【急募】バッドエンド

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味はブラック

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「おッ」
「…………」
「飛んだッ」
「…………ッ」
「よし!」

 結果、俺がボロ勝ちした。道端すっごい弱かった。初心者特有の、どのボタン押せば技が出るか分からないから全部適当に押すやつしてた。初プレイだったのかな。ずっとジャンプかパンチ出てた。可愛いし面白かった。あとちっちゃい椅子に無理矢理座ってて面白かった。

「ごめ、弱い」

 縮こまって座る道端の横にいったら謝られた。なんだよ、謝らないでよ。こういうのもあって面白いんじゃん。

「なんで。すっごい楽しかったよ。他のもやろ! 次は道端がやりたいゲームしよう」

 こくこく。

 道端が面白いのはもちろん、ゲーセンが久しぶり過ぎて何したって楽しい。しかも貸し切りだし。こんな機会なかなか無い。お店の人ごめんなさい。

 今度はレーシングゲームにした。こういうのはゲーセンでやる方が臨場感があっていい。

 バイクも車もゲームでは楽しいけど、現実だといつ誰が飛び出してくるか分からないし対向車が奇行に走るかもしれないって気が気じゃないから困る。あと維持費。維持費ヤバイ。あれがあるから、車買わないでタクシーか必要な時だけレンタカーにしてる。都内だとそっちの方が安く済むシステムきつくない? 多分持ち家で駐車場代がタダじゃないとやっていけないと思う。

「おお~~~ぎりぎり!」

 最後ぎりぎりで一位になれた。道端は僅差で二位。他に差をつけての一位と二位だから、こっちは得意なんだな。

「負けるかと思った~」
「堀塚、強い」
「道端も強いね」

 ゲーム以外の音がしないゲーセンって不思議な感覚。俺たちの声しかしない。人の気配も無い。むしろ店員さんも見かけないんだけど。避けられてる?

「おっ」

 入り口でバタバタ足音がした。誰か入ってきたんだ。とか思っていたら、その音がどんどん近づいてくる。

かしらッ」
「かしら?」

 名前じゃない何かで呼ばれて二人で振り向く。さっきとは違う人が一人立っていた。俺より大きい、緑色の髪の毛の人だ。目つきがわりと怖い。身長も目つきも道端の方が勝ってるけど。

「頭、お疲れ様です! よかったらこれどうぞ。お連れの人も」

 緑の人が九十度のお辞儀しながらコーヒーを日本差し出してくれた。差し入れ、かな? 頭って道端のこと、だよね。頭……?

 横の様子を窺ってみるものの、真顔じゃ何を考えているのかあまり分からない。けれども、怒っている感じもなく、喜んでいる感じも伝わってこないから、多分困惑が近いのでは。

「どうぞ!」

 めげることなくコーヒーを渡そうとする緑さんに負け、道端と一緒に受け取った。

「あり、がと」
「有難う御座います」
「うわ~声聞いちゃった。後で自慢します! それでは俺が存在していたら邪魔でしょうから失礼します!」

 緑さんはなんかすごい嬉しそうに瞳を輝かせて出ていった。声聞くと良いことあるのかな。道端いつの間に神様になったんだろう。

「関係無いのに俺までもらっちゃった。あの人、は、知ってる人?」

 ふるふる。

 やっぱり! そういう予感はした!

「そうなんだ。向こうは知ってるみたいだから、実は道端有名人とかだったりして?」

 道端が大きく首を傾げた。

「心当たり無いの?」
「…………中学、の、かも」
「あ~、なるほど」

 確かに小学校とは違って中学になると人数が増えるから、学年が違うとほとんど分からなくなる。例えば先輩について知っていても、先輩本人は後輩のことを認識していないみたいな。部活とかで有名だったのかもしれない。筋トレ趣味だし。

 にしても、頭とは……? 部長の別名的な何かか?

 端に設置されている椅子に座ってコーヒーを飲みながら考えてみる。が、何も思い浮かばないから気にしないことにした。道端は道端だ。本当にゴーレムだったとしても友だちだよ。
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