。機械系苦手な道端の代わりに送ってくれたんだ。じゃあ、家族と一緒か。ちょっと身構えちゃう。お兄さんだったりして。そしたらお礼言わないと。
――お土産買わなきゃ!
お礼言うならお土産必要だよね。お土産じゃない、お礼の品か。まあいいや、これちょっとした物ですけどよかったら~~~って適当に言えばいい。
「あ」
財布を確認する。今、大人じゃなかった。二千円しか入ってない。この中からお礼か~……買わな、買う。買うぞ俺は!
駅構内にあるテナントで悩んで悩んで八百円のクッキーにした。残りは千二百円。痛い出費だけど必要経費だ。これのおかげで正体がバレずに済んだし、何より由奈と俺じゃない誰かとの結婚ルートを導き出すことができた。道端大明神様だ。
俺の最寄りから一駅過ぎて降りる。チャリで来たことはあるけど電車では初めて。アプリでルート調べたら駅から結構近かった。駅前商店街からすぐじゃん。便利。いいなぁ。
「…………って、ここ?」
外観の写真と見比べる。確かに合ってる。合ってるけど、写真は玄関と壁がちょっとしか写ってないから分からなかった。すっっっごい豪邸じゃん。
さっきとは違う意味で入りにくい。表札的に道端家なんだろうけど、本当にこの中に道端がいるのか。体格に合わせてこんな風になっちゃったのかな。何千万で買える家じゃないでしょ。
はっきり言って帰りたい。でもヘルメットを返すまでは帰れない。意を決してインターフォンを鳴らした。
「何が?」
「なんでもない! 俺も応援するね!」
どこの誰だか分からない幼馴染さん。全力で由奈と結婚ルートへ走り切ってくださいね!
「私たち名前すら知らないのに? でも、有難う御座います。なかなか人に言えないことだから、応援してくれるって言われてすごい勇気出た」
愛想よくして笑顔を見せれば十人中九人は振り向いてくれそうなお人形さんでも恋愛で悩むことってあるんだなあ。逆によく知りもしない相手だから、こういうこと言ってくれたのかもしれない。元恋人に恋愛相談されるって不思議な感じ。
「じゃあこれで」
「うん」
ラテをゴミ箱に入れ、今度こそ別れる。小さく手を振るのも可愛くて守ってあげたくなる。昔の俺ならきゅんきゅんきてた。幼馴染よ、早く由奈の魅力に気付くんだ。由奈の可愛さは俺が保証する。ただし、未来どんなストーカー彼女になるかはお楽しみということで。
――もういないよな。
辺りを見回して誰もいないことを確認してヘルメットを外す。ようやく視界が広くなった。
一人になって顔が緩む。ダルンダルンだ。
「俺……自由だ―――――――ッッ!!!」
ついに来た。
人生何度目だ、四度目だっけ? 何度目でもいいや。とにかく俺が運命的な出会いをしない限り、由奈は幼馴染と結婚する。多分。
どうしよう。
そわそわする。
お小遣いぱーっと使っちゃう?
誰かと遊んじゃう?
二十四時間オンライン男呼ぼっかな。ゲーセンで騒ぐのも楽しそう。
「あ、ヘルメット」
右手が不自由だと思ったらヘルメット持ったままだった。学校に持っていって由奈に会ったらバレてしまう。
仕方ない、間田じゃなくて道端に会いに行こう。
「えーと、道端道端」
初めてLIMEする。既読スルーされないかな。道端って学校でスマホ使ってるの見たことない。既読はおろか未読スルーかもしれない。ツライ。
『堀塚です。ヘルメット返したいんだけど、今どこにいる?』
『家にいるよ! 住所送るね!』
十秒で想像の五十倍フレンドリーな返信が着た。
スマホを裏返したりして観察する。異常無し。
トーク画面を見る。道端と表示されている。異常無し。
え、これ道端? 乗っ取られてない? 本人?
住所が送られてくる。親切に外観の写真も一緒。表札は道端だから、本人なのか。え!?
行っても大丈夫かな……でも最初に言い出したの俺だし……。まあ、とりあえず行ってみるか。どうせ俺の家の近くだし。実際の家見て違いそうだったら逃げよう。もしくはバイクあったらヘルメット置いてくるか。
「分かった。家族が返信したんだ」
電車に乗って思いついた。多分そうだ。機械系苦手な道端の代わりに送ってくれたんだ。じゃあ、家族と一緒か。ちょっと身構えちゃう。お兄さんだったりして。そしたらお礼言わないと。
――お土産買わなきゃ!
お礼言うならお土産必要だよね。お土産じゃない、お礼の品か。まあいいや、これちょっとした物ですけどよかったら~~~って適当に言えばいい。
「あ」
財布を確認する。今、大人じゃなかった。二千円しか入ってない。この中からお礼か~……買わな、買う。買うぞ俺は!
駅構内にあるテナントで悩んで悩んで八百円のクッキーにした。残りは千二百円。痛い出費だけど必要経費だ。これのおかげで正体がバレずに済んだし、何より由奈と俺じゃない誰かとの結婚ルートを導き出すことができた。道端大明神様だ。
俺の最寄りから一駅過ぎて降りる。チャリで来たことはあるけど電車では初めて。アプリでルート調べたら駅から結構近かった。駅前商店街からすぐじゃん。便利。いいなぁ。
「…………って、ここ?」
外観の写真と見比べる。確かに合ってる。合ってるけど、写真は玄関と壁がちょっとしか写ってないから分からなかった。すっっっごい豪邸じゃん。
さっきとは違う意味で入りにくい。表札的に道端家なんだろうけど、本当にこの中に道端がいるのか。体格に合わせてこんな風になっちゃったのかな。何千万で買える家じゃないでしょ。
はっきり言って帰りたい。でもヘルメットを返すまでは帰れない。意を決してインターフォンを鳴らした。
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